見出し画像

◼W杯アジア最終予選 中国代表メンバー紹介

◼W杯アジア最終予選 中国代表メンバー紹介

6月27日の抽選会の結果、日本/サウジアラビア/オーストラリア/バーレーン/中国/インドネシアがC組に。9月5日の緒戦で、日本VS中国戦が実現したので、とりあえず紹介記事を書きます。

*全文無料、気が向いたら投げ銭を!

■2次予選の経過

第1節(A) 2-1○タイ (武磊・王上源)
第2節(H)0-3●韓国
第3節(A)2-2△シンガポール(武磊×2)
第4節(H)4-1○シンガポール(武磊×2、費南多、韋世豪)
第5節(H)1-1△タイ(拜合拉木)
第6節(A)0-1●韓国

2勝2分2敗。4チーム中、2位で通過。
最終的にタイと勝ち点/得失点/得点数全て並んだが、直接対決で勝ち越しのため通過。
まさに薄氷。ヤンコビッチ前監督時代の初戦勝利が大きかった。
しかしヤンコビッチ退任後、イバンコビッチ新監督の元でシンガポールに取りこぼし。韓国には手も足も出ず、得点差以上の完敗。タイに負けなかったのが御の字。
通過したとはいえ、アジアカップで0得点敗退。タイ、シンガポールに引分け、これが現在地。W杯出場の希望はあるが、現実的にそれを信じるほど楽観的にはなれない。

*8.5枠のアジア予選。筆者の感覚で、偏差値風にランク付けをすると

日本 韓国
---(決勝トーナメントが勝負。目指せベスト8)---
オーストラリア イラン サウジアラビア 
---(W杯出場当然、決勝トーナメント進出目標)---
カタール ウズベキスタン イラク
-(W杯出場濃厚、まずは本大会で勝ち点/1勝)---
UAE ヨルダン オマーン バーレーン インドネシア 北朝鮮 中国 
-----(当落線上)---
北朝鮮 パレスチナ キルギス クウェート
--(3次予選進出で充分、W杯出場は厳しいか)---

■参考


中国代表のW杯予選の(敗退の)歴史はこちら
https://note.com/yeehope87/n/n6dbccef94781
前回(カタールW杯)当時の代表メンバー紹介はこちら
https://note.com/yeehope87/n/n40389617c85d?magazine_key=m9016de31b8ac

■監督


ブランコ・イバンコビッチ(Branko Ivankovic)

54年クロアチア出身。アジアカップ惨敗でヤンコビッチ前監督退任後、今年2月就任。クロアチア代表のアシスタントコーチを皮切りに、イラン代表、ディナモ・ザグレブへて09~11年山東監督に。その後もサウジ、UAE、イランのクラブ、オマーン代表など中東で長く指揮し、アジアサッカーに精通。中国、アジアでの経験豊富で歓迎されたが、W杯予選4試合経た評価は正直微妙。お得意のダイヤモンド型中盤1ボランチは守備が薄くなり、中国はボランチが人材不足/ウイングが多いので合わないとの批判も。3月のシンガポール2連戦、6月のタイ戦、3試合で4失点。韓国戦は良く守ったが、格上相手の最終予選では守備が不安。一方で長年の高齢化(の割に弱かった)に反し、多くの若手を積極登用し世代交代を進めたのは評価される。日本代表との対戦経験は豊富。98年W杯(クロアチア代表アシスタント)、ドイツW杯予選(イラン代表監督)いずれも勝利。忘れてはならないのは、22年カタールW杯最終予選緒戦。日本はホームでオマーンにまさかの敗戦を喫した。その時の監督である。

■予想フォーメーション


現監督の十八番は中盤ダイヤモンド型の4-3-1-2、就任後全試合このフォーメーションだが、正直相性微妙。格上相手との対戦ということもあり、2ボランチの4-4-2と予測。

    武磊  阿兰(拜合拉木/張玉寧)
徐皓陽(謝文能)        費南多(謝鵬飛)
    李源一  王上源(黄政宇、蒋聖龍)
劉洋  朱辰傑   蒋光太  高准翼
       王大雷

