見出し画像

雑談・業務報告で終わらない「1on1スキル」とは|【篠田真貴子さん監訳『LISTEN』発売記念セミナー2】(後編)

9月9日、篠田真貴子さん監訳『LISTEN』発売記念セミナー「聴く力の高め方」が開催されました。今回ご紹介するセミナー後半のテーマは、「管理職の1on1力を高めるための方法」について。登壇者は、プロダクト開発責任者の内田修平さんです。具体的な解決策を、詳しくレポートしていきます。【編集部 奥澤】

▼前半の内容はこちら
「聴く」は必須のビジネススキル|【篠田真貴子さん監訳『LISTEN』発売記念セミナー➁】(前編)

【篠田真貴子さん監訳『LISTEN』発売記念セミナー➁】
日時:9月9日(木)13:00~14:30
前半:「聴く」は必須のビジネススキル 
エール株式会社 取締役 篠田真貴子さん
後半:管理職の1on1力を高める具体的な方法とは? ←イマココ
エール株式会社 プロダクト開発責任者 内田修平さん

――前半では、篠田真貴子さんから、

「聴く」は、ビジネスで成果を出す上で必ず求められるスキル。なぜなら、人間関係の土台であり、パフォーマンス向上につながっているから。けれども、残念ながら「聴く」スキルは自然体で身に付けることは難しい。そこを理解して、“身に付けるべきビジネススキル”として意識的に学んでいくことが大事、というお話がありました。

これを受けて、プロダクト開発責任者・内田さんが「聴く」スキルが求められる「1on1」について解説します。

「1on1」の必要性が高まっている理由とは?

画像1


内田さん:最初に「1on1」の企業導入状況や必要性について、少しお話したいと思います。

今日、参加された方の多くも実感されていることだと思いますが、「1on1」を導入している企業は増加傾向にあって、ある調査では導入率4割以上とも言われています。導入の背景を見てみると、ここ数年では「リモート環境下でのコミュニケーション課題」が中心。ですが、他にも「働き方をめぐる構造的な変化も関係しているのではないか」とエールでは考えています。

画像3


たとえば、「意欲や向上心の源が、外部環境から内的動機へ移っている」「多様なメンバーをマネジメントする必要がある」「業務に求められるコミュニケーション量が増加している」などがそれに当たります。このような観点から見ても、「1on1」によるマネジメントは今後ますます必要とされていく、というのが私たちの主張です。リモート環境が広がったから……という一過性のものではないと捉えています。

1on1力向上における課題は、「聴く力を身に付ける機会の不足」

――必要性が高まる「1on1」ですが、現場では単なる雑談で終わってしまったり、上司によっては本音を言いづらかったり…このやり方でいいのかと疑問を感じている方も多いように思います。

内田さん:残念ながら1on1の有効的な活用は、導入したからといってすぐにできるものではありません。私自身もプロダクト開発に携わる中で、数千人もの経営者、人事担当の方からさまざまな困りごとをお聴きしてきて、本当に難しい、というのが実際のところです。

ここでは、現場のリアルな声を聴きながら「1on1力向上の課題」について考えてみたいと思います。

【例】1on1が自己流で、変わらない
それぞれのマネージャーが知っている1on1を、それぞれの現場で自己流のまま実施。人事などの企画担当からマネージャーに概念ややり方を伝えるも、なかなか受け入れてもらえず変化が起きない…というお悩みです。

【例】研修をやっても、効果が薄い
これは、ほぼ100%の企業から上がってくる代表的なお困りごとです。研修を実施するけれど、効果的に活用されず、実際のスキルとして向上しない。さらに、現場からは「また研修…」という研修疲れの声が上がる。結果として、現場に任せるしかないという状況が起きています。

【例】1on1が、ほぼ業務の話
「上司はやり方を教える」というカルチャーが根付いている企業においては、1on1がティーチングになってしまっている。部下が業務の相談をして、アドバイスをする時間になってしまう。

