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『聴く』力が経営力を左右する①|聴き合う組織をつくる『YeLL』のnote

こんにちは。エールの篠田真貴子です。
私は、様々なビジネスリーダーにお会いする機会があります。

エールは、社外人材がオンラインで1on1を提供する会社です」と自己紹介をすると、「傾聴ですか。部下の話を遮らずに聞けってやつですよね」と反応いただくことが少なくありません。

「きく」ことを研修などで学んだことがある方がたくさんいるんだなぁ、と嬉しくなります。同時に、「きく」を狭く捉えてしまってもったいない、と感じるのも正直なところです。そんな方に「きくことは、経営に不可欠なんですよ」とお伝えすると、たいてい、意外な顔をされます。

「きくこと」が経営にとって大切とは、どういうことでしょうか。

まずはじめに「きく」とは何かを改めて確認しておきましょう。
わたし自身の個人的な経験上を聞くには少なくとも4種類あると思っています。

①きいてない。
②きいてるようで、きいていない。
③相手に注意をむけて、批評的にきく(critical listening)。
④相手の「肯定的な意図」に注意をむけて、きく

①きいてない。
読んでの通りです。
相手が話している時にぼーっとしていたり、スマホをチラッと見たりしている状態です。

②きいているようで、きいていない。
飲み会などで仲間とワイワイやっている時、相手が話したことにどう突っ込もうかなど、次に自分が言いたいことで頭がいっぱいになっている状態です。

③相手に注意をむけて、批評的にきく(critical listening)。
相手の話の内容に意識を向けて、遮らずにきいています。そして、自分の頭の中で「賛成」「それは違う」など、自分視点で評価をしながらきいているのです。皆さんも仕事の場面で多く経験しているのではないでしょうか。

④相手の「肯定的な意図」に注意をむけて、きく。
これは相手は何らか肯定的な意図をもって発言したという前提に立って、発言の意図や背景文脈を理解しようする姿勢です。仮に相手の発言がこちらへの反論であったり、理解不能な内容だとしても、です。人なら誰しも自分に良かれと思って行動しています。自分も、自分と相入れないあの人もその点では同じ、という前提に立ってきく、ということです。

この時、相手の話すことに賛同したり、 従う必要は全くありません。あなたはそう考えているのですね、あなたの立場からはそのように見えるのですね、と客観的な感じで受け止めればよいのです。

私は、④は、一般に「アクティブ・リスニング」や「傾聴」と呼ばれるスキルを構成する要素のうち、所作ではなくて、思考・感情の部分にあたると考えています。これには「聴く」という字を当てたいですね。

この4つの中で経営という視点で特に重要なのは④の「相手の「肯定的意図」に注意をむけてきく」です。なぜならそれは、自分と背景や文脈が異なる相手とのコミュニケーションに不可欠なきき方だからです。

「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~」を2020年9月に公表した一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄さんが、「会話と対話は違う」と指摘しています。

会話は、 自分と同じ文脈にいる相手とのコミュニケーション。一方で対話は、異なる背景を持つ相手とのコミュニケーションだとのことです。まさに、自分とは異なる背景文脈を理解しようと「肯定的な意図」に注意をむけて、きく、④のきき方が求められる、と言えます。
対話は実は互いに「聴く」つまり「対聴」とも言うべきコミュニケーションモードなのではないでしょうか。

経営においては、新しい価値を創造し(イノベーション)、 組織の人々の方向を揃えてこれを実現し(社内コミュニケーション)、その過程で様々なステークホルダーと理解をすり合わせていくこと(社外コミュニケーション)が必要です。
これらの活動全てにおいて対話、つまり背景や文脈が異なる相手や、自分と利害が必ずしも一致しない相手とのコミュニケーションが必須です。そうしたコミュニケーションには、「聴く」ことが欠かせません。


次回では、この経営において重要なイノベーション、社内コミュニケーション、社外コミュニケーションと聴くとの関係性をより具体的にお話しします。


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