■選手紹介(数字は9月1日時点)

・メンバー
8月21日に、対日本・サウジアラビア戦に向けた代表メンバー27名発表。

おおかた順当な人選。唯一初選出は汪海健(上海申花)。中盤は守備的な労働者タイプが多く、日本・サウジ相手に守備重視のスタンスが見受けられる

GK


王大雷(Wang Dalei) 山東泰山 国際Aマッチ出場32/得点0

89年遼寧省大連出身。長年代表で2番手だったが、監督交代後第4節から正GKに。キックやロングスローは攻撃の起点に、PKにも強く、最終ラインからチームを鼓舞する最年長。04年U16アジアユースMVP、U17W杯ベスト8、17歳で中超デビュー&新人王と早くから頭角を現しており、リーグ出場は500試合を超える。

顔駿凌(Yan Junling) 上海海港 57/0

91年上海出身。191CMの長身に長い手足を生かし、安定したセービングで18年以降代表正GKだったが、第4節から控えに降格。動の王大雷と比べ、静の顔駿凌といえる。
上海出身で下部組織から海港一筋。消防の広告に起用

劉殿座(Liu Dianzuo) 武漢三鎮 4/0

90年遼寧省大連出身。上海申鑫 、広州富力、広州恒大(現広州FC)などで守護神として活躍。19年に代表初招集も前2人の壁が高い。第3GKくらい若手を招集しろと思わないこともない。同郷&同年代の王大雷と親しいみたい。

鮑亜雄(Bao Yaxiong) 上海申花 0/0

97年浙江省杭州出身。19年に河北でデビューし守護神として君臨も、チーム解散で23年に申花へ。
今季国内リーグ24試合12失点の驚異的な堅守に貢献、自身も6月に代表初招集も4番手で出番はまだ先か。

DF


蒋光太(Jiang Guangtai/Tyias Browning) 上海海港 28/1 CB

94年英国・リバプール出身。エバートンの下部組織出身で、年代別イングランド代表歴あり。祖父が広東省出身の中国系3世と判明し、19年広州恒大へ加入、20年中国国籍を取得。21年に代表デビュー。高さ、速さ、強さ、守備全般に抜きん出ており代表とクラブでDFリーダー。
祖父の姓を引き継ぎ、名前は蒋光泰の予定だったが難しいので太にしたらしい。欧米人に漢字は難しいのだろう

朱辰傑(Zhu Chenjie) 上海申花 30/1 CB

00年上海出身。リッピ代表監督時代の2019年に10代で代表デビュー、2次予選全試合フル出場。今や代表と申花で不動のCB。彼と蒋光太の両CBは恐らく不動。
高さもあるが、カバーリングや読みで勝負するタイプで、今後の欧州移籍を期待される。前回予選の日本戦にも出場、サウジ戦ではPKも蹴った

蒋聖龍(Jiang Shenglong)上海申花 10/0 CB/CF/DM

00年江蘇省南京出身。同年齢&育成時代から幼馴染の朱辰傑とクラブでもCBを組む。朱より出遅れたが23年から代表にも定着。193cmの長身を生かしパワフルな守備だけでなく、セットプレイの得点力も魅力。アジアカップやW杯予選ではビハインド時にはFWで起用され、韓国戦ではボランチで起用された。

高准翼(Gao Zhunyi) 山東泰山 15/0 RB/LB/CB/DM

95年吉林省延辺朝鮮族自治区出身の朝鮮族。
Jリーグ経験者で福岡、富山でもプレイしていた。
現代表では右SBのスタメン候補だが、マルチロールで守備的ポジション全てに対応。ACL川崎戦ではカウンターから得点。

劉洋(Liu Yang) 山東泰山 30/0 LB/LW 

95年山東省青島生まれ。左SBのファーストチョイスで、守備にやや不安あるが、攻撃力やフィジカル面が魅力。23年はクラブやアジア大会参加など50試合近く出場した鉄人。怪我しないのは大事。山東生え抜きで2016年までポルトガル下部リーグでプレイ経験。

