見出し画像

外来語「アーティスト」はいつごろ浸透してきたか?

いつ頃からミュージシャンなどを「アーティスト」と呼ぶようになったのかということが話題になりました。

リプライや引用をざっくり見た限り80年代には使われていたとかはありますが,ここでは「みんなが」使い始めたところを調べてみました。

朝日新聞クロスサーチというデータベースを使うと朝日新聞,アエラ,週刊朝日の記事を検索できます。この3つの媒体は想定する読み手(社会言語学で言う「位相」)がだいぶ違うので浸透度の違いなんかも見れるかなと思います。

  • アエラ=30~50代の都市で働く男女

  • 週刊朝日=読者の62%が50代以上(男6:女4)

ちなみに「アーティスト」は「アーチスト」とも書かれていて,これも面白いのですが,別の記事で書きます。

グラフは1985年以降の5年間の年平均ヒット数です(『週刊朝日』は2000年以降のみ検索可)。これを見ると95〜99年での伸びが著しいことが分かります。

ただこれだと朝日新聞のヒット数が大きすぎて各媒体での伸び方が分かりづらいので,朝日新聞とアエラは1985〜1999年,週刊朝日は2000〜2004年の数値を1としたときの比率で比べてみましょう(つまり正規化)。

これで見ると,1990〜1994年にアエラで伸びて,朝日新聞は後を追うように伸びていき2000〜2004年に逆転し定着しました。週刊朝日は年齢層から考えて保守的なこともあり,伸びてきたのは2010年に入ってからと見ることができます。ちなみにアエラが2010年以降急に落ちた理由はちょっと分かりません。音楽関係を取りあげる回数が減ったのか,読者の嗜好の問題か。

では1995〜1999年の伸び方をもう少し細かく見ていきます。これを見ると1997年から著しく伸びてきて,2000年あたりで頭打ちになっています。

1997年をもっと細かく見てみます。

これを見ると1996年は20件台で推移していたのが,1997年は30件台でと,1996年と1997年で明確な違いが見てとれます。この原因はまだ調べていませんが,誰をアーティストとして見なしたのかに注目すると分かってくることでしょう。

最後に新聞間の比較をしてみます。グラフを見ると,量の違いはあれど,読売新聞と朝日新聞で大きく変化の傾向は変わりません。つまり,1995〜199年にアーティストが誰かの変化が浸透したと見ていいでしょう。

上にも書いたように1997年の記事をもう少し細かく見ていくと,誰をアーティストとして書いているのか,類義語の「ミュージシャン」や「歌手」などはと比較しながら見て行くことでこの問題はもう少し分かりそうです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?