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【感想文】性表現規制の文化史


著:白田秀彰

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私は「エロ漫画」を描いていますが、なかなか初対面の方に堂々とそのようなことは言えません。

性の話題は、日常に持ち出すのははばかられるもの…というのは、ほとんどの方に共通する感覚だと思います。

しかしそれは……なぜ?☺️

この本では、そもそもなぜ「性」がイケナイものと扱われるようになったのか?
その経緯が語られています。

また、ショ夕作品を描いている者としては、

「なぜ今児童ポルノが問題としてあげつらわれているのか?」

についての考察もあったのが面白かったです。

今、性表現の規制は厳しくなっている…

というのが私の実感でしたが、この本の考察によると、

むしろ規制が穏やかになった結果、最後の砦として、

「未成年への影響(題材にすること含め)」

が未解決問題として残っているようです。

ん……ってことはこれからエロ漫画家の未来は明るいんですか……?(⊙ꇴ⊙)


それでは、順を追って性表現規制の歴史を書いていきます!

【1.はじめのはじめは性に奔放】

自然界には「性」=「悪」という概念はありませんから、はじめ、人々はSEXも普通の娯楽として日常的に行っていて、儀式的な乱交のある祭りさえあった。


【2.やがて経済的問題発生】

やがて、欧米で、財産を持つ「貴族」という人々が現れると、
みんなが好きな相手と好きにSEXをしてしまうと、誰が誰の子供か分からなくなり、財産相続に困るという問題が発生する。

なので、上流階級では「禁欲」が良しとされた。その結果、

「SEX」=「下級階級の庶民がする下品なこと」

と位置付けられた。


【3.キリスト教も禁欲を推奨】

そこに、キリスト教が伝わってくる。
キリスト教自体はSEXを禁じていないが、「信仰の気持ちを乱すもの」=「よくないもの」という考えがあったので、エッチなものはよくないとされた。


【4.宗教が衰退して法律になる】

近代化が進み、「宗教」よりも「法律」が重んじられるようになる。
法律は、宗教ですでに広まっていた倫理規範を元に作られたので、エッチなものも法律で規制されるようになった。

その時、規制の対象は、

「エッチなものの影響を受けやすいとされる劣った人たち。」

であった。
男尊女卑の社会の中で、子供や女性は、特に性表現から遠ざけられた。
(題材にすることを含め)


▼規制の背景にこんな要素も…▼

•活版印刷が誕生したことで、ポルノが世の中に急速に広まりすぎた
•青少年の教育への関心が高まっていた
•教育の浸透により、識字率が上がった


【5.本当にエッチなものは害悪?】

戦争が終わり、これまで、些細なこと…と思われていた事がらも、議論がなされる余裕が生まれた。
ここで初めて、

「そもそも、エッチなものは人々に悪影響を与えるのか?」

という議論が持ち上がる。
1950年、アメリカでは、2億円以上の予算を投じ、大規模な調査を行った。※「猥褻とポルノに関する大統領諮問委員会報告書」

その結果、エッチなものを人々に与えても、日常生活に支障はないことが判明した。

しかし、未成年を使った調査は倫理的に踏み切れない、ということで、調べようがないという結論に至った。


【6.だんだんと女性の地位が高まってきて…】

エッチなものが有害でないという調査結果と、
フェミニスト団体などの活動で、女性の地位が向上するとともに、女性は「劣ったもの」とみなされなくかり、エッチなことをしたり、読んだり、題材にしてもよくなった。

残った最後の課題として、
児童、未成年、青少年についてどう扱うか?

が今議論をされているようだ。

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【つまり】

相続や宗教の都合で厳しかった
「性表現規制」は、いまむしろ穏やかになってきている。

性犯罪は減少傾向に、若者は実際の性行為から離れてしまっている状況に加え、インターネットの普及により、未成年をエッチなものから遠ざけることも事実上難しくなっている。

その中で、いまだに、性表現を規制する意味はあるのか?
もはや、未成年さえ、規制の対象ではないのかもしれないという議論もされるべき……

………ということでした!


【感想】

経済的、宗教的な理由が規制の始まりというのは社会の発展に伴う内容で納得できました。

そして、未成年にすら、悪影響があるものなのか…という視点は、持ったことがなかったので新鮮でした。

正直、私は、保育園の頃から友達と性器の見せ合いなどしていたり、
父の隠し持っているエロ本を目にしていました(笑)

そしてそれを怒られたことが、トラウマになり、小学生時代は、性的なものをすごく避けていました。

女性らしさというものがなんだか汚れたもののような気がして、色でもピンクとか避けてました💦

また、小学生で親の性行為を目撃した時、

自分が汚いと思っていたことを親がしていて、しかもそれで自分が生まれた……という事実に、めちゃくちゃ傷つきました😭笑

それから、「和姦」がちょっと気持ち悪くて、陵辱ものの方が興奮するようになってしまった………。w

もしかしたら、「エッチなものは良くないもの」という風潮も、子供にとってもよくない側面もあるかもしれないと思いました。


皆様はどう思いますか?(笑)


【追記】

日本は、明治維新まで、「性」=「悪」という概念がなく、性に奔放な価値観を持っていた。
(明治維新までですよ!?😳)

しかし、開国とともに欧米と結んでしまった不平等条約を解消するため、日本は欧米に認められるために、西洋文化をとにかく取り入れた。

その中でキリスト教も入ってきて、
表面的に「性」=「悪」という価値観を輸入した。


つまり、日本で現在まで続く猥褻物を取り締まる規定の本来の目的は、外国人たちの視線から伝統的な日本の成文化を隠蔽することにあった。

ともいえる。

日本としては「海外から劣って見えないように」なんとなくそれに合わせて、FANZAなどのモザイク規制も強くしている…という感じ?
Twitterとかアメリカの会社だから規制が厳しいですからね……

そして、これは私の考察ですが、
「欧米人はSEXに奔放」「日本人は慎ましい」
みたいなイメージありません?

これは、欧米人は、エッチなものがダメ……という歴史的な理由を分かっていて、“エッチそのものがダメなわけじゃない”という理解をしているからでは?
と思いました。

日本はその価値観の表面を押し付けられた形なので、“とにかくダメなもの”とされてしまったのかなぁ…とか。

また、「性表現」はアメリカでも一応規制は緩やかになっているが、「暴力表現(陵辱含め)」はまだ厳しいようなので、このあたりにも興味が湧きました。

陵辱もの……やっぱり背徳的で燃えるのにダメ?🔥

こちらの悪影響の有無についても、知りたいところです😌

個人的には、暴力表現(陵辱含む)は、子供に悪影響がある気はしますね〜。子供って、好奇心から虫を殺してしまったりするじゃないですか。暴力表現は、理性が育ってからじゃないと被害者の出る形で現実に影響を及ぼしてしまう気がします。

歴史が見えると、未来が見えるようになるといいます。

私はこの本を読んで、もしかしたら、性表現規制はこれから緩やかになっていく可能性もあると思いました。

しかしこれは、1つの視点なので、引き続き、エロ漫画家を愛する者として、勉強を続けていきたいと思います☺️

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因みにこちらの本は、フォロワーさまから、「欲しいものリスト」より送っていただきました!

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凄く嬉しかったです✨
知識のギフトを有難うございます。

送っていただいた本は感想を書かせていただきますので、よかったら差し入れ嬉しいです〜

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