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サインバルタは躁うつには良くない。離脱症状もある【私とおくすり】

 まず最初に、この【私とおくすり】のシリーズは、この薬を飲むことになった人に向けて、体験記的にお送りするコンテンツである。

 自分が薬の副作用などを調べる時に、精神科医が発信する客観的な情報しか見つからず困った。私は、当事者目線で、どのように効いて、どんな副作用があり、どんな気持ちか、の体験談が欲しいと思っていた。

 もし客観的な薬の情報が必要であれば、医師の発信する媒体を確認していただきたい。また、ここに記載する副作用や効能は個人差があるので、過度に恐れないでいただければと思う。

 サインバルタ(デュロキセチン)は、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ効果のある薬だ。

 セロトニンとノルアドレナリンを増加させる作用があるので、気分を落ち着け、意欲を改善するような効果が見込まれる。

 抗うつ薬として比較的新しい薬だが、効果が明確で副作用が少ないという点で他の薬より優れており、結構気軽に処方される傾向があると思う。

 私は双極性障害と診断されるまで2回うつで受診しているが、そのどちらでもメインの抗うつ薬としてはサインバルタを処方された。

サインバルタ(デュロキセチン)

 一度目の時は(脳と心の関係を軽視していたので)薬のせいとは思っていなかったが、1年近くにわたって飲んだ結果、躁転して、借金してまで無理やり引っ越し(なお、その引っ越しも失敗)、100社以上の企業にめたらやったら履歴書を送り、気が付くと再就職していた。

 二度目の時は約40日間飲んでいたところ、軽躁状態を自覚したので、医師と相談の上、服用をやめた。

 他に、体の痛みに対しても効果があるようだが、後述するように離脱症状が鬱陶しいし、抑うつがないのにセロトニンやノルアドレナリンを増やして何が起きるか分からないし、体の痛みで処方される場合に躁うつ気質がないかを鑑別できるわけでもないし、万一躁に転じてしまったら病院に来なくなる。個人的にはちょっとどうかと思う。

 また、サインバルタの離脱症状は明確なデメリットだと思う。

 カプセルで処方されるために、少しずつ量を減らすということに限界があり、結局は誰でもこの離脱症状に苦しむのではないか。

 症状のピークは一週間程度だが、飲んでいた期間が長ければすべて消えるまでに半年~一年かかる。一カ月程度でも、数週間は離脱症状が続く。

 このサインバルタ特有の離脱症状というのが、形容しがたいのだが、一番苦しかった時の日記に以下のように書き留めていた。

遠くで響いてる、ジーッという白い音が頭の裏側を低く揺らしてる。気にしないときはうっすらあるだけだが、頭の血流量が変わると大きくなるようだ。ハッと我に返るほどそれに気を取られることがある。

 そう、なので、首をひねったり、立ち上がったり、目を左右に振ったりすると、この「ジーッという白い音」が支配的になって、非常に鬱陶しい。気を取られるので、例えば運転中などは危険だと思う。

 それの何が苦しいんだと言われそうだが、とにかく鬱陶しいとしか言いようがない。何か他のことに集中していても、無理やりこの離脱症状に気を取られて頭が真っ白になる感じ。邪魔。不快。

 また、サインバルタは双極性障害に相性が悪く、躁転させてしまうことがある
 ただし、双極性障害かうつかの診断は容易ではない(躁になると病院に来なくなるから大抵数年がかりの診断になる)ので、処方には慎重な判断が求められるのではないか。

 うつ病の患者のうち、何割かは双極性障害だと思うし、場合によってはうつよりも人生に対して破壊的なのだが、「双極性障害ではない」という鑑別をする前にとりあえずサインバルタを処方する。これがなぜなのかはよく分からない。止めた方がいいのではと思うが。やはり、副作用の少なさの割に他の薬に比べて効果が高いからと思われる。

 なお、双極性障害は病識を持ちづらい。あなたが「自分はうつになったことがあるが、双極性障害ではない」と思ったとしても、本人は躁状態のことを「気分が上がってただけ」という認識でいたりするし、躁状態の時には通院を止めてしまうし、周りとの関係も断ち切りがちなので、客観的に「あなたは躁転しています」と指摘されることもない。

 私がなぜ病識を持っているかと言うと、創作活動の前準備で、以前、改めて自分の人生を振り返った時、よく考えたら「大きな借金をする」とか「友達と喧嘩別れ」などの典型的な躁エピソードがうつ状態の後にあり、気分の波、およびエピソードを図化してみたところ、やっぱり双極性障害だろうと客観的に判断できたからだ。作った図を医師に見せて今に至る。

 なのでもし精神科に通院されている方で、サインバルタを処方されており、かつ、もしかして双極性障害じゃないかと思う方は、自分の人生に躁エピソードが無かったかを振り返って、医師に相談してみることをお勧めする。

 なお、双極性障害については以下の記事でも触れているので、もし興味があれば読んでいただけると嬉しい。


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