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何の予備知識もなく『ペルシャの神話』を読んだ

そもそも神話をたいして読んだことが無かった。ギリシア神話とかは面白いと聞くけど、中高生時代もヤングアダルト系の本ばかり読んでいたように思う。しかし時間のあるこの夏休み、ペルシャというおしゃれな響きにつられて、軽い気持ちで手に取ってみた。

読んだのは、岡田恵美子氏著作の『ペルシャの神話』という本。ペルシャ神話の中でもいわゆる神話っぽいところを抜粋してまとめてくれていた本のようだった。

内容と特徴を簡単に

アフラマズダとアーリマン、と聞くと世界史を学んだことのある人は懐かしく思うかもしれない。2元論を軸とするゾロアスター教で描かれる神のお話から物語が始まる。創世記みたいなところだ。

しかし本の中心は、ペルシャ(イラン)の王家や勇者のお話である。神話って神の話っていうくらいだからずっと神が主人公でしょ、と思っていた私にとっては結構意外であった。原子人間の血を引くイラン王家を中心に、アラブなどの周辺国の王や王家に仕えた名家・勇者など、歴史的関係性が結構反映されつつファンタジックな内容が続く。

ありきたりな感想だがそれでもあえて言いたいのは、ノスタルジックな感じが読んでいて本当にワクワクする。物語において、世界観はもちろん、白さを表す比喩にジャスミンの花が使われる、とか細かいところに至るまでペルシャの空気に満ち満ちている。

印象に残っているシーン

「めぐる天輪」というものが神話の中で何度も登場する。人智を超えた、運みたいなものだろうが(実はあまり説明が無かった)、それでもどうしても人は物事をよしなに進めたいものである。王たちは「めぐる天輪」を調べるために賢者や司祭、星占い師を集める。
なんとなく、このシーンが好きである。魔法使いが魔法を使うより、よっぽどロマンと神秘さがある。どんなことを話しているんだろうか。意見を述べる時の根拠は占い結果と予言とかなんだろうか。ちょっと意地悪な言い方をすれば、そんなよくわからない根拠による意見だらけの話し合いを覗いてみたい。

それから、サルム・トゥール・イーラジの三王子が凍てついたバラ園でも眠っているシーンは描写がきれいだった。おとぎ話的な美しさがあって、子供の頃に見た夢みたいな感じがする。

神話、面白いじゃん!

この夏に失った読書習慣を取り戻そうと思ってはいたが、おかげで良いスタートが切れた気がする。こうなると他の神話も読んでみたくなりましたね。

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