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「会社を辞める勇気が持てない」という声をよくいただきます

今回は”会社を辞める”という決断について、自分が退職を決意した当時のことを少し思い返してみようと思います。

職業・キャリアに関して多くの方とお話をする中で特に感じることは、やりたい仕事や行きたい会社が見つかったり面接で内定しても、最終的に”今の会社を辞めること”が現実になり始めたときに強力なブレーキがかかるケースが多いということです。

今回もあくまでも当時の自分自身の主観ですので、一般的に会社を辞めることが良くて、辞めないことはダメといった意図はありません。
辞めるのも勤め続けるのも、どちらも自分の意思で選択するのであれば勇気のいることだと思います。

転職を意識し始めた頃

銀行員時代に転職を意識し始めたのは退職する約1年ほど前(6年目)だったと思いますが、その時はまだぼんやりと頭の中で違う仕事をしているイメージをしたり、何となく転職サイトに登録した程度で、”本気で”職業を変える気はなかったと思います。
もちろん、前回書いた通りそれなりにモヤモヤしていたことがあったのは事実ですが、モヤモヤ自体は会社を辞めるほどの力には変わりませんでした。

そういった状態が半年ほど続いた後、いざエージェントを通じて何社か説明会や面接に行きましたが、他の環境に興味を持ったとしても、実際に会社を辞めるというのは当時の自分にとってはあまり現実味のないことでしたし、多くのことを捨てないといけないので本当に勇気が必要だと感じていました。

そんな中で「あの会社いいな~」という、どこか他人事の希望ではなく、「自分が本当に銀行を辞めるかも」という感覚が芽生えたのは、現職の所長と出会ったことがきっかけでした。
この辺りは前回書いた通りです。

ここなら自分の良さや強み、本領を思い切り活かせるかもしれない、自分の理想とするかっこいい大人になれるかも、といった期待感を素直に感じた一方で、チャレンジしたいという気持ちが強くなればなるほど自分の中にあるブレーキも強くなる感覚でした。

当時、自分を一気に現実に引き戻そうとしていたのは、こんな不安や葛藤です。

  • 上司や先輩に本当にお世話になっているし、大きな仕事、重要な取引先も担当しているので、辞めたら迷惑がかかる…

  • 社内で評価をいただいている感覚もあるし、もう少し今のまま頑張れば、海外拠点で働けるかもしれない…

  • ここまで積み重ねてきた仕事の経験、スキル、社内の人間関係を手放すのはもったいない…

  • そこまでリスクの高い仕事ではなく、もうちょっと安定した仕事でもいいのではないか…

  • わざわざ辞めなくても、勤め続ければ経済的に満足いく生活は出来る…

  • もう少しで役職も上がって収入も大幅に増えるはず…

  • 生命保険のイメージって正直良くないし…

  • 上手くいかなかったら収入がなくなる…

  • 辞めたことを後悔するのではないか…

  • 親は絶対に反対するはず…

  • 何となく怖い、不安…

チャレンジしたいと本気で思うのと比例して、これらの迷いが頭の中でぐるぐると回っていた感覚でした。

6年も働いていれば、それなりにスキルアップもして、人間関係も築きつつあるし、収入も上がってきている時期。
大事な仕事も任されていて今後の社内でのキャリアも色んな選択肢がある中で、そんな簡単に会社を辞めるなんて決断できる訳がないです。

正直、かなり不安と恐れががありました。

チャレンジしたいと思っている環境が生命保険でフルコミッションの世界なので余計に不安が大きかったと思いますが、フルコミッションのプロの環境だからこそ、チャレンジしたいと本気で思えたのも事実です。

悩みながらも現職の採用プロセスは着々と進み、いよいよ面接というところまで結局ひたすら葛藤し、「”本当は”どうしたいんだろう?」という自問自答も繰り返しました。

本当の自分

正直、自分が本当に決意したのがどのタイミングだったのかは正確に覚えていませんが、徐々に腹を括る感覚だった記憶はあります。
当時のノートを見返すと、葛藤の中で、"本当の自分"はこんなことを思っていたようです。

