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「BLUE GIANT」:ライブ音響上映の機会に鑑賞。音楽の力によって作品のいい面が何倍も増幅させる。

<あらすじ>
ジャズに魅了され、“世界一のジャズプレーヤーになる!”と、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大(声:山田裕貴)は、雨の日も風の日も毎日、たったひとりで何年も、河原でテナーサックスを吹き続けてきた。卒業を機に、ジャズに打ち込むために上京。高校の同級生・玉田俊二(声:岡山天音)のアパートに転がり込んだ大はある日、訪れたライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈(声:間宮祥太朗)と出会う。

KINENOTEより

評価:★★★★☆
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

ジャズを題材にした石塚真一の同名人気コミックをアニメーション映画化した2023年公開作品。ちょうど1年ちょっと経ちますが、この頃はまたnoteに感想文投稿していないので、まだまだだなと本感想文を書いてて思ったりします(笑)。ちなみに、公開時でも結構気に入ってみていて、DolbyAtmos版、そして大阪でのTOHOシネマズでの轟音スクリーンでの上映も観に行っていたりしていました。今回は松竹系の劇場で行われたライブ音響上映版を見に行ったのですが、音響面では今回が一番よかったんじゃないかと思います。轟音スクリーンは確かに音は大きいものの、セリフも含め、全体的に音が大きくなっていただけな印象と打って変わって、今回の鑑賞では演奏シーンでの特に低音(劇中では特にベースなどの低音楽器はあまり出てこないものの、バスドラムの響きとか、ちょっと出てきたウッドベースの鳴り具合など)の印象がすごく良く、もちろん主人公・宮本のテナーサックスのちょっと乾いたテナー特有の低音の擦れた音もよく聞き取れました。

演奏面のクオリティがすごく心に響いた鑑賞でしたが、本作の印象的には初回と大きく変わるものではありません。本作の一番の魅力でもあり、原作ファン(僕は映画鑑賞後に原作を追っていますが)の一番の注目どころであるのが、音楽コミックにはいつも付きまとう、音が鳴らない原作と、音が鳴ってしまう(鳴らさざるを得ない)アニメ版というところの印象差というところでしょう。僕は音楽は今でもやっているものの、正直耳はあまり良くないので(笑)、今までの経験上、本作の宮本が鳴らす音に皆が賛美するように、旋律だけを聞いてピクッと心が引き寄せられるというのがよく分かりません(料理マンガで、「これは、、、」というやつと一緒w)。なので、本作で実際に音を当てたアーティストの演奏が、本当に物語と連動して、宮本なり、JASSの演奏に皆が心動いたというレベル感だったのかという評価はちょっとできない感じです。ただ、それでも本作で各キャラクターが演奏の中で成長し、ラストの感動のライブシーンまで盛り上がっていくのは音楽は重要な要素でもあるし、音響クオリティも素晴らしいのも相まって、心に迫るものがすごい。企画上映ということもあり、結構満員なお客さんとともに出の鑑賞なので、より一層盛り上がり効果として引き立ったものを感じました。

それにしてもですけど、今更ながら音楽というものの持つ素晴らしさとともに、儚さみたいのも同時に感じてしまいます。前もどこかの感想文で書いたと思うのですが、音楽というのは他のアート作品に比べると、すごく共時性を持っているもので、同じアーティストであったり、同じ曲であったりしても、今演奏している一瞬と、過去・未来弾いたときの演奏とは(当たり前だけど)違うものです。それは楽器や演奏場所でもそうだし、腕前や体力というところもそうだし、一緒に演奏しているもしくは聞いてくださる観客によっても違ってくる。これは昔も、歳を取った今だから尚更そうですけど、時間関係なく残しておけないアート作品だからこそ(撮影とか録音できるだろうという範囲の話ではなく)、今の一瞬を大事にしようと楽器を前にすると強く感じるものです。本作は、そうした儚さをロマンというもので昇華しているから、原作も含め、多くの人に愛されるドラマになっているのだと思います。宮本大の今後の旅も、引き続きアニメ化(もしくは映画化)希望です。

<鑑賞劇場>ミッドランドスクエアシネマにて


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