銀河鉄道999のDolby Cinemaリマスター版を見た話

 一昨日、補講のための大学が休校日だったので映画を見に行くことにしました。演目は『銀河鉄道999』のDolby Cinema版。京大生の庭?である新京極商店街のMOVIX京都での上映でした。

 ところで、Dolby Cinemaとは何ぞや?という方がいらっしゃるかとおもうので、まずはDolby Cinemaについて軽く説明したいと思います。松竹マルチプレックスによると、Dolby Cinemaとは

「映像と音響のパワフルな技術に、卓越したシアターデザインが組み合わせられることにより、映画館を最高に魅力的なシネマ体験をお届けする空間へと変えます。・・・映像技術を凌駕し、広色域で鮮明な色彩と幅広いコントラストを表現するハイダイナミックレンジ(HDR)映像・・・ドルビーアトモスは、これまでにないリアルなサウンドでシアター館内を満たし、縦横無尽に空間内を移動させる・・・両技術とドルビーシネマの洗練されたシアターデザインが一体となって作り出す空間の中で、驚くほど鮮やかでリアルな映像・サウンドをお届けすることで、まるで映画の世界に入ったような、劇的な進化を遂げたシネマ体験をお届けします。」

…というものです。つまり、色鮮やかでコントラストが高い映像と立体音響による映画体験を豪華な椅子に座って楽しもう!というものです。(https://www.smt-cinema.com/dolby/index.html

 私が初めてDolby Cinemaを体験したのは昨年上映された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でした。シンエヴァのDolby Cinema版では宇宙空間やエヴァ特有の不思議な空間が美しい漆黒により際立っていたのが印象的だったように思います。以降、『龍とそばかすの姫』、『Last night in Soho』、『The Matrix Resurrections』等の作品をMOVIX京都のDolby cinemaで鑑賞してきました。それから、地味にうれしい点として挙げられるのが、ひじ掛けとボトルホルダーが必ず一人2つ(左右)使えるため、隣の人とひじ掛けの奪い合いにならないという点です。最近だと某病気のせいで映画館はガラガラなので隣に人がいるという状況はあまりないかもしれないですが、それでも誰にも気兼ねすることなく左右両方のひじ掛けを使えるというのは精神衛生上非常にいいです。Good job!

 前置きが長くなってしまいましたが、本題の『銀河鉄道999』の話に戻ります。1979年に上映されたSF映画が上記のDolby Cinemaに対応する形で4Kリマスターされたのが今回私が見たものです。内容、作画、音響(これは変わってるかも)等は当時のまま、高精細な映像に生まれ変わった作品ということで、多少の古さは感じられましたが、「1979年の映画だ」という印象は受けませんでした。特に昔のアニメ特有の彩度の高い作画がHDRにより際立っており、印象的でした。宇宙が舞台の作品なので、宇宙空間の黒が高コントラストの映像技術で際立っていたのもよかったと思います。残念な点としては999の汽笛など、ところどころで音割れしている箇所があった点。耳がキンキンしてしまいました。しかしながら、松本零士のSF世界が色彩豊かに眼前で展開されるという体験はやはり素晴らしく、作品に没入することができたように思います。

 続いて映画の内容について。基本的なメッセージとしては「人間的な有限の幸福>永遠の命」というまあベタといえばベタなものでした。このテーマは宇宙戦艦ヤマト2022でも論点となっていたり、少しずれますが小林さんちのメイドラゴンなんかでも「永遠よりも今を楽しもう」的なメッセージが発信されていたりと、アニメ作品では取り上げられがちなテーマです。999では「永遠に生きられるなら今を一生懸命生きる必要がないため、人はあたたかな心を失ってしまう」というロジックで永遠の命の価値を否定しています。今日、医学技術の進歩により人間の寿命はだんだん延びていっていますが、それでも永遠の命を手に入れることはできないでしょう。仮にコールドスリープ等を使用して魂だけを永遠に保存するにしろ、地球や宇宙に寿命がある以上、いつか「永遠」にも終わりが来るでしょう。私たちにできることは今を一生懸命生きて命を燃やすことだけなのだということを映画を見ながら考えさせられました。

 そして999といえばゴダイゴによる主題歌。いろいろあった後メーテルとの別れを経験して成長した鉄郎の心情が素直に歌い上げられている名曲です。以前からこの曲のことは知っていたのですが、映画を見た後に聞くと歌詞の一字一句の背景をしっかりかみしめることができ、より深く曲に聞き入ることができました。

 昨今スマホやパソコンで映像を視聴する機会が増え、私も家のモニターでよく映画を見たりするのですが、やはり映画館での映像体験は格別でした。特にDolby Cinemaという最高の映画鑑賞環境での没入感はその至福を増幅させてくれます。下宿からバスで30分のところにこの環境があるという幸せをかみしめつつ、今日も一生懸命生きていこうという気分になりました。

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