rectangle_large_type_2_149c18a789aa5157a596868cb407c4f0のコピー

「センチメンタル」イベントリポート

寒河江市美術館にて開催中の個展「センチメンタル」会期終了まで1週間を切りました。芳名帳を拝見しましたが、たくさんの方にご高覧いただけて本当にありがたく思っています。

先日、9月22日の日曜日にはギャラリートークと公開制作も行って、お客様と直にたくさんのお話をさせていただき、とても楽しい時間を過ごさせていただきました!
イベントに参加してくださった皆様、誠にありがとうございました!

今回のnoteは、22日のイベントのアフターリポートという大層なものでもないですが…とにかくとても楽しかったので、楽しかったー!という個人的な感想をお伝えしたいと思います。あとイベントではお話しきれなかったこぼれ話なども。

ギャラリートーク

13時からの予定でしたが、12時半頃から既に会場にはお客様がチラホラ。皆さん気さくに話しかけてくださって、緊張がほぐれてとてもありがたかったです!
今回のトークは、個展を企画・運営してくださったご担当のS様に質問して頂いて、私がお答えするという対話形式で進行しました。
13時。ご挨拶とともに、S様に私のプロフィールをご紹介いただき、トークスタート。
以下、個人的に印象的だったトークの内容です。

こちらの質問からトークが始まりました。

S様「「八頭こほり」さんは本名ですか?」
八頭「いえ、本名じゃないです!」

元々、私の創作活動歴は5年前、ジョイフル荒川沖店で開催された「ジョイコミ」という同人イベントに参加したのが始まりでした。
下の画像がジョイフルの駐車場で一発書きした初サークルカットです!

画像1


ジョイコミに向けて初めて手製のコピー本を作り、さてペンネームをどうしようと考えた時、ふと浮かんだのが故郷の地名でした。
私の出身地は、鳥取県の八頭郡といいます。
八頭郡は「やずぐん」と読むのですが、「郡」は「こおり」とも読みますよね。そして「こおり」は「こほり」と表記したりもしますよね。
それで「やずこほり」。
私のペンネームはこういうワケで、自分の出身地をもじったギャグペンネームなのでした。(このお話はけっこう受けました(笑))


個展タイトル「センチメンタル」について。

「センチメンタル」は、以前作ったイラスト集のタイトルにも付けたものです。
私の絵はどんな絵かと聞かれたら、「センチメンタル」な絵だと、自分では思っています。

元々は、恐れ多くも写真家・荒木経惟さんの「センチメンタルな旅・冬の旅」から頂戴した言葉です。「センチメンタルな旅・冬の旅」は、私の大好きな写真集です。写真集の内容は、是非直接手に取ってご覧頂きたいです。

この写真集に出会った当時、私の心はとても傷ついていて、不安定でふわふわとしていました。そんな時に出会ったこの写真集は、どこか寂しさを漂わせていましたが、その寂しさに私の心は癒されたのです。
傷ついた心、寂しい気持ちは、時間とともに薄れていくかもしれませんが、それは心の奥に澱のように積もり、心の深い部分に燻り続けているのです。

心のどこかに置き去りにした傷ついた自分を、寂しい気持ちを癒すために絵を描こうと、当時はそう思ったわけではないですが、「自分の絵」を描こうと思った時、テーマにしたのは「寂しい」絵でした。

寂しい気持ち、ネガティブな感情は、外に向かって発露しにくいものだと思います。悲しそうな、寂しそうな絵は観たくない、という方もいらっしゃるでしょう。私の絵も「暗い絵だね」とたびたび言われます。
でも、人が普遍的に抱く「孤独」という感情に寄り添い、絵をご覧頂いた方の心にしみ入るような絵を描きたい。そういう思いも込めて、個展タイトルを「センチメンタル」とさせて頂きました。

作品について。

私の絵は、全て寂しさを漂わせる女性の絵です。
描いている女性は、ポーズこそ自分の姿を参考にしていますが、顔にモデルはいません。元々自分の姿を参考にしているので、似ているところはあるかもしれませんが、リアルな女性を描きたいというよりは、「孤独感」を女性の姿で表現したいと考えています。

何故女性なのか?
これは、かつて傷ついて、心の奥に置き去りにした自分をイメージしているからかもしれません。私の絵は、自分を癒すために描いている、自己満足で自分勝手な絵なのかもしれません。少なくとも、今年の夏前までは、そんな絵だったように思います。

遠きにありて (2)

