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「デッドデッドデーモンズ デデデデデストラクション 前章」:地球に迫る危機の中で青春を過ごす女子高生物語。出来はさすがだけど、盛り込みすぎだと思う。。

<あらすじ>
東京でハイテンション女子高生ライフを送る、小山門出(声:幾田りら)と“おんたん”こと中川凰蘭(声:あの)。学校や受験勉強に追われつつも毎晩オンラインゲームで盛り上がる2人が暮らす街の上空には、3年前の8月31日、突如宇宙から出現し未曽有の事態を引き起こした巨大な〈母艦〉が浮かんでいた。大きな円盤が空に浮かぶ世界は今日も変わらず廻り続け、非日常が日常に溶け込んでしまった東京。だがある夜、悲劇が起こり、やがて、2人と世界は加速度的に破滅へと向かってゆく……。

KINENOTEより

評価:★★☆
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

実写化もされた「ソラニン」などのマンガで知られる、浅野いにおの同名コミックをアニメ化した作品。「ソラニン」の実写版は2010年公開らしいのですが、僕は観たか観てないかも覚えていないくらいの印象です。本作は前編後編の二部作での公開ですが、前編を観ただけでも結構お腹いっぱいというのが正直な感想です。予告編通り、主軸となるのは女子高生パートがメインとなるのですが、主人公となる門出と凰蘭が仲良くなるきっかけとなる小学生時代も結構な尺を回想劇として描いたり、その中でもキーポイントとなってくる謎の宇宙人たちが侵略してくる話が、彼女らの関係であったり、家族との微妙な立ち位置だったり、学校や社会を巻き込んだ動きであったりもあぶり出すように描いていきます。

本作、観る人のバックグラウンドによって、様々な印象があるでしょうが、僕は少しオッサンなので「インディペンデンス・デイ」(1996年)を思い出しましたね。あれも映画の終盤まで顔の見えない謎の宇宙船が地球に侵略をしてきて、地球人たちは当然右往左往するものの、E.T.のように穏健な宇宙人たちと思い交流に挑む人たちと、宇宙侵略と信じてサバイバルに走る人たち、混乱に乗じて窃盗・強盗に勤しむ人や逆に何もないとタカをくくって平常な日常を送る人たちと、これだけの人口住む地球だから様々な人の対応があって当然のこと。ただ、これは映画なので、やっぱり宇宙人を倒す人々に焦点が当たり、分かりやすい勧善懲悪ものになるのですが、こうした戦いに臨む人は一部なんですよね。これは過去の歴史を見てもそうですけど、異常なことが起こり、それによって混乱が一時的に生じても、日常が過ぎていくと、異常が日常に飲み込まれていく。昨今でも、ミャンマーでの軍事政権によるクーデター、ウクライナ侵攻やイスラエルでの内戦、、ニュースでも起きた当初は世界中が異常な事態、何とかしなければと騒ぐのですが、これが長い時間に埋もれていくと日常の中で思考停止が起こってくる。一番怖いのは、その思考停止の中で自分たちがよければ(無関係ならば)いいだろうという気持ちになってくること。その思考停止の中で多くの人が苦しんだり、その中で命を落とす人もいたりする隠された悲劇が起こってくる。しかし、その悲劇さえも時間の流れの中で風化してくるのです。

映画の印象的にはよくできてはいるものの、独特の世界観が現実をよく反映しているというか、それでも人間の浅はかというか、あくどい人間臭いところも含めて描いているところは好き嫌いが分かれるかもしれません。僕はそこはあんまり気にならなかったのですが、やっぱり小学生時代の回想シーンも含め、情報量多めに2時間枠の中に盛り込んでくるところが少々せせこましさを感じてしまい、お腹いっぱい感がぬぐえないかなと思ってしまいました。後編は、、観ないかな。。

<鑑賞劇場>TOHOシネマズくずはモールにて


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