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仮説なら仮説っぽく書いてほしかった

スゴ本というはてなブログがあり,面白いのだけど,そこで紹介されていたエピソードでよく分からないなと思うことがあったので記録。

研究不正かどうかの判断で

疾患Yの重症化因子を調べるため、診療録から収集した疾患Y患者のデータを元に、臨床検査値と生活習慣の関連性を分析したところ、生活習慣Zを有している患者の予後が不良となる結果を得た。そこで「生活習慣Zを有する疾患Y患者は予後不良である」と学会発表した。

というエピソードに対して,紹介されている本では「HARKing(Hypothesizing after the results are known,仮説の後出し)に当たるので問題行為になる」と書かれているらしい。

元の本を読まないとロジックが分からないのだけど,仮説検証研究では仮説から出る予測をもとに仮説を検証するのに,この研究だと「収集したデータを分析して得られた有意な結果を元に、後付けで仮説を構築し、あたかも「仮説検証研究」の体裁で公表する行為」なのでダメということらしい。

はじめに上の引用中の文章を読んだとき,これは探索的研究だろうと思って読んだのでどこにも問題はないと思ったのだけど,仮説検証研究だったのか。それなら次のように仮説と明示して書いてほしかった。

  • 「生活習慣Zを有する疾患Y患者は予後不良になる(か)」という仮説を検証する

  • 「生活習慣は疾患Y患者の予後不良に寄与する(か)」という仮説を検証する

ちなみに研究発表を聞いていると仮説検証なのか探索なのかよく分からない研究に出くわすことはあるので,私の分野だとこの辺の意識の幅が大きそうだと思った。

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