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「セッション」:生徒を押しつぶす鬼教師との対峙劇。公開当初とはちょっと違う見方ができたかも。。

<あらすじ>
偉大なジャズ・ドラマーになるという野心を抱いて、全米屈指の名門校シェイファー音楽院に入学した19歳のアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)は、何とかしてフレッチャー教授(J・K・シモンズ)の目に留まりたいと考えていた。彼が指揮する“スタジオ・バンド”に所属すれば、成功は約束されたも同然だからだ。ある日、一人で練習するニーマンの前にフレッチャーが現れるが、ほんの数秒聴いただけで出て行ってしまう。数日後、ニーマンのバンドのレッスンに顔を出したフレッチャーは、メンバー全員の音をチェックすると主奏者のライアン(オースティン・ストウェル)を差し置いて、ニーマンにだけ自分のバンドに移籍するよう命じるのだが……。

KINENOTEより

評価:★★★☆
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

まず、映画の感想を始める前に(笑)。本作「セッション」(2014年)は日本では2015年に劇場公開された作品になります。形としてはリバイバル上映を観た感想になりますが、今までだとこういう上映は、今も続いている東宝の午前十時の映画祭だったり、松竹のクラシック映画コレクションなどのシリーズで劇場公開(古い作品だったら4Kレストアとかもされて)になるかなと思いますが、昨今では最新映画の劇場ラインアップの苦境(映画館鑑賞人口の減少)などで、10~20年くらいまえの映画が期間限定で劇場公開されたりします。僕はテレビや動画配信での鑑賞よりは、断然映画館鑑賞派なので、こうした単発のリバイバル上映での鑑賞した作品の感想も上げていこうかと思っています(これらの映画のほうが最新作よりレンタルや、動画配信で触れやすいとも思うので)。

ということで、本作の感想ですが、これも劇場公開時の2015年に鑑賞しています。当時の感想文は公開していないんですけど(笑、今読み返してみると、アカデミー賞を取るくらいの作品でありながら、この体罰教師と生徒の対立劇が傍目から見て理解できない、でも、音楽は最高!!とか書いていたりしていました。その公開時から約10年経った2024年現在に再び劇場で観た感想は、少し公開当時とは違った印象になったかなと思います。鬼教師フレッチャーと、彼のしごきを受けるアンドリューですが、どちらもやっぱり人間性としては疑問符をつけざるを得ない。でも、幾度とある対立劇の中で、一瞬アーティストとして共感しあう瞬間があるのです。これがフレッチャーが指揮者ではなく、一演奏者であったら、しごきではなく、演奏の主導権争いで文字通りセッションできたであろうけど、片一方が指揮者という体裁なのでそれができない。だからこそ、しごきというコミュニケーションの中で互いを高め合って、思い通りの演奏を引き出していく。なので、しごきという題名ではなく、セッションという題名になっている(原題は「WHIPLASH」なんですけどね笑)のかなと思います。

でも、やっぱり最後にフレッチャーが仕掛ける罠は悪だくみそのものでやっぱり嫌な気持ちにはなります。そうした心の嫌な変遷(笑)を吹き飛ばすのが、ジャズの心地よい響き。それもアンドリューの叩くドラムの響きがズドンとくるので、ご自宅での鑑賞でもいい重低音が響く音響下で観て欲しいなと思います。

<鑑賞劇場>MOVIX京都にて


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