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心理的安全性の高い組織とは何か|聴き合う組織をつくる『YeLL』のnote

こんにちは。YeLLのHISAKOです。普段はフリーランスとして企業を支援しながら、YeLLではサポーターや事業開発周りで活動しております。

「心理的安全性が大事だよね」というのは、世のビジネスパーソンの中ではすでに定着化されつつある考えだと思いますが、頭では理解していてもなかなか企業で運用していくことは生半可なことではないだろう、と思っています。実際に、

「心理的安全性を意識しすぎて、厳しいフィードバックができない」
「リモートワーク環境の中でマネジメント、コミュニケーションに課題を感じている」

上記はいずれも上場企業の部門長の実際の声ですが、このような悩みを抱える方は少なくないのではないでしょうか。

本記事では、2020年11月18日に行われた『反対意見も建設的に言い合える、心理的安全性の高い組織と「聴く」力』にてエール株式会社の篠田さん、櫻井さんの講演内容を基に、
・心理的安全性の高い組織とは何か
・リモート環境で生産性の高いチームを作るためには
・話してもらうと厳しいフィードバックの両立させるには

について3回に分けてイベントレポートをご紹介していきます。

心理的安全性の高いチームとは?

Googleトレンドを見ると、2016年頃から「心理的安全性」への関心が右肩上がりに高まっていますが、それはGoogleのプロジェクト・アリストテレスで、「パフォーマンスの高いチームの特徴として、圧倒的に大切なのが心理的安全性が高いこと」を挙げていたことがきっかけでした。

New York Times Magazineの記事では、心理的安全性のあるチームの特徴として「メンバー間の話す量が均等」であり、「非言語コミュニケーションに敏感」であることが書かれています。
メンバーの話す量が均等であるということを具体的にイメージすると、仮にメンバーが5人いて全員が均等に話した場合、一人当たりの話す量は20%、あとの80%は聴いているという状態となります。平均的に「聴く」ということが実践できていて、相手の非言語情報を読み取りながらのコミュニケーションが出来ているチームを指す、つまり「心理的安全性」と「聴く」というのは密接に関係しているという仮説が立てられます。

また、「心理的安全性」の概念は20年前の1999年にエイミー・エドモンドソンさん(以下、エイミーさん)の論文によって提唱されており、2018年に出版された「Fealess Organization」では多くの具体的なケースを紹介しながら、心理的安全性について分かりやすく説明されています。心理的安全性の重要性を感じたご自身の医療現場でのミスの共有数の研究をもとにエイミーさんは、心理的安全性とは「誰かが、アイデア、質問、懸念、失敗について発言したとき、チームが恥ずかしい思いをさせたり、拒否したり、罰を与えたりしない、むしろ発言が期待されている、と確信できている感覚をいう。」と定義しています。

この前提を理解したうえで、「心理的安全性」について組織で誤認識されがちなポイント、講演者である篠田さん自身の気づきについて、まとめていきます。

心理的安全性にまつわる誤解

①イノベーションに必要?
篠田さんは、Googleのプロジェクト・アリストテレスの文脈もあり、心理的安全性はイノベーションに必要なものであると思っていたそうですが、実は、学習するチームに必要なものだったのです。エイミーさんの研究対象であった医療現場についても、イノベーションを起こす場としてではなく、ミスから学ぶ場、他者から学ぶ場として心理的安全性が大切だったのです。つまり職場に不確実性や、相互依存性があると、心理的安全性が大切になってくるという訳ですね。

②個人の資質が関係ありそう?
外交的な人は心理的安全性が高く、内向的な人は低い、ということはなく、心理的安全性というのは「場の環境」であるため、個人の資質に関係なく、心理的安全性が担保されている場では、それぞれのメンバーが差異なく、懸念やアイデアを発言しようと思える、とエイミーさんは明確に論文や本で言及しています。

③心理的安全性=ぬるい?
心理的安全性が高い職場は、皆がお互い「いいね」を言い合うような環境であるという誤解が生まれがちですが、心理的安全性と仕事の要求水準の高低は別軸で捉えられるものです。

チーム

エイミーさんは、心理的安全性が高いということは、車の運転で例えるとブレーキを外した状態で、一方の仕事の要求水準が高いということはアクセルを踏んでいる状態であると言っています。
学習し、高いパフォーマンスを出すチームというのは、心理的安全性が高くブレーキを緩めている状態でありながら、仕事の要求水準を満たすためにアクセルも踏んでいる状態であるということですね。

エイミーさんの初めの研究対象となった医療現場では、治療成績が高いチームのミスの報告数が多かった、という事例があります。ミスが共有しやすい環境であり、そのミスからチームが互いに学び合い、結果、治療成績も高くなった、というケースがこの状態です。一方で、心理的安全性は高くても、要求水準が低くなれば生ぬるいチームになるし、心理的安全性が低く、要求水準が高くなれば殺伐としたチームになります。

心理的安全性が低く、仕事の要求水準が高い職場では、成果のみを追い求めるが故にメンバーが発言することが出来ずに仕事の質や、職場の安全性が脅かされてしまう状況になりかねません。

心理的安全性が高いと瞬時の学びが創発される

心理的安全性の担保されている状況というのは、直感的、本能的に感じられるもので、その状況下で瞬時の学びが創発されるとのことです。
エイミーさんは航空機の機長と副操縦士の間の心理的安全性について、2つのケースを挙げて説明されていました。
1977年のカナリア諸島での事故のケースでは、心理的安全性が担保されていなかった機長と副操縦士の間で、副操縦士が自分が感じた危険を機長に率直に伝えられなかったために、大事故に繋がりました。
もう一つの事例は2009年のハドソン川で起きた不時着のケースです。これは機長、副操縦士、管制官との間に心理的安全性が担保されていて、2つのエンジンがストップするという未曽有の状況下にも関わらず、機長、副操縦士、管制官の間で刻々と変わる状況下、瞬時の学びが創発され、乗客全員無事にハドソン川に着水することが出来たのです。

心理的安全性を実現するために「聴く」

心理的安全性を実際に担保していくためには、エイミーさんは
①場を作る
②参加しやすくする
③建設的な対応をする

ことが大切だと話しています。
何のために率直に発言するのかという期待や意義を共有して場を作り、発言はいつでも受け止められると思える環境を作るために、リーダー自らが問いかけと、じっくりと「聴く」という行為を示し、聴き、受け止め、ありがとうと伝えることで感謝し、支援したり、ブレストで次のステップを考えたりすることで、失敗は恥ずかしいことではないと伝えながら、継続的な学びを助長する対応をすることが大切とされています。心理的安全性を実現するためには「聴く」という行為がとても有効になってくることが分かります。

次回は「リモート環境で生産性の高いチームを作るためには」について、レポートします。お楽しみに!


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