今年の夏、母に大きな病気が見つかりました。

個展会場にもある「遠きにありて」という絵は、母が入院する病室、お見舞いに行くために泊まったホテルで描いていたものです。
この絵の顔は全然決まらず、私はお見舞いに向かう高速バスの中でも悶々としていました。
病室について、母と面会し、手術後に担当医からお話を聞き、術後の母に会い、数年ぶりに父と二人きりで長い時間を過ごしました。
そうすると、顔がパッと決まったのです。この絵の顔は、他の絵とは違って前を見据えている感じがするね、と言われました。自分の中で、何かが明るく、クリアになったからかもしれません。希望を感じる絵になっていたらな、と思います。
上の画像は作品の一部ですので、全体像は是非会場で。

夢のつづき (2)

また、世の中では凄惨な事件が起こりました。
個展会場に飾っている「夢のつづき」は、制作途中に京都アニメーションの放火事件が起こり、その事件に対する自分の思いを含めて描いたものです。

ラフの時点では、キツイ表情の女性でした。私の孤独は誰にもわかるまい、という頑なな表情です。
しかし、本画の段階で事件を受け、多くの人々の悲しみの声を聞いて、見て、悲しみに寄り添いたいという思いと、夢を絶たれた方たちへの思いも込めて、女性の顔つきは随分変わりました。「夢のつづき」というタイトルも、そうした中で新たに付けたタイトルです。
こちらも作品の一部の画像ですので、全体像は是非会場へ。

展示されている絵は、デジタルイラストも含めて、左から順に年代順に並んでいます。
2017年制作の初アクリル作品「まなざし」から、2019年の新作「エノコログサ」、それに続くドローイングと追っていただくと、技術面もですが、私の内面が変わってゆく様子もご覧いただけるのかな、と思います。

などなどと、まじめな話もしつつ、お客様から気さくにご質問いただけたりと、楽しいギャラリートークの時間はあっという間に終わってしまいました!
お客様からはこんな質問も。

お客様「描かれている女性はスリムだけど、ご自身をモデルにしてるの?」
八頭「それだともっとお肉がついてますよ!」

そう、ポーズは自分の姿を参考にしてますが、自分なりの理想の女性像を描きたいので、ぜい肉は任意で削ってますよ!(笑)

公開制作

続いて公開制作も、引き続きたくさんのお客様にご覧いただけて、ありがたかったです!

実は、着彩と下絵描きの二つをお見せしたい!とパネルを二つ準備していったのですが、トレースダウンするつもりだった下絵を家に忘れてきてしまい…結局着彩のみの工程をご覧いただくことになりました。(アホ!)
お客様には地塗り(じゃないかな)と白色の陰影作りという地味な作業を延々ご覧いただき、なんだこの地獄は…と、やっておいて冷や汗をかきまくる私でした。申し訳ございませんでした…

同時に、アクリルを始めて2年、技法書やらYouTubeやらで培ってきた画材の豆知識を今こそ披露できる時!と3分クッキングよろしくベラベラとくっちゃべっておりました。
ありがたい事にお客様は好意的に反応してくださり、褒められた子どものように嬉しかったです!

作業中もお客様が話しかけてくださり、とても楽しく作業させて頂きました。普段は作業部屋に引きこもって描いているのですが、張り合いがあってすごく集中して描くことが出来ました。ありがたかったです。

そんなこんなであっという間にイベントは終了!

気さくな皆様にすごく助けていただいた3時間でした。お客様同士もアートのお話などで盛り上がっておられてほっこりいたしました。
義兄一家や育児サークルの元メンバーのママさんもいらっしゃって、とても嬉しかったです!

そして!企画、運営をしてくださった、してくださっているご担当のS様には本当に頭が上がりません!本当にありがとうごいます!
実はS様、ご自身もイラストを描かれるとの事で、お会いしてからず~っと絵のお話をしたかったのですが、この日その夢が叶いまして、時間いっぱい絵のお話をさせていただきました!めちゃくちゃ嬉しかったです!
もうこれは合同誌作りましょう!という話にも発展したので、今後がとてもとても楽しみです!

来年は!来年こそは!みちのくコミティアに参加したいですね~!!

そんなわけで個展「センチメンタル」のイベント、多くの方々のご協力をいただき、無事に終了いたしました!ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました!重ねて御礼申し上げます!

個展の会期は29日日曜日までとなっております。最終日も19時までご覧いただけますので、ご都合がよろしければ是非!お越しください!

それではそれでは~

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