退職引き留めでの人事異動は効果的か?
先日から早期離職者インタビューを再開しました。
コロナ禍での就職や早期離職の実態がどうなっているのか私も気になっているので、色々な方のお話が聞けることが楽しいです。
インタビューをしていると「辞めると言ったら引き留められた」という話しはよく聞きます。
特に「部署異動させるから考え直して」という引き留め策は多く見られます。
でも、それで翻意する方って実際にいるのでしょうか?
配属は希望通りにならないのが当たり前?
「日本の就職は就職ではなく就社だ」なんて言葉を聞くことがあります。
職に就くのではなく、会社に入る。その会社内でどんな仕事をするのかは配属されるまでわからない。そんな状況を指しての言葉です。
配属が希望通りになる人もいれば、そうでない人もいます。
特に配属希望が集中する人気部署の場合、希望した新人のほとんどが配属されないというケースもあります。
海外大卒業→ 大手IT企業 早期離職のケース
先日インタビューした方は、海外の大学を卒業し海外事業を希望。大手のIT企業に就職します。
面接でも「海外の事業を任せるから」と言われていたのに配属先は国内の法人営業でした。
ただそこで腐らずに「まずはここで頑張ろう」と営業成績は新人トップ。法人営業の中でも花形部署に異動になります。
異動先はかなりの激務で辞めていく人も多い職場だったため、人事に「海外事業へ異動したい」と相談したところ、返ってきた言葉は「今の部署は人手不足だからすぐの異動はできない。あと3年は待ってくれ」だったそうです。
友人から別の会社に誘われたこともあり、退職を決意しますが、退職を申し出ると強い引き留めにあったと言います。
常務も同席した面談で「どこでも好きな部署に異動させるから残れ」とも言われたそうです。
それまで異動希望は通らず「あと3年は待ってくれ」と言われていたのに、退職を切り出した瞬間の手のひら返しに興醒めしてしまったと言います。
「好きな部署に異動させるから辞めるな」は効果なし?
「好きな部署に異動させるから残ってほしい」というのは、大手企業の引き留め策としては聞くことの多い言葉です。
もしかしたら、その言葉で翻意するかもいるかもしれませんが、私はあまり良い方法とは思いません。
企業の配属には意図があるはずです。
退職すると言われたから、その意図を無視して異動をOKするというのは「配属に特別な意図なんてなかった」と言ってしまっているようなものです。
さらに、退職という顕在化した行動をとるまで、企業は職場の問題に気付いていなかった、または気付いていたけど無視していたということになります。
早めに問題に気付ければ、本人が退職を申し出る前に異動の打診をすることもできたはずです。
早期離職の三大要因は存在承認、貢献実感、成長予感の3つと言っていますが、退職を申し出たあとの引き留め策としての人事異動は、この3つのどれに対しても効果は薄いと思います。
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こちらの記事はカイラボのメルマガVol.411(2021年6月9日発行)のコラムの内容を一部編集したものです。
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