「ドリンクバー」の歴史を調べた
画像は先日見つけたファミレスの広告的なもの。「ジェラート」にまで「バー」の時代かー!と思って調べるとアメリカにも店名としてはいくつかある模様。
この日本語の「バー」って「セルフサービスでのおかわり自由」を意味すると思いますが,アメリカのGelato Barにそういう意味があるのかは知りません(たぶんない)。
ところで日本でドリンクバーはいつ誕生し,広まったんでしょう?ウィキペディアには次のように載っています。
80年代後半に始まり,92年にガストで導入し大ヒットとありますが,これには出典がありません。そこで調べてみました。
かつていろんなドリンクバーがあった
ざっくりNDL Ngram Viewerを見てみましょう。
ウィキペディアに書いている1987年ごろ「ドリンクバー」は登場しています。たしかに新聞記事を調べてみると,1989年の記事に同じ仕組みのものを「オール・ユー・キャン・ドリンク」と呼んで設置したことが書かれていました。
しかし,これより前に今の「セルフ・おかわり自由」という意味のドリンクバーは見つかりません。
実はそれ以前の「ドリンクバー」は別のもので,いわゆる飲み屋の「バー」のようなものとして使われていました。
この使い方は1980年にも見られます。
このように,今の意味の「ドリンクバー」という言葉は1990年以前だとほぼ登場しません。
それでは1980年代後半に見られる山はなにか?LA internationalという雑誌の1990年6月号にはこう書かれています。
「いわゆる」とあることから「ドリンクバー」という言葉はあるけれど,見ていても少なくとも今の意味ではないことが窺われます。この「いわゆる」というのはこの時代に「健康ドリンクバー」というものがあったようで,それを指していそうです。
つまり,1990年頃まではドリンクバーで指していたものは別のものだったというわけです。
ようやく登場
しかしそんな中『産業動向』1993年9月号にガストのことが登場しました。
文脈もたしかにバブル崩壊で高価格帯は苦戦な中で安いガストは人気というのが読み取れますし,ガスト1号店が92年3月開店というのも載っているので,それなりに正しそうです。
また,この後出てくる「ドリンクバー」はことごとく我々がよく知るドリンクバーです。
つまり,NDL Ngram Viewerの結果は1993年を境に別のものを指しているいると考えた方がいいわけです。
バーはどこから?
最後に「バー」の「セルフサービス・おかわり自由」というのはどこから来たのでしょうか。知らなかったんですが,「サラダバー」は英語にもあるんですね。
日本語でも「サラダバー」の方がドリンクバーよりちょっと早く見つかります。
あまり私にはなじみがなかったのでちょっと驚きました。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?