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文系と理系の分断が招く、会社経営の問題点

日本では高校生になると、理系に進むか、文系に進むかの2択を迫られます。

文系に進む場合には、数字を扱う科目からは卒業することができ、社会人になっても、「私は文系だから」と言えば、なんとなく数字が苦手でもオッケー的な雰囲気になっているように思います。

ビジネスで数字といえば、「経理」「会計」「税務」「財務」「決算書」などが思い浮かびます。どれもとっつきにくくて、苦手意識を持つ人は多いはずです。

専門家が、ビジネスパーソンを数字からさらに遠ざける現実

私は新卒でメーカーの経理部門に配属され、それからずっと、会計や数字に関わる仕事をしてきています。

いつも違和感を感じていたことは、同じ経理部門の人が、他の部門に対して行う説明です。

なんで、伝わらない言葉で説明するのかなって、ずっと思っていました。

向こうは、経理や会計、税務のことが分からなくて、困って質問してきてるんですよ。それなのに、専門用語を並べて説明する人、多いですよね。相手の困惑した表情など、お構いなしです。それに輪をかけて、無愛想だったり忙しそうだったり・・・おもてなしの民族じゃないの、日本人は??

同じ文系人間じゃないですか。それならもっと、工夫して話し方を変えればいいのに。

こういう経理部門や会計専門家の思い上がりが、ますますビジネス数字の利用者を、数字から遠ざけているのではないかと思います。

本来、日本人は数字好き

私は、理系文系に関わらず、本当は日本人は数字好きなんじゃないかって思います。

スポーツ中継を見ていると、数字がたくさん出てきますよね。
野球なら、打率、防御率から、対左バッターとの成績とか、カウント別の打率、最近はOPSってよく聞きます。

新聞のスポーツ面にも、必ずチーム別の勝敗数、ゲーム差、投手と打者の成績などが掲載されてます。スポーツ新聞見たら、色々な数値を説明する表の多さにたまげますよ。あれ、読者はみんな理系専攻なんですかね・・・。

サッカーでも、ボール支配率、スプリント数、移動距離数など、技術の進歩に応じて、選手のプレーが客観的に把握できるようになっていています。

じゃあなんで、スポーツの場合には数字がたくさん出てくるかというと、私は2つ理由があるなじゃないかなと思ってます。

1つ目は、その方がスポーツ観戦を深く楽しめるからです。
テレビでは表現しきれない、選手のひたむきさや献身性が移動距離数で分かります。サッカー観戦で感じるモヤモヤ感は、ボール支配率を知れば納得感が出ます。これでなんで点取れないの??ってなると思うんですよね。これは数字利用者が感じる価値です。

2つ目は、出し手の工夫です。分かりやすさ、デザイン。
昔の野球中継をYoutubeで見ると、今と画面に表示されている数字の見せ方が結構違うんですよ。断然、今のほうが見やすいです。
技術の進歩もあると思いますが、それを積極的に取り入れ、毎年デザインを見直して、伝わりやすいように工夫をしていると思います。

受け手が価値を感じるものを、分かりやすく伝え続ける工夫を継続しているんですね、情報の出し手が。
だからますます、数字を使ってより深くスポーツを楽しむ流れが強まっています。これってすごいことだと思いませんか?

会社経営にも、経営の状況をえぐり出すような数字を

日本の会社経営には、まだまだ数字を活用できる余地があります。
それは、会計とか税務とかっていう、専門知識が必要な部分でもそうですし、もっと簡単な数字でも言えることです。

たとえば、第二次世界大戦で、日本の軍隊では精神論に立脚した勇猛さと自己犠牲の精神が重要視されました。

アメリカ軍は違います。
「この戦車の装甲は○センチあり、日本の砲弾では貫通できない厚さなので安心して乗ってよし」
と書いてあったと聞いたことがあります。

どっちが伝わりやすいですかね?
価値観や育ってきた環境を超えて、シンプルに伝わるのは数字と論理です。

ところが、日本のビジネスシーンで数字を扱う専門家の多くは、数字を自分たちで囲い込んで、利用者から数字を遠ざけています。伝わりにくくしてしまっているのです。

それは結局、自分たちの価値を貶めていることになると思います。もっと、伝え方ひとつ、使い方一つを工夫する努力を積み重ねていけば、企業の成長につながる数字の使い方が広まっていき、専門家の活躍のフィールドも増えると思うのです。

そもそも、数字ってとっつきにくいって感じている人に、いきなり数字のはなししてどうするの?と(笑)。じっくり相手の話を聞いて、困っていることに共感できて、「もしこういうことが簡単に分かったら、便利だと思いません?」とご提案して、相手が乗り出してきてからでいいんですよ。数字の話は。

約1年半、中小企業の経営支援をする中で、経営数値を活用することで企業の業績が良くなる可能性に何度も遭遇しました。

すごく象徴的な経験が一つあります。
ある経営者のお話を聞いて、実現したいことを理解した上で、「それって、顧客数にするとあと○件増やすってことですから、1ヶ月あたり・・・、○社開拓すればいけますよ」って話したときに、その方の表情が、一瞬でパッと明るくなったんですよ。それ、行けると思います!って。

そこから、そのために具体的にどんな組織にしていけばいいのか、毎月どんな数字をチェックすればいいのか話して・・・。数字が苦手な経営者さんだったのですが、一度スイッチが入ると、どんどんアイデアが出てきました。

これがもっと広まれば、仕事はもっと面白くなると思うんですよね。


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