李磊(Li Lei) 北京国安 13/0 LB/LM

92年山東省青島出身。上海申鑫、河南へて北京国安で主力に定着。22年にはスイス・グラスホッパーにも在籍した左SB。劉洋と比較しスタミナやフィジカルは劣るが、クロス精度や守備は上回っている印象。若い頃飛行機でトラブル起こしたことがある。

楊澤翔(Yang Zexiang) 上海申花 1/0 LB/RB 

94年広東省佛山出身。2部やリザーブでプレイしていたが21年申花へ。申花デビュー戦のファーストプレイで一発退場の鮮烈デビューも、30歳にして初めてトップリーグで定位置確保した苦労人。
6月のW杯予選韓国戦で代表デビューまで上り詰めた。堅実なサイドバックで両SBの控えと見られる。

魏震(Wei Zhen) 上海海港 2/0 CB

97年安徽省六安出身。海港生抜きで、23年にA代表デビュー。今季国内リーグで圧倒的強さを誇るクラブで不動のCBに定着しているが、代表では蒋光太&朱辰傑が鉄板でCB控えだが、朱が負傷明け&クラブで蒋と組んでるためスタメンの可能性もある。

韓鵬飛(Han Pengfei) 天津津門虎 0/0 CB

93年北京出身。187CMで高さ、強さ兼ねたCB。20歳前後をポルトガル下部リーグで過ごし、16年広州恒大へ。広州では出番に恵まれなかったが、貴州、武漢卓爾へて天津で主力に定着。6月に代表初招集も出番なし、現状CBの5番手で出番は難しいか。


MF


王上源(Wang Shangyuan) 河南 19/1 DM/RB/CB

93年河南省出身。主に守備的MFだがマルチロール。ベルギーのクラブブルージュでプロデビュー時は攻撃的MF、その後帰国し広州恒大ではFW、MF、サイドバック。近年は主にボランチだが3バック時の右CBで起用されることも。第1戦タイ戦での決勝点はチームを救った。

謝鵬飛(Xie Pengfei)上海申花LM/RM/AM 19/0

93年貴州省貴陽出身。現代表で10番背負う攻撃的MF。以前はウイングだったが、現代表ではダイヤモンド型のトップ下のスタメン候補。ドリブルやミドルに加え、左足直接FKは大きな武器。10番だが顔が地味。浙江在籍時に、当時の岡田武史監督がデビューさせた選手でもある。

李源一(Li Yuanyi) 山東泰山 2/0 DM/AM

93年四川省徳陽出身。早くにポルトガルに渡りボアヴィスタやレイショエスでプレイ。15年広州恒大加入も出番なく、その後天津、深圳で主力定着。23年山東加入後リーグやACLで活躍が認められシンガポール戦で代表デビュー。しかし第4節の一発退場で6月の2試合は出場停止。Box To Box型で攻守全面に貢献するボランチ。ポルトガル時代はFWだったので攻撃面も期待できるが、今代表では守備のタスクが多そう。

徐皓陽(Xu Haoyang) 上海申花 2/0 CM/RM/LM

99年四川省達州出身。申花下部組織上がりのMF。6月の2試合で初選出&先発出場。走・攻・守・パス・全体に穴がなく、プレイ判断に優れている印象。戦術理解度が高く、中盤全ポジションに加え、最近クラブでは左SBに定着。左利きでFKやミドルも脅威になる。

黄政宇(Huang Zhengyu) 山東泰山 1/0 DM/CB

97年広東省広州出身。地元の広州富力で育ったが、クラブ解散で23年から山東へ。当初CBだったが現在は守備的MF。第6節韓国戦で代表デビュー。
格上相手に中盤の守備のフィルタ役として期待される。リーグでインターセプト数1位。見た目やポジションやプレイ的に遠藤航に似ていると思ったが、最近ハゲてきた。

謝文能(Xie Wenneng) 山東泰山 2/0 LM/RM

01年広東省梅州出身。山東泰山の下部組織生え抜き、2部へのレンタル中で頭角を現した。山東ではチェガンヒ監督就任後スタメンに定着、年初U23アジアカップで1得点。6月のタイ戦でデビュー。174CMとこの国では小柄なウイングだが、突破やクロスに加えシュート精度が高め。サイドからの守備への貢献も期待される。

