見出し画像

労役(または奨学金返済)満了!

日本学生支援機構は以前「日本育英会」と呼ばれていた。その時代の奨学金には免除職というのがあり,教員などになり一定期間働くと奨学金が免除されるという仕組みだった。私はその時代のほぼ最後の人間で,15年北星学園大学で働いた結果,奨学金約670万円が全額免除になった。

これはそれぞれ学部と博士後期のもので,修士のときは免除職付きから外れてしまい240万円あまりを返済した。

教員をやれば返済しなくていいとは言うものの,けっこう条件が厳しくて,卒業や退学をしたら,猶予期間に入り,その間に就職する必要がある。猶予期間はたしか5年で,非常勤講師などになっている必要があったように思う。私の場合,2007年3月末で退学したが,幸い猶予期間中の2009年4月に就職できた。

労役とは書いたが,特別な仕事はなく,教員として働ければよかったので,その点は気が楽だった。一方で,学部時代に免除職リストを見たところ留学生センターではダメだったのは,日本語教師を目指していた身としては軽いショックだった。

また,猶予期間はあるものの,5年で就職できるのかというのはかなり不安だった。それもあり,5年で就職できなかったらアカポスは諦める可能性が高まったと思う。もともと35歳までに就職できなかったら公務員(年齢制限なし)になることをかなり考えていた。

さて,今は優秀な成績を収めると返還免除になるが,果たしてそれでいいのかというのはけっこう疑問である。一番の理由は,良い成績が取れそうにない授業を取らないという行動に繋がるからだ。大学がどういう場なのかはいろいろあるのは承知しているけど,ひとつに「出会い」の場だという考え方がある。

専門は専門としてあるけれど,みんなが同じことに関心を持つわけではない。そもそも入学時に専門のことは分からないのだから興味・関心のままに授業を取るのは合理的だろう。だが,返還免除が人質になっていると,「面白そう」という動機よりも「良い成績が取れそう」という基準で授業を選ぶようになる。でもそれって社会人として求められる主体性とは真逆な行動と言えるだろう。

ちなみに免除職は最近になって大学院進学で条件付き免除となった。

悪くはないけど,やはり渋いなあと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?