  • ストレートに人のために全力を尽くす生き方がしたい

  • 今までお世話になってきた人たちに、職業を通じて頼りにされ、長い間伴走できる人になりたい

  • 知らず知らずのうちに枠の中に収まりつつあった自分を解き放って、自分で自分の殻を破りたい

  • 先の不安ばかり考えるのではなく、いまチャレンジしたいことにチャレンジできる人生にしたい

  • 自分で決めて、決めたことを正解にし続ける生き方をしたい

  • 人生のピークを大学生で止めず、もっと未来にもっていきたい

  • かっこいい大人になりたい

  • 「今が人生で一番充実している」と胸を張れる生き方がしたい

  • 周りの人からどう思われるかはコントロールできないので、自分で自分の生き方に誇りを持っていたい

  • 与えられた休みと給料の範囲内で何が出来るかではなく、やりたいことや夢・目標に向かって、自由に、素直に、時間とお金を投資できる生き方がしたい

自分がどうなりたいのか、どういう人生を送りたいのか、徹底的に、自由に、素直に書き出し、3枚のシートにもまとめました。
このシートは今でも大切に持っていますし、たまに見返しています。

「本当はお前はどうしたいのか?」と自分の本音に素直になることが、当時の自分にとっては本当に大事だった感じます。

先の不安ばかり考えても前には進めないし、過去に手にしてきたことばかり執着していたら手放すことなんてできなかったと思います。

「捨てるものが大きいほど、得られるものも大きくなる」
これは現職でよく言われることですが、本当にその通りだと実感します。

ある意味、乗せられて火をつけられた部分は大いにあると思いますが、自分に火がつくということは、それは自分にまだまだエネルギーがある証拠です。
せっかくついた火なら、それを活かして自分を突き動かす方がワクワクするし、消してしまったら自分のエネルギーを使い切ることなく過ごすことになる。
そんなことも考えました。

本気でチャレンジした自分がどうなるのかを見てみたいという、ある種自分自身を実験するくらいの気持ちもありましたし、頑張れば何年目だろうがマネージャーになることができて、自分の営業所をつくり、上手くいけば更に支社をつくることができる、それに挑戦したいという気持ちも大きかったです。

また、面接後にお会いした先輩たちが、明らかに充実感に溢れて魅力的で、相当大変なはずなのに毎日を生き生きと楽しんでいるように見え、その人たちの姿がずっと頭にありました。
「なんか自分はこの人たちに負けてるな」というのも自分に火をつける大事な要素でした。

チャレンジしたいという気持ちがあるからここまできた訳で、ここで断念したらそれが一番カッコ悪い。
ここで後戻りしたら、自分らしく豊かに生きるチャンスを放棄することになるし、その方がむしろ失うものが大きいと感じました。

ここまで振り返って

ここまで書くと、相当悩みに悩んで重い決断をしたように思いますが(それ自体は事実ですが)、5年以上経った今振り返れば、高校まで頑張ってきた野球をスパッとやめて大学からラクロスに切り替えたときくらいの感覚で、環境を変える前は色々悩んでも、いざ新しい環境で過ごしてみると「"環境を変えること自体"はそんなに難しいことではなかったな」とも思います。

もちろん、そこで成功できるかどうかは誰も保証できないので、そこは覚悟して取り組まないといけないですが。

ここまで当時の"会社を辞める"という決意をした頃の自分についてまとめてみましたが、どの順番で考えて、最終的にどのタイミングで何が決め手になったかは明確にはわかりません。

自分の本当の願望だけに目を向けて、チャレンジする理由だけで自分を塗り固め、敢えて自分の意思で巻き込まれて後に引けない状況もつくっていった結果、いつの間にか前に進む選択肢しかなくなったという感じです。
それは自分の意思でそうしていたはずで、決断できる状況を自分で作る必要があったからだと思います。

将来どんな人間になるんだろうという、自分に対する期待感やワクワク感をもって生きていきたいと、当時のまま思い続けることが出来ていることが嬉しいです。

と同時に、環境を変えて頑張れば頑張るほど、前職でお世話になったこと、経験させていただいたことへの感謝がとても強くなることも感じています。
退職に際しては上司、先輩方にとても迷惑をかけてしまったと自覚しています。
タイミングも含めて自分のわがままで無理をお願いしてしまったので、最終的に背中を押していただいたことを思い出すと、自分には前職で学んだことを全て生かして成長し続けていく責任があると思います。
今回振り返ることで、まだまだ満足せず毎日の成長にフォーカスすることを改めて決意しました。

また思い出したら似たテーマで書くこともあると思いますが、今回はこの辺りで終わります。

次回は、職業を変えてからのことについて整理してみます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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