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映画『未来惑星ザルドス』感想


※的外れな事を言ってても「適当言ってんな~」ぐらいに思ってください。

見よこのフライヤーを、匂い立つ素晴らしきケレン味よ。
こちらの映画を友人におすすめされたので、下高井戸シネマにて『未来惑星ザルドス』を見てきました。

■『未来惑星ザルドス』とは

公式サイト

Wiki

1974年アメリカにて公開されたSF映画
製作・脚本・監督 ジョン・ブアマン
主演 ショーン・コネリー

ショーン・コネリーという名前にどこか聞き覚えがあるなと思ったら、『007』シリーズの初代ジェームズ・ボンド役の人だそうです。
そっちもいつか見たいなぁ。

ちなみに同年代のSF映画に『2001年宇宙の旅』や『猿の惑星』があります。
『2001年宇宙の旅』の監督スタンリー・キューブリックはクレジットこそされてないもののテクニカルアドバイザーとして『未来惑星ザルドス』の撮影に参加されてたそう。テクニカルアドバイザーって何だ?


■あらすじ

舞台は2293年の未来、人類が荒廃した世界。

一部の特権階級たちは先端技術で不老不死の存在”エターナルズ”となり、”ボルテックス”という外界から隔絶された透明ドームの中で平和で優雅に毎日を過ごしていた。

エターナルズは空飛ぶ巨大神像”ザルドス”を建立、それを崇める撲滅戦士”エクスターミネーターズ”たちを操り、荒廃した外界に棲む獣人”ブルータルズ”たちの搾取、殺戮によってボルテックスを維持していた。

しかしある日、撲滅戦士のリーダー”ゼッド”は、着陸したザルドスの口内に身を隠し、ボルテックスのドーム内に潜入する。ザルドスという神の忠実な下僕だったはずのゼッドの目的とは一体?

空飛ぶ顔面石のフライヤーに興味を持った人や、一風変わった雰囲気の映画が好きな人は是非!


■かなりヘンな映画でした

こちらの動画をご覧いただきたい。
https://www.youtube.com/watch?v=TRvg9ITwtT8&t=109s

「これは私の趣味で作ったわがままな映画です。中身は好きなものだけ。」
―南海別冊特集 未来惑星ザルドスとジョン・ブアマンの世界 p23 より―


監督がどういう感情でこの映画を撮っていたのかわからない……!!


話の内容はシンプルなはずなのに、監督の感性から繰り出される独特過ぎる展開や、そのつど脳をリセットさせられるようなサイケデリックなシーンの挿入、わかり辛いサスペンス描写のせいで難解な作品に仕上がっている。

なんだろう、一般大衆に向けた映画ではなく、ブアマン監督の好みにカリカリチューンされたホームビデオだと言われた方がまだ納得できる。


少なくとも俺は何一つ理解できた気がしない。
誰かあの映画は何だったのかを教えて欲しい。


■自分なりの感想(※以降ネタバレ含みます)

この映画の内容を一言で言うなら
「アーサー・フレインによるはた迷惑な自殺劇」
自信は無いです。
誰か教えて。


映画冒頭より
「私はアーサー・フレイン、そしてザルドス。300 年も生きたから、もう死にたい。だが私は死ねない…不死なのだ。これからの物語は神秘と陰謀だけでなく、皮肉と諷刺に満ちている。近い未来の話と思ってもらいたい。ありうる話だ。私のようにならぬよう気をつけるんだ。ここで私は偽の神を演じている。本職は手品師だった。いや魔術師かな。そして狂言回しだ。登場人物を自在に操ってみせる。だが、この私も諸君を楽しますための道具さ。諸君だって誰かに造られたんだ。土のちりからだよ。映画の神様かな?」



もう最初に言ってしまってるんですