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「東京(千代田区大手町)」が最大震度だった地震について

【はじめに】
この記事では、「東京(千代田区大手町)」が最大震度だった地震についてまとめていきます。

※2022年2月1日の明け方、神奈川県東部を震源とする最大震度3の地震があり、高度利用者向け緊急地震速報が出て話題になりました。

実は、この地震の最大震度を観測したのが、東京都千代田区大手町の1地点だけだったのです。

東京都の心臓部(大手町)が最大震度というのは良くあるのでしょうか? さっそく見ていきましょう。

1.震度6(烈震):関東大震災

気象庁の「震度データベース」で調べると、データが整備されている1919年以降、東京(千代田区大手町)で「震度6(烈震)」を観測したのは1回。1923年の「関東大震災(大正関東地震)」だけです。

当時はまだ「震度7(激震)」が設定されておらず、この震度6(烈震)が最大の震度でした。東京府下だけで建物被害約20万、犠牲者7万などと言われる大惨事となった「関東大震災」は、東京のみならず首都圏ほぼすべてが震度6となるなど近代以降で関東地方では最大級の地震だったと言えます。

烈震:熊谷、東京、横須賀、富崎、甲府(他)

2.震度5(強震)

また「東京」(以下、鍵括弧付きは、現在の東京都千代田区大手町の観測点を指す)で「震度5(強震)」を観測したのは、全部で8例あります。

  1. 1922/04/26 88km M6.8 強震 浦賀水道地震

  2. 1926/08/03 57km M6.3 強震 東京都23区

  3. 1928/05/21 75km M6.2 強震 千葉県北西沖

  4. 1929/07/27 37km M6.3 強震 神奈川県西部

  5. 1985/10/04 78km M6.0 強震 茨城県南部

  6. 1992/02/02 92km M5.7 強震 東京湾

  7. 2011/03/11 24km M9.0 5強 東北地方太平洋沖地震

  8. 2014/05/05  156km M6.0 5弱 伊豆大島近海

現行の震度階級(また人間が観測するようになって)「東京」で最も強い揺れを観測したのが、2011年の「東北地方太平洋沖地震」でした。

このうち2011年「東北地方太平洋沖地震」を除く7例については、「東京」が最大震度となっています。実は意外と「東京」が最大震度となるケースも極端に珍しいものではないのです。
※とは言っても、4例は1920年代で、1985年に東京で「震度5」を観測した時は、実に56年ぶりのこととして、そこそこ大きく取り上げられましたが。

そして、「東北地方太平洋沖地震」を除くと、いずれも『関東地方』周辺で起きたM6クラス前後の地震で観測されたものだということが分かります。このうち、

「東京」が単独のケース

  1. 1926/08/03 57km M6.3 強震 東京都23区

  2. 1985/10/04 78km M6.0 強震 茨城県南部

  3. 1992/02/02 92km M5.7 強震 東京湾

  4. 2014/05/05  156km M6.0 5弱 伊豆大島近海

以上の4例については、「東京」が単独での最大震度観測地点でした。言い換えれば、「震度5」以上を観測したのが、全国で唯一「東京」だけだったということになります。比較的近くに「横浜」の気象官署などがあるにも関わらず、「東京」がポツンと最大という事例もそこまで珍しくないのです。

3.震度4(中震)

この傾向、震度4以下ではどうでしょうか。観測網などの観点から、今回は以下の2点に絞ってお話ししていきたいと思います。

(1)現在の震度階級になって以降

1990年代後半に入り、地震計による震度観測に完全移行して、震度観測点が大幅に増加しました。そういった状況下でも「東京」が最大震度となった例をリストアップするとこんな感じです。

ここ四半世紀で6例となり、直近例は2019年6月24日の「千葉県南東沖」の地震となります。いずれも60kmよりも深い所が震源の地震で、深発地震での観測例も2度ほど見当たります。この傾向は今後も大きくは変わらないと思いますので、周辺の方は覚えておくと良いでしょう。

(2)「東京」が単独

そして「東京」が単独のケースは、震度4となるとやや減り、1990年代後半以降では1度もありませんでした。それ以前は、震度観測点が気象官署などに限定されていたため、時折みかけられる程度です。

  1. 1975/02/08   61km M5.4 4 千葉県北西部

  2. 1976/12/29 130km M5.6 4 群馬県北部

  3. 1977/06/22   40km M5.1 4 千葉県東方沖

  4. 1991/11/19   81km M4.9 4 東京湾

ここ半世紀では4例ありましたが、四半世紀では1例もありませんでした。

4.震度3(弱震)以下

同様のやり方で調べていくと、「震度3」でも、「東京」が単独なケースが僅かですが出てきます。現在の震度階級になって以降に限定すると、

  • 2001/06/25    29km M3.7 3 神奈川県東部

  • 2022/02/01 約100km M3.8 3 神奈川県東部

の2例です。実は、2001年に1例あるのがこれまで唯一だったのですが、2022年2月1日の明け方に起きて、高度利用者向けの緊急地震速報が鳴った地震が約20年ぶりの事例だったようなのです。

以上をまとめると、こんな感じになるかも知れません。

【おわりに】

「東京」(千代田区大手町)が最大震度になることは時々あり、特に、関東地方周辺を震源とするものや、やや深めの地震では、その傾向が起きやすくなる傾向にある気がします。

印象として、時々、深さ350km、マグニチュード5クラスみたいな地震で、最大震度1:「東京」、「宇都宮」 みたいな深発地震を見かけることがあったので、こういうケースは結構あるのかなと思ったのですが、実際調べてみると、思ったほど頻発してる訳ではないのだなという発見がありました。

ただ、日本語版ウィキペディアに「東京屈指のオフィス街・中心業務地区(CBD)」と書かれている『大手町』であっても、こうして震度の高い地震が過去には起きていますので、今後こうした事象が起きうることを再認識して頂ければ幸いです。


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