マウンパと略語の作り方
略し方のバリエーション
「マウンパ」って何のことだか分かりますか?某所で見かけてビックリしました。「マウンテンパーカー」の略だそうです。持ってるけどそう呼ぶって知りませんでした。
調べてみると,「マウンパ」の他に「マンパ」という略もあるそうですが,検索するとむしろ検索しない方が多いというちょっと珍しいパターンです。まだ定着してないんですかね。
さらにマイナーなものになると,マウンパーと長めのものが439件,マウパーが6件でした。
どうしてそう略すのか?
マウンパをはじめとした一連の略語,音のパターンという点で見るとどれも一定の方略に従っていて(授業で使えそうという点で)優秀です。
略語というからにはなるべく省略したいと考えるかもしれません。それで言えば「マウパ」は最も短いのでこの要求に一番従っていると言えそうです。しかし,略しすぎてもいけません。例えば「チケット」を「チ」と略されても何のことだか分かりませんよね。つまり最低限の長さというのがあります。
日本語の場合,この単位は2モーラです。モーラというのは日本語で言葉を数えるときに使ったりする音の単位で,ほぼ「カナ」と置き換えてもいいです。複合語の場合,前後からそれぞれ2モーラずつ取ってきます。ちなみに「基本」なのは例外が多いから。
日本語の省略は2モーラが基本:チョコレート,ヘリコプター,
複合語の省略は2モーラずつが基本:きむらたくや,サッポロドラッグ(発音はサツドラ)
ただし,略語の中で長音(ー)はさらに省略されがちです。
長音は省略されがち:スノーボード,オーケストラ,カンニングペーパー
この長音の省略が起こったのがマウパやマウパーとなります。
ではマウパー,マウパはどうか。日本語では例えばグラウンド>グランド,サウンド・トラック>サントラのように,外来語の/auN/が/aN/になることがあります。この背景は難しく,実際90年代にはちょっと論争あったのですが,私は/u/と/N/が聞こえとして近いことから長音のように省略されても目立たなかったというのが要因ではないかと考えます。もっともタウンやガウンは略されることがなさそうとか,上に比べて例外が多そうな感じはあり一筋縄ではいきませんね。以上を表にまとめます。
つまり,長さ(短さ)を優先したのがマウパ,とにかく音を保持することを優先したのがマウンパー,その中間なのがマウンパとマウパーと言えそうです。
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