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あの子とあのころ

あの子は虐待されていた。
その時は分からなかったことが、成長するにつれて理解出来てくる。

この文章は私の脳内の垂れ流しでしかないから、めちゃくちゃかもしれない。
それは今たいした問題では無くて、なんだかよく分からないけど浮かんできてしまったこの感情に言葉という形を与えたら私の内側で何が起きるのだろう?そんな興味だけでこのnoteを書いている。

あの子は虐待されていたんだ。

小学生の頃、仲良くしていた友達の家に泊まりで遊びに行った日の事だったと記憶してる。

私は正直に言うとあの子の家の空気があまり好きではなかった。どことなく暗くて、重い。
きっとこの頃から感覚的に嫌なものを感じる力が強かったのかもしれない。

当時はそんな事を考えていたわけではないのだけど、今になって心の中であの日あの場所にいた私を思い起こすと、なんとも言えない居心地の悪さを感じているのが分かる。

その日、学校でテストが返された。
あの子が母親にそのテストを見せている光景が頭に浮かんだ。
心臓だかお腹がぎゅっとなるそんな感覚があって、ここに居たくないなと私は確かに心の中で思っていた。
思っていたのに、当時は処理しきれない気持ちだった。

あの子の母親は、彼女のテストの点数が気に入らない様子だった。特別低い点数でもないのに。
そういえば、先生の赤ペンを勝手に使って直していた事があったっけ…ああ…そうだったな…。
そんなことをするのは良くないんじゃないかなと思いながら見ていた記憶が蘇った。

そんなことをしなければならない程にあの子はいつもいつもつらい思いをしていたのか…今の私が駆け寄ってあの日の友達を助けてあげられたらどんなにいいだろう。

あの子の母親は私に「フミちゃんは何点だったの」と言ったんだ。
私はおびえていたし、嘘をつけるほど頭も回らないから、彼女より点数が高かったのをそのまま伝えてしまった。

それを聞いてまた機嫌を悪くする母親はあの子の2つ結びの髪の毛を掴んで引っ張った。
小学3年生くらいの痩せっぽちのちいさな女の子の体なんて軽いだろうな。
「痛い…!」そう言うあの子の髪を掴んで、転びはしない程度の力で振り回す母親。それをただ見ているしか私には出来なかった。

嘘をついてあの子と同じ点数を言えば良かったのだろうか。そうしたらあの子はこんな目に遭わずに済んだのかな。私はなんてばかなんだろう。
私のせいでこんなことになったのかもしれない。

そう思う心のどこかで、安心している自分もいた。
私はこんなふうにされない家で良かった。
なんて酷いことをかんがえるんだろう。最低だ。

私の中に1つトラウマが住み着いた出来事だった。

あの日の私は何ひとつ悪くない。
私が嘘を付けなかったことも、ただ黙って見ていたことも、罪悪感を覚えながらも安心してしまったことも何ひとつ。
ただのひとつも悪い所なんてないはずなのに。

人の心はこんなことで簡単に蝕んでいく。

当事者じゃない私が受けた影響を考えれば、あの子の心の傷の深さに胸が痛くなる。その後、あの子がある問題を起こしたのは知ってる。私とは関わりがなくても、同じ空の下で今幸せであればいいと願っている。

私は無力だったし、ただそれだけだった。

人は誰でもトラウマを抱えてる。
思い込みを持って生きてる。
ちいさな頃から積み上がった記憶が大人になって不意に顔を出して、答えが分かることもある。

多くの場合、抱きしめてあげるだけでいいと思うんだ。そうしたら不思議とね、今の私が癒されていくんだよ。

私は無力だったし、ただそれだけだった。
私もあの子も、ただ純粋にこどもだったんだ。

助けてあげられなくてごめんね。
こんな気持ちを抱えて頑張ってくれてありがとう。
そんな思いに、さようなら。


Xに入らないな…と思って、書き出した文を全て消す事が私はよくあるから、またこうして思い付いたらnoteに書こうと思う。
誰かの心にさざなみ程度でも起こす事が出来たなら、それはとてもとても嬉しい。












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