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2021.3.12 座談会から抜粋した会話。

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エンニュイ座談会配信 ゲスト:犬飼勝哉さん

劇作家・演出家。「犬飼勝哉」の名前で演劇作品を上演している。おもな作品は『ノーマル』(2019|三鷹市芸術文化センター 星のホール)、『木星のおおよその大きさ』(2018|こまばアゴラ劇場)など。『木星のおおよその大きさ』で第一回前田司郎戯曲賞を受賞。最近は配信演劇にも力を入れている。

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長谷川さん H
犬飼さん I

H:最初は前回の感想を聞かせていただいてもいいですか?(2月公演の)最終公演が終わってみたときにはあまりはまってなさそうでしたけど(笑)

I:そんなことないですよ(笑)印象的なのは、メッセージ性の強い、「相手が嫌な思いをしないようにそれでいて一番刺さるような言い方をする」、ていうセリフだったり、新しい時代が来るという状況だったり、そういうのを踏まえてどのくらい作品がメンバーの中でつくられている部分と長谷川さんの意図した部分で占めているのかということが気になりましたね。

H:まず次の時代に関していうと、次の時代へのわくわくは僕はあるんですけど、次の時代に向けて精進しようといっても行きたくない人もいるから、そういう人へ押し付けることもよくない。演劇の稽古とかもそんな強く言わないでいいのにとか思ったりすることってあるじゃないですか。両方否定したくなくて。ただそういうテーマ性を持たせつつも12ヵ月公演をやるのでまったく一本の話にすると続かないと思ったのでオムニバス的に作っています。最初にエチュードをして荒波さんから「くるぶしを蹴られる話」が出てきたのでそれを台本に組み込んだりとエチュードから話を広げて台本にしたりして。そういうのを12ヵ月を通して行っていって、よかったものを最後にまとめて出来たらなと。

I:そういう作り方はうらやましいですね。みんなで作るということができている状態。そういうチームをどういう風に作っているかに興味があります。

H:こだわりはあるっちゃあるんですけど。そう言い方するんだとか、ここでそんなことするんだって思うことがあったときに、お客さんに伝えたいことの大枠がずれていなければ何も言わないようにしています。自由にできるけど全員で責任を負うというか。

I:演劇というものが集団製作なので、僕もみんなで集まって、みんなで作ろうと最初は思っていたいんですけど、上手くいかなくて。

H:エンニュイではもともとこのようなやり方でやってきたんですけど、やっぱりこの作り方が喧嘩はおこりやすいというか、毎回胃が痛いです(笑)。別に意見する人もしない人もいていてよくて、両方の人が気分よくできるようにしたいですね。
特に違う演劇をやってきた人が集まっている状況、全員が演技体が同じではないので、喧嘩は生まれやすいですかね。自分が思い描いたようにならなかったりしてイライラがたまっていってしまうので。こうした0からつくる演劇でなくてもともと台本がしっかりある演劇だけをやってきている人もいますし。だから最初からそういう部分はケアしてますね。
またセリフに関しても本当は全部変えちゃっていいなってぐらい任せています。今回は結構言ってくれているほうですけど。

I:さっきも稽古を拝見させていただいたんですけど状態に対して演出しているのをみて、僕はガチガチの台本を書いて、それを読ませるということをしているので、状態を操作するというのは見ていて面白かったですね。そういうのはコントの作り方に通じていたりするんですか?

H:そうですね。僕は極力、視点を常に変え続けて提案するようにしています。僕の意見から派生して俳優たちが新しいアイデアを出すということがあると思うので。常に楽しい雰囲気を作ろうとしていますね。暗いのが嫌なんで。

I:そうですよね。スタッフや俳優が思っている以上に監督は居心地いい状態になってほしいなって思っていますよね(笑)
また、前回の作品でやってたものを今回別の俳優がやってたりしているのをみて、それが作品を尊いものにするなって思ったんですよね。役が出演している俳優から乖離する可能性がある。そういう浮き上がりが尊いものにつながっているなと思います。

そうですね。今回も前回の終電の話とかは小林君のエチュードで出た話なんですけどそれをもとにした台本を浦田さんがやったとき、浦田さんから出たセリフを今回の台本に書き足したりして、みんなの意志が出てくるというか。継ぎ足し継ぎ足しで秘伝のたれみたくなれば面白いですね。



個で成立させることができない演劇にとって、人と人とのコミュニケーションは作品形成の重要な要素であると思う。今回の演劇はその背景的な人と人との繋がりと作品自体が縫合されたような一体のものとして、伝わっていけばよいなと個人的に思う。システム(ここでのシステムとは作品がオムニバス形式を取っていて、会話から芝居に移行していく、という意味ではなく、演劇の活動体系について)と作品自体が連関性を持ち、その場限りのエンターテイメントとして何度も現象として、現れ、ゆくゆくはそれが存在し続けるということ。もちろん人の活動は何にせよシステムでくくることのできない繊細さや壊れやすさを孕んでいるが、そうした者同士が演劇で有機的な繋がりを持ち、それを現前のあなたに届けるということ。それを模索する過程で、まだ実験の序盤であり、アルコールランプの芯の焦げつきは過去のものであり、火をつけるのはこれからだ。


座談会のすべての様子はこちらのアーカイブで↓

『無表情な日常、感情的な毎秒 』台本無料公開

3月21日公演アーカイブ販売中!

視聴期限: 2021年3月28日(日) 23:59 まで



Performance of the day『無表情な日常、感情的な毎秒』
2021-2022​ 4月公演

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4月24日・25日 

会場: 横須賀 飯島商店

生演奏:高良真剣

1992年7月30日生まれ、神奈川県出身。音楽家・デザイナー。
主に電子カリンバやンゴニ、自作楽器を扱う。ペットボトル楽器「コカフォン」の制作、パフォーマンスユニット「バストリオ」への参加や、舞台演劇・CM・映像作品への音源提供多数。

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出演メンバー・チケットなど詳細は近日公開!



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