程進(Cheng Jin) 浙江 0/0 LM/RM/AM

95年河南省新郷出身。2列目全般に対応する攻撃的MFだが、売りは献身性か。クラブでは外国人選手依存度高&平均年齢高めだが、豊富な運動量で攻守を支える。年代別代表常連。今年A代表初招集されたがデビューはまだ。レンタル期間除き下部組織から浙江一筋。13年トップ昇格時の監督は岡田武史氏。

汪海健(Wang Haijian) 上海申花 *初招集 DM

00年安徽省出身。今回メンバーで唯一の初招集。朱辰傑、蒋聖龍、徐皓陽らと共に育ち、好調申花を支える守備的MFで、23年アジア大会出場。スタミナに加えて、ミドルや直接FKもある。序列は低いが、若さ&運動量重視の現代表監督なら抜擢もあり得る。

FW


武磊(Wu Lei) 上海海港 97/36 CF/RW

91年江蘇省南京出身。代表得点数は歴代2位。今予選全9点中5得点と不動の存在。22年スペインから帰国後も国内では無双状態、今季公式戦27戦31得点とキャリア最高のペース。33歳になりスピードは落ちたが、得点への嗅覚を増した感。ただクラブと代表では力関係も違い、代表ではオスカルもいない。年初アジアカップでは戦犯級、彼にどこまでチャンスを供給できるか。

費南多(Fei Nanduo/Fernandinho) 上海申花 4/1 CF/RM

93年ブラジル出身。名門フラメンゴ出身、ポルトガルへて15年に重慶加入後そのスピードで注目され、河北、広州(旧恒大)山東に在籍。19年中国国籍取得も、コロナ禍や怪我もあり24年第3節で漸くデビュー。今夏申花にレンタル移籍。左利きだが右からの突破やカットインが持ち味で、右ウイングが最も多い。以前ほどのスピードもないが、ブラジル人らしいドリブルや個人技はアクセントに。

張玉寧(Zhang Yuning) 北京国安 32/5 CF

97年浙江省温州出身。杭州(現浙江)時代に、当時監督のフィリップ・トルシエがトップチームデビューさせ、15年から欧州(オランダ.フィテッセ)に渡り10代からA代表入り。国内復帰後は高さ強さに決定力も増しCFのスタメン格だったが、近年怪我が多くスタミナに不安
幼少期に日韓W杯を現地観戦したり、父親は彼のために不動産を8棟売ったらしい。ボンボン

阿蘭(A Lan) 青島西海岸 11/3 CF

89年ブラジル出身、旧名アラン。U20ブラジル代表歴あり、ザルツブルク時代EL得点王。15年広州恒大に加入し20年中国国籍取得後代表入り。万能型FWで得点以外でも貢献が期待。広州の経営難&コロナ禍でブラジルでプレイしていたが、24年昇格組の青島西海岸に加入し11得点と、35歳ながら衰えを感じない。

林良銘(Lin Liangming) 北京国安 11/2 RW/LW/FW

97年広東省汕頭出身。15年にレアルマドリード・カスティージャに加入、その後アルメリア、マデイラU23などでプレイ経験。20年国内復帰後大連&北京で実力証明し代表に定着した国内有数の高さあるウイング。しかし現監督の戦術では適したポジションがなく2トップの1角の起用もあるか。

拜合拉木·阿卜杜外力(Behram Abduweli) 深圳新鵬城 2/1 CF/RLW

03年新疆ウイグル自治区伊犁出身。山東泰山の下部組織→昨年レンタル先の中甲(2部)で昇格に貢献。年始のU23アジアカップに出場し、6月にA代表初招集。第5節タイ戦で初代表&新疆出身者初の得点を決めた新星。
188CMの長身、ウイグル族らしいフィジカルの強さやスタミナが売り。一方技術や決定力は改善の余地あり、クラブでは控え。格上相手の最終予選では守備面の貢献を期待。早くに両親を亡くし、貧乏暮らしの中でプロ入りした苦労人。日本語媒体だとどう表記するんだろう?


ここから先は

0字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?