#10 それでも『学校教育法35条』は生きている
2017年度、全国において『学校教育法35条』により「出席停止」が命じられたのは、
小学校で1件、中学校で7件でした。
この法律は、生徒間の暴力やいじめ、教師への暴力、器物損壊、授業妨害などに対する学校側の処方の対応の根拠となるものです。
同じ「出席停止」でも、感染症に対応した『学校保健安全法19条』とは全く別物です。
同じ2017年度、全国において「学校にいけない」という不登校児童生徒は、
小学生35,032人、中学生108,999人にのぼります。
文科省の問題行動・不登校調査によると、2018年度認知されたいじめは、過去最高の54万3933件、
このうち命の危険や不登校につながった疑いがある「重大事態」は602件と報告されています。
比較対象となる2017年度でもいじめは50万件近くにのぼり「重大事態」は128件と報告されています。
2018年度の「重大事態」の内訳は、
・小学校188件
・中学校288件
・高校122件
・特別支援学校4件
7割で被害者が不登校になっており、
9名が尊い命を落としています。
そんな状況で、冒頭の小学校1件、中学校7件の「出席停止」に納得がいくでしょうか。
いじめ被害者が学校を休まなければならない状況にあっても、
それでも『学校教育法35条』は生きているのです。
「出席停止」は校内暴力が蔓延していた1980年代がピークで、
刑事処分可能年齢が引き下げられた少年法改正前(2001年制定)の1990年代後半に第2のピークを記録しています。
第一のピーク時には中学生140人が「出席停止」になっています。
その意味では現在の「出席停止」はブラックボックスの中にあると言えるでしょう。
文科省は、平成13年の学校教育法改正に伴い、「出席停止」制度の適切な運用についての通達を出しました。
学校は、児童生徒が安心して学ぶ場でなければならず、その生命及び心身の安全を確保することが学校及び教育委員会に課せられた基本的な責務です。
とうたい、法律(学校教育法第26条、第40条)の適切な運用を行うよう指示しています。
そして「出席停止」の要件を
「性行不良」であること、
「他の児童生徒の教育の妨げがある」
と明確化するとともに「出席停止」の手続きも明確化し「出席停止」生徒の学習支援についても明記しています。
学校が「出席停止」をためらう理由を専門家の指摘も交えながら考えてみたいと思います。
・学校・教師がこどもを学校から排除することにためらいがある。
・一歩間違えるとこどもの学ぶ権利を奪うことになる。
・手続きの厳格さが「出席停止」のハードルを高くしている。
この状況で学校、教育委員会は大切なこどもをどう守ってくれるのですか。
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