【例】「1on1」の目的・価値の理解が浅い
これは、実際に1on1を実施する管理職の方が抱える課題です。目的の理解、価値の理解が浅いと、部下は本当に成長するのか?やる意味があるのか?という声が上がりやすいと言えます。

【例】「1on1」のやり方が分からない
こちらも、管理職の方からの声です。自分なりに実践しているが、これでよいのか正解が分からない。どんな会話をしていいのか毎回悩んでいるが、だからといって相談相手もいない…などの悩みになります。

画像4

膨大な1on1データを分析する中で、見えてきたのは「1on1に求められるスキル」、そしてその「1on1スキル向上を阻む課題」です。

1on1においては、評価やティーチングだけでなく、部下の自律・主体性向上、成長促進を目的とした「聴く力や対話する力」が求められます。

画像5

しかしながら、「聴くや対話」がうまくできていない現状がある。それはなぜかーー。

私は、それは「聴く力を身に付ける機会が不足しているから」と捉えています。私たちは、「評価面談・業務相談」に比べて、「聴く・対話する面談」をほとんど経験していない現状があるのです。自身が新入社員だった頃を思い返してみても、上司との面談はティーチング・フィードバックが中心だったのではないでしょうか。

「聴く力」は、「関心・理解・実践」のサイクルで磨かれる

――では、具体的にどのような「機会」があればよいのでしょうか。内田さんはこう解説します。

画像6

内田さん:「聴く」スキル習得のためには、「関心」「理解」「実践」の3つの機会が必要というのが私の結論です。一つずつ解説していきます。

「関心」を高める機会
「関心」を高めるために大事になってくるのが、「聴かれる体験の場」を用意することです。たとえば、かつての上司が丁寧に自分の話を受け止めてくれた体験があった場合、自身が部下を持った際にも同様の振る舞いができます。逆にその体験がないと、1on1そのものに価値を見出すことが難しい。1on1をやる意味はあるのか? 成長につながるのか分からない……という状況を生み出してしまうわけです。

エールの社外1on1サービスを利用した方に行なったアンケートでは、約8割以上の方が「聴く関心が高まった」と回答。「聴かれる体験」こそが、「聴く力」を向上させる第一歩と言えます。

「理解」を深める機会
次に高まった「関心」を起点に、概念や、やり方などの知識をインプットし「理解」を深めていくことが重要です。自分自身が納得していることとして、「1on1」は部下のための時間と考えることができるのです。

「実践」を重ねる機会
「関心」を持って「理解」を深めたことを「実践」することで、初めてスキルを習得することができます。学んだことを実際の1on1で取り組む、うまくいったかどうかを振り返る……そのくり返しによって、スキルが定着すると言えます。これによって、「正解が分からない」「部下が話をしてくれない」というマネージャーの悩みも解消されるはずです。

画像7

そして、これら3つの機会に対して、1つ1つ個別に施策を行なうのではなく「サイクルとして回すこと」が重要なポイントになってきます。聴くことに「関心」が高まっても、インプットがなければ「理解」は深まらないですし、「実践」できなければ経験としてスキル定着・向上しないということです。

ここまでお話してきたことをまとめるとーーー

画像8

――最後に内田さんから、エールの新サービス「1on1力向上 オンライン研修プログラム『YeLL | 聴くトレ』について紹介がありました。

2000人以上の1on1を探究する中で見えてきた課題に対する解決策が、一つの研修プログラムになっています。この研修では、「関心」「理解」「実践」の3つの機会をサイクルとして回すことが可能です。

まず最初にエールの社外1on1サービスを通じて、自身が「聴かれる体験」をする。それによって、聴くの「関心」を高める。次に、2000⼈以上のビジネスパーソンの聴く⼒向上に取り組んできたエールの知見をまとめた研修動画で「理解」を深める。そして、振り返りシートによって自分の言葉をアウトプット、エールのサポーターによるフォローによって「実践」を積み上げていくことができる内容になっています。

画像9

詳細はこちらでも紹介されていますので、ぜひご覧ください。

1on1力向上オンライン研修プログラム「YeLL|聴くトレ」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?