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私と黒猫1

黒猫に思い入れがあります。

YeKuの猫

小学生の頃、友達と歩いていると、行きがかったマンションの駐車場から、猫の鳴き声がすることに気づいた。

「猫の声がするね」と友達が言いながらが足を止めて、好奇心いっぱいに車止めの奥にある茂みに近づくと、黒い小さな子猫があどけなく座って、ミャーミャーと鳴いていた。

あまりの可愛さに、私と友達はその子猫の前に長いことしゃがみこみ、撫でたり、観察して時間を過ごした。

私と友達は、その猫に「くろちゃん」と名前をつけ、相談して家からエサになりそうなものを持ってきて与えたり(今思えばあまり猫の健康に良い食事ではなかった)、自転車のカゴに乗せて遠くの公園に遊びに行ったりした(今思えば猫をそんな風に遠出させるのは良くない)。

親や先生にも言わず、ちょっとした飼い主気分で私たちはくろちゃんを可愛がっていた。

ある日、いつものように駐車場でくろちゃんと遊んでいると、管理人らしき年配の男性が声をかけてきた。

「猫にあんまりエサをやるとね、居ついちゃうから、やめてね」

私と友達は顔を見合わせて、「はーい」と言ったものの、見つからなければいいかと、それからもくろちゃんと遊び続けた。

でも、その数日後、いつものようにくろちゃんを呼んでも出てきてくれなかった。私と友達は、くろちゃんの名前を呼びながら駐車場の中を探し回り、前連れていった公園にまで探しに行ったが、どこを探してもくろちゃんはいなかった。

私たちは、何日も何日もくろちゃんを探して回ったが、結局、どこを探しても見つからない。

前に声をかけてきた管理人さんにも知らないか聞いたが、「知らないなぁ」と言われるばかりだった。

くろちゃんはどうしたんだろう。どこに行ってしまったんだろう。

きっと、誰か優しい人に拾われたんだろうと私と友達は結論づけたが、今に至るまで、くろちゃんに何があったのかを考えない日はない。

子猫だったから、ふとしたことで息絶えてしまったのかもしれないし、車に轢かれたのかも知れないし、誰かが保健所に連絡して、連れて行ったのかもしれない。

でも願わくば、くろちゃんに何か幸せなことが起きて、幸せな一生を送ったんだろうと信じたい。そうじゃない可能性の方が高いとしても、あの可愛らしい小さな猫が、天国できっと安らかに眠っていると信じたい。

私は黒猫と何かと縁があるが、初めてはこの「くろちゃん」だった。もっとあの子のために出来たことがあったかもしれないのにと、たくさんの後悔が過ぎる出会いだった。


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