仕事ができない扱いだった話

今の会社に勤め始めた頃、最初の1年間は「仕事できない人」扱いだった。

それまで勤務経験は2社ほどあり、どちらの会社でも仕事ができる扱いだったから個人的にはとてもショックだった。

そういう評価を受けているとわかってからは「私は仕事ができない扱いの社員なんだ…」と妙に意識してしまって、余計に悪循環を及ぼしていた。

組織としての方向性は「できない奴は叩く」だったので、毎日2-3時間のよくわからない説教を怒号と共に実施され、本当に退職してやろうと思った。

しかし、不思議とそんな風に粗末に扱われていると、人間というものはだんだん暗示にかけられるもので、「自分はこの会社でもできない人間だから、他社にも行けない人材価値の低い人間」という意識になってしまうのだ。

私も例外ではなく、そう思って心はいつしか萎縮し、転職サイトはチェックするものの、応募する自信はなくなっていった。

どうしてそんなことになってしまっていたのか?と考えると、きっかけは自分の態度にあったと思う。

今の職種は過去に経験したことのある職種だが、途中で違う職種をやってブランクがあった。

日進月歩の世の中の流れで過去に使っていたソフトウェアや技術的なことが陳腐化し、変革が何度も起きていた後で、「え、変わってる…今ってそうなの!?」という変化に対応することからのスタートだった。

そのため態度に自信がなく、表情にも「私にやれるのかな?」という心情が漏れてしまっていたと思う。それを攻撃は最大の防御みたいな性格の上司に嗅ぎつけられていた。

のちに聞いた話では、「俺が面接してないのに入社してるから気に入らなかった、だからいじめた」と言われた笑。

更には、入社時に受けたスキルチェックで「スキルなし」と回答した事項に関して担当命令が下り、余計に自信のなさが滲んでいたと思う。

「私にはそのスキルがなくて、できません」そう答えたら、「社会人はできませんとか、わかりませんとか言う権利ないんだよ!わからねーならスキル身につけてやれよ」という答えだった。

途方に暮れた。

でも、やるしかなかった。今クビになれば家族と共に路頭に迷う。他に雇ってくれるところもないだろう。当時そう思った。

結論から言うと、今でもそのスキルは中途半端だ。得意不得意で言えば、完全に不得意分野だからだ。しかし、要求される最低限のレベルには当時なったかなと思う。

他にもメインスキルがソフトウェアの変化や、クラウドベースでの作業などさまざまなことに慣れていかないといけなかった点は、今では克服していて、むしろリテラシーは高い方になれたと思う。

では、どうやって「仕事できない扱い」から脱却して「仕事めっちゃできる扱い」に評価を変化させたのか?

それは「数値」を使ったのである。数値というものは、誰にでもわかる指標で、時に便利で時に残酷である。1番身近で簡単にわかるものとしては、「金額(円)」。他にもマーケティングの結果得られたお問い合わせの数、「件数」。依頼をしてくれた「社数」などなど。

そういった各種の数値を上げていった。目標を立てて宣言をしてカウントして報告する。それだけである。もちろん達成するように努力もするのだが。

ここで大事なのはやれと言われるからではなく、「自分から宣言した」事だと思う。数値が達成された根拠として「仕事の品質がいいので依頼をリピートしてくれた」とか、「アドバイスを求められて答えたら買ってくれた」などお客さまを味方につけた。

その繰り返しの結果、結局は品質の良い仕事をする人材だと認められていった気がする。金額の算出により、直接的に会社に利益をもたらしている人材としてもはっきり可視化できたと思う。

仕事ができないのではないか?と過去の私と同じように困っている人がもしいたら、「合ってない職種ではないか?」を考えるのはもちろんなんだけれど、(適材適所の考え方)「萎縮して自分で自分の心に負荷をかけすぎてないか?」、「何をもって自分の社員としての価値を示せば良いか指標がないのではないか?」または「成果を数値化できてないのではないか?」ということを今一度考えてみてほしい。

もし、それらを考えてみてなんとか突破口がありそうなら頑張ってみてほしい。もう無理、向いてない、心が苦しすぎるってなったら職種変更や転職をするしかないけど、もしかしたら真剣に考えたならチャンスはまだあるかもしれない。

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