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君はSILを知っているか?

今では当たり前になりましたが,私が言語学を学び始めた90年代後半はまだ音響音声学の敷居は高いものでした。当時はKayのsona-graphという専用の機械を使うのがほとんどでした。学部時代を過ごした大東文化大学の日本語学科にもこの機械はありましたが,出力用の紙か何かの在庫がないとかで使ってなかったように思います(九大にもあった)。

ところが探したところWindows 95に対応した音声分析ソフトがいくつか出てきていて,その中でも無料で使いやすかったのがSILのSpeech Analyzerです。当時のSpeech Analyzerはマイクから音声を入れればスペクトログラム(声紋)とfo(ピッチ)を画面に出すことができました。音声ファイルをPCに入れてうまく再生先と録音元を設定すればファイル上の音声も分析できたと思います。

ただ当時はスクリーンショットを張り付けるぐらいしかできず,画像ファイルをワードファイルに張り付けるのもファイルが重たくなってあまり気が進まないとかそういう事情で個人的に楽しむ意外では使っていませんでした。今考えると,そこでちょっと我慢して音響分析を勉強すればそちら方面で開拓的な研究ができたのかなと思うともったいないですね(取らぬ狸のなんとやらです)。

いずれにせよ私の研究史では初期の音響音声学はSILのSpeech Analyzerにお世話になっていました。ちなみに実はまだSILのSpeech Analyzerはリリースされ続けています。

さてこのSILとは何か?正式名称をSummer Institute of Linguisticsと呼びます。日本語で「言語学夏期講座」ですね。これだと学会に見えますが,SILはキリスト教の団体です(ウィキペディアを見て知ったのですが,日本語では国際が付くんですね)。

「少数言語の発展援助」と書かれていますが,私が初めて団体のことを聞いたときはウィキペディアの後半にある各国版の聖書作成が目的と言われていました。

SILはSpeech Analyzer以外にも本当に多くのツールを開発していて,私も音声記号のフォントと入力用ソフトにはとてもお世話になった覚えがあります。

そんなお世話になった私が現在勤めているのがキリスト教の大学というは何かの縁でしょうか?(偶然だと思う)

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