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【Q&A】意味のある個別支援計画、人材育成のヒント他

(8,457文字/個人差はありますが、約14分~21分程で読めると思います)
こんばんは。今日は皆さんから頂いたご質問にお返事をしていく回にしたいと思います(今回も長文です、すみません)が、その前にお知らせです。

先日お知らせしたオンライン勉強会「その疑問一緒に考えませんか?」の第1回目を木曜日に実施しました。今回のテーマは「アセスメントの難しさ」です。最初は、ぼくの方からいくつかお話をさせていただき、その後ご参加した皆さんから頂いたご質問にお返事をしてきました。冒頭部分は無料公開しておりますので、ご関心ある方は下記よりご視聴ください。
  
▼アセスメントの難しさ 

今回は参加できなかったという方も、見逃し配信(ちゃんと全て録画しています。カットしているのは、冒頭の雑談くらいです)がありますので、ご参加をご検討ください!

また、これまではstand.fmというもので音声の配信をさせて頂いておりました。これは引き続き継続していく予定ですが、Voicyという音声配信サービスからお声がけをいただき、Voicyでも配信をしていきたいと思っていますので、フォローしていただければ嬉しいです!
  
▼Voicy

またチームで共通の学びをしていきたいというご希望もいただいており、法人版オンラインゼミを設けることにしました。詳細は下記URLよりご確認頂ければと思いますが、このグループ内のコンテンツを組織で共有できることで、組織内で話をしやすくなったり、振り返りなどがしやすくなればいいと思っています。
     
詳細はHPに載せているので、もし「うちの組織で取り入れたい」とか「ちょっと詳しく話を聞きたい」という方がおられればご連絡いただければと思います。そして、皆さんのお知り合いの方にお薦めしていただければ、なおさら嬉しいです
▼法人版オンラインゼミ

 さて、ではここから本題です。

Q1:支援計画の目標設定をどうするか

個別支援計画を立てる際にはアセスメントが重要だと思っています。それらを踏まえて支援計画を立てていく必要があると思いますが、目標設定をする時のポイントなどあれば教えてもらいたいです。

A1:支援の目的を大切に

ご質問ありがとうございます。支援計画は今後の方針をチームで共有するために大切です。他方で、現場に入っていると以下のような疑問をいただくこともあります。

  1. 今できていることをどう発展させていけばいいのか?

  2. 現実的に達成できる基準を考えるのが難しい

  3. 目標がずっと同じになってしまっている(達成できていないことが、そのまま次の目標になっている)

  4. 現場が忙しく目標を忘れてしまうこともある

  5. 形骸化しているように感じる  

皆さんの現場やご家庭ではどうでしょうか?

調査によると

「障害児支援のサービスの質の向上のための外部評価の実施とその検証のための研究(令和元年度 厚生労働科学研究費補助金)」によると、個別支援計画の課題として、「フォーマルならびにインフォーマルなアセスメントの実施が不十分なため、利用者のニーズに合わせた個別の目標設定、手立てが曖昧であるなど、個別支援計画の客観性が乏しいこと」とあげられています。

つまり、目標に対しての根拠が乏しいということだろうと思います。例えば、「写真カードを活用して見通しを伝える」となった場合には、そもそも写真カードを見て内容を理解することができるのか、またそう判断した根拠が必要になります。コミュニケーションの支援でも、「視覚的に」とした場合に、視覚的にする根拠が必要になります(“ASDだから”というのは個々の支援計画と考えた場合には根拠が乏しい)。
  
また、目標は「6ヶ月以内で達成できること=達成可能性が高いこと」が大切とされています。だとするならば、今何がわかっていて(できていて)、何がわかっていないのか(難しいのか)、何ができそうなのか、現在の対応とその結果などの「現状把握すること」が重要になります。こうした現状を正しく把握することが「アセスメント」です。例えば、「写真カードを活用して見通しを伝える」に関しては、上述したような「写真の理解」に加えて、現状はどう見通しを伝えているのか、その方法でどのような不都合があるのかも把握する必要があります。わかりやすいように例をあげて考えてみます。

具体的なイメージ 

【現状とわかったこと(アセスメント)】
・玩具で遊ぼうとした時に「勉強が終わったら遊びだよ」と声をかけても納得してくれない(言葉だけで見通しを伝えても難しいかもしれない)
・玩具の写真を見せると玩具を出して欲しいと要求をする(写真は理解していそう)
・まずは玩具で遊んでもらう
・その間に玩具と勉強で使う教材の写真を用意してみる
・勉強と遊びの写真カードを並べて「勉強が終わったら遊び」と伝えると了解して、その通りに行動してくれる(写真カードで見通しを伝えることが有効そうということがわかる)
・絵や写真同士をマッチングすることができている
  
【支援プラン】
・口頭よりも写真の方が理解しやすそうなことがわかっている
・写真カードで見通しを伝える(スケジュールを活用する)
・マッチングができるので、写真カードをマッチングして移動してもらう
・そのためには、それぞれの行き先にスケジュールで使用する写真カードを入れる容器を用意する(容器にはスケジュールで使用している写真カードと同じ写真カードを貼り付ける)
・スケジュールを確認して、次に予定に移動するという流れが自立的・自発的に行えるようにする
     
このような感じです。

支援計画を立てる際の課題としてあげられやすい(2)(3)(5)については、こうしたプロセスがなされているのかどうかを、まずは考えてみるといいかもしれません。
   
(4)については、記録を取ることを意識することが大切です。例えば、この1ヶ月間の目標を「写真カードをマッチングして移動する」にしたとします。そうした場合には、毎日これらの行動がどうだったのか(達成されているのか、そうでないのか、どのような様子だったのか)を記録を取ることで防げるでしょう。

(1)については、知識の引き出しを増やすことがヒントになります。そのためには、大変だと思いますが、研修会に参加したり、誰かに相談したりなどしながら、さまざまな取り組みについて知識を増やすことが有効です。同時に、「実生活に役立つのかどうか」という視点も必要でしょう。
  
支援計画については、まだまだ整理すべき点はありますが、ここまで述べている分だけでも実施は大変ですが基本的なことですので、こうした基本をまずはきちっと行うことが重要です。基本がない中では、それ以上には何も積み上がりません。地盤の緩い土地には、どんなに優れたアイディアがあっても何も建てられません。何事も基本がもっとも大切なのです。

Q2:支援者を育てることの難しさ

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