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【ドラマレビュー】どうしてこんなに女性を書くのがうまいのか? バカリズムさん脚本作品

みなさん、こんにちは。

最近、バカリズムさんが脚本のドラマを見る機会があって、あまりにも深すぎる女性の生態への理解におののいています。

え? この人前世日本人女性だった……?

もはや、私よりもずっと詳しい気がします。それだけでも面白いのですが、バカリズムさんのドラマには飽きさせない工夫がたくさんあって、ついつい見てしまいますし、たいていの量産型ドラマと違って、いつも新しい視点や独自の笑いがあり、魅力的です。

今日はそんなバカリズムさん脚本のドラマを3本紹介します。

1.ブラッシュアップライフ

あらすじは以下の通り。

33歳・独身の近藤麻美(安藤サクラ)は、地元の市役所で働いている。しかしある夜、トラックに跳ねられ、麻美はあっけなく死んでしまう……。気がつくと麻美は、真っ白な空間にいた。

困惑する麻美に、死後の世界の案内人(バカリズム)が、「33年間、お疲れ様でした。これから新しい生命にご案内します」と告げる。休む間もなく宣言された来世は、なんとオオアリクイ。人間ですらないのかよ。
しかし、もう一度近藤麻美として同じ人生をやり直して徳を積めば、また人間に生まれる確率が上がると聞いて、「だったらそれがいいです」と、人生のやり直しを選択する。自分の人生を0からブラッシュアップしていく麻美の運命やいかに……!?

主人公の麻美が人生で「ああしておけば良かったな」と引っかかっていたところをどんどんブラッシュアップしていく物語なのですが、まぁそんなにうまいこと行かず、色々失敗したりしながら、「より良い人生」とは何なのか? という哲学的な問いに向き合っていきます。

もう一つ見どころは、『職業体験モノ』としても楽しめるところ。主人公が諸事情あって色々な職業を転々としていくのですが、テレビ局のAD、薬剤師など、その職業独自の『あるある』が興味深いです。勉強になります。 

単なるコメディかと思いきや、え、あの人がまさか、そうだったの……? という怒涛の伏線回収の気持ちよさもあり。

エンディングの展開も好きです。ネタバレなので詳しくは言えませんが、私としては最高のハッピーエンドだなと思いました。あくまでも女性同士の友情や関係性に重きが置かれており、恋愛や結婚に逃げないのも良い。

ブラッシュアップライフは、あの(尊敬する)岡田斗司夫さんもオススメされている太鼓判つきの良ドラマです。

2.架空OL日記

あらすじ

実家暮らしのズボラOL・升野(バカリズム)が、大の仲良しである4人のOLたちと、上司の愚痴や美容・恋愛などにまつわるトークで盛り上がるさまを描く。

もともと、バカリズムさんがOLになりすまして書いていたブログをドラマ化した作品だそうです。いわゆる『日常モノ』みたいな感じで、大きな事件があるわけではなく、一話では『更衣室に設置してあるみんなで買ったハロゲンヒーターが壊れる』というささやかな事件が展開します(展開したと同時に終了します)。

女性が多い職場だとよくあるノリ(裏で炸裂する愚痴、謎の連帯感、集団で誰かを嫌う、仲は良いがお互いに本音は言わない、みんな寒がり) が忠実に再現されていて、そら恐ろしくなります。

なぜかバカリズムさんが女性OLに扮しているのですが、途中から何の違和感もなくなり、「ああーこういうのあるある」とものすごいリアリティに頷くばかりです。

途中から、リアリティがあり過ぎて「影で悪口を言っていても、表面上とってもフレンドリーで、何なら一緒に他の人の悪口も言う」みたいな女性あるあるの二面性が嫌になるくらいでした。

男性の多い職場はたいてい自分よりも細かいこと気にしない人が揃ってるので自分自身はのんびりしてられるのですが、女性は平均的に目端がきくので、他人の変化に敏感で、その興味や関心が鬱陶しいことがあります。人数が多いと派閥を作って群れますしね……。その感覚を思い出します。

架空OL日記は、あまりにもリアルな女性の生態を描いたコメディドラマです。

3.黒い十人の女

あらすじ

遊び人のTVドラマプロデューサーの不倫劇に巻き込まれた本妻と9人の愛人たち。渦巻く怒りがもたらした報復心はやがて、女たちを結束させていき...。

もとになった映画があり、そのリメイク版というか、現代版を描いた作品です。殺伐としたあらすじですが、コメディドラマです。

個人的には、今日紹介した3本の中でも一番面白いと感じます。奇人・変人のオン・パレード。ツッコミどころだらけで、爆笑しました。

なぜか結束していく女たちの絆の深まり方もリアルで面白いのですが、たまに女性たちが見せるヤンキーもかくやの女を捨てたキレ顔が面白いです。女性たちはみんな美人なのに台無し。さらには肉体的な喧嘩に発展し、野獣のように咆哮を上げながら華麗なドロップキックやジャーマンスープレックスが飛び交います。修羅や、不倫は人を修羅にするんや……!

そして『9人の愛人がいるプロデューサー』役を船越英一郎さんが演じているのですが、なんかもう、怪演としか言いようがない。9人も愛人がいるだけあって隙あらば魅力を振りまいているのですが、表情といい仕草といい、いちいち魅力的で嫌になります。なんかやたら脂っこくて気がづけば脳裏にべったり張り付きます。

女たちの心情はすごく細かに描くのですが、この愚かな不倫男の心情は一切と言っていいほど描かれないのですよね。だからなおさら心のない不倫モンスターみたいに見えます。多分、動物みたいにその場その場の勢いで女に手を出していってるだけです。

これでもかと強調される不倫の愚かさや、女たちの結束と戦い。「黒い十人の女」は本当に見どころ(ツッコミどころ?)の多い作品です。

最後に

というわけで3本紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。3つとも面白さの種類に違いがありますが、どれも「なんでこんなに女性を書くのがうまいんだよ」という衝撃は変わりません。いや、ほんと、何で?

とにかくリアルな女性の描き方に驚愕するばかりですが、物語としても面白く、見ごたえがあるので、どれか気になったらぜひご覧になってみてくださいませ。


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