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就労支援の現場に感じている懸念

(6,046文字/個人差はありますが、約10分~15分程で読めると思います)

こんばんは。よこはま発達グループの佐々木です。
今回は「発達障害と就労」をテーマに書いていきます。とはいえ、ちょっと雑記に近いかもしれませんが…。
  
このテーマにした理由は、来月のオンラインゼミ(Facebook版)では東西の就労支援のスペシャリスト2名をゲストにお招きして、「就労」をテーマに鼎談をするため、僕自身が感じている課題感を整理しておこうと思ったからです。なので、今回は僕の頭の整理にお付き合いください。
   
その前に、その時にキーワードとなる「合理的配慮」について、簡単に共有しておきます。


改めて、合理的配慮を。

4月1日から「合理的配慮の義務化」がなされ、それに関するニュースも増えておるので、皆さんも目にする機会が増えておられるのではないでしょうか。
     
大雑把な説明をしてしまうと、「あらゆる場所で、障害特性に対して無理のない調整をしてくださいね。これは義務ですよ」と法的に定められたということです。
   
とはいえ、これがどの程度社会の人に認知されているかというと、まだまだ関心のある人たちにした知られていないというのが現状ではないでしょうか。あるいは、「合理的配慮の義務化」という言葉を知っていたとしても、それがどのような意味なのかは十分に伝わり切っていないという現場もあるかもしれません。
  
障害者雇用であれば、障害特性に配慮した環境調整が求められるのは周知のことだと思います。ただし、今回の改正により、企業や法人等も「障害者雇用に限らず、それぞれの方にとって過ごしやすい、利用しやすい環境になるように、相互に理解を示しながら一緒に解決策を考えていくこと」が義務化されたわけです。
  
ただし、これは「なんでも対応します」というものではありません。建設的なやり取りをしながら、合意形成をしていく過程が重要です。そうしたやり取りをする際の留意点として、内閣府が出している「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!
」というリーフレットには以下の記載がされています。
    
▼「前例がありません」
→合理的配慮の提供は個別の状況に応じて柔軟に検討する必要があります。前例がないことは断る理由になりません。
▼「特別扱いできません」
→合理的配慮は障害のある人もない人も同じようにできる状況を整えることが目的であり、「特別扱い」ではありません。
▼「もし何かあったら…」
→漠然としたリスクだけでは断る理由になりません。どのようなリスクが生じ、そのリスク低減のためにどのような 対応ができるのか、具体的に検討する必要があります。
▼「○○障害のある人は…」
→同じ障害でも程度などによって適切な配慮が異なりますの で、ひとくくりにせず個別に検討する必要があります。

とはいえ

法的な整備がされたからと言って、こうしたことがすぐに浸透するわけではありません。
   
皆さんからすると「合理的配慮が義務化されたことを知らないなんて…」と思う場面もあるかもしれません。
  
でも、実際には僕らは障害福祉に関することは情報のアンテナが高くなっているから知っているだけで、それ以外のことは存外知らないものです。例えば、合理的配慮の義務化よりも3ヶ月も前に施行された「電子帳簿保存法改正」については、全くといっていいほど把握していません。
   
ですので、「は!?合理的配慮知らないの!?なんで!?」みたいなスタンスだとうまくいきにくいわけです。僕らも「は!?電子帳簿保存法改正知らないの!?なんで!?」と詰められても、「いやいや、そんな急に言われても」となるだけかもしれません。
      
ですから、合理的配慮について知っている前提ではなくて、知らない前提でやり取りをしていく必要がありそうです。

支援現場は良い方向に進んでいるのか

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