見出し画像

「カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~」:一人の素敵な女性から若さと楽しく生きる方法を学べるステキドキュメンタリー!

<あらすじ>
『魔女の宅急便』の作者として知られる児童文学作家・角野栄子の日常に4年にわたって密着し、2020年から2022年にかけてEテレにて全10回放送された『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし』をもとに、新たに撮影し、再編集した。鎌倉の自宅では自分で選んだいちご色の壁や本棚に囲まれ、カラフルなファッションと個性的な眼鏡がトレードマークの彼女だが、5歳で母を亡くし、戦争を経験、結婚後24歳でブラジルに渡り、34歳で作家デビューするなど、波乱万丈な人生を歩んできた。持ち前の冒険心と好奇心で幾多の困難を乗り越え、「想像力こそ、人間が持つ一番の魔法」と語る彼女はどんな人物なのか? 88歳のキュートな“魔女”が、老いや衰えさえも逆手に取り、今もなお夢にあふれたな物語を生み出す秘訣に迫る。

KINENOTEより

評価:★★★★
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

ジブリの映画化作品で有名な「魔女の宅急便」の原作作家として知られる角野栄子さんを取り上げたドキュメンタリー。もともとはEテレのテレビ用ドキュメンタリー番組として使われた映像を映画用に再編集したものののようですが、僕は映画として本作の鑑賞が始めてでした。いやー、素敵な作品でしたね。幼い頃には戦争も体験した、御年88歳(撮影時)だそうなのが、予告編を観て分かるように本当に若い。年齢を感じさせない、彼女の前向きな生き方を見ていると、「若さ」とか、「生きること」とは何なのかを顧みさせてくれます。

まず、映画(予告編)を見ても分かるのは、彼女のいで立ち(服装)もそうだし、彼女の仕事場でもある自宅を見ても、ピンクを中心とした赤系の色合いにまとめられていること。色って、何気に普段私たちは意識しないのですが、いつも視覚に一定の色が入ってくると、深層心理の部分で影響を及ぼすのかなといつも思います。赤色は活動的だとか、緑色は落ち着きや安定感をもたらすとか、色彩と心理は関係しているとは言われていますが、そんなことを意識しなくても自分の好きな色とか、形状とかが近くにあると自分らしさを取り戻せるというか、落ち着かせるような効果があるのかなと感じます。

そんな色もそうですし、彼女も毎日の行動をカメラとともに追ってみると、絵本作家ということもあって、大半がデスクに向き合って、物語やキャラクターの性格づくりなど、内在的な部分で仕事をしている方なので、情熱大陸風に追っていくという形に着目すると地味目に見えたりします。しかし、彼女の毎日の生き方の部分であったり、単純な散歩とか、お正月の初詣などとか、季節が移り替わる中のちょっとした物事の捉え方のところに可愛さであるとか、面白さ・楽しさを大事に生きていることが本作でよく分かります。だから、戦争中とか、辛い海外での生活の中でも、常に前向きに生きることが素晴らしい出来事であったり、素敵な人との出会いを生じさせてくれる。それが彼女の絵本にも体現させ、その物語を読んで、子どもたちがちょっとしたことの楽しさを覚えていく。絵本や物語の生み出す大切なものを感じることができるという意味でも、意義深い作品だなと思います。

<鑑賞劇場>アップリンク京都にて


この記事が参加している募集

#映画感想文

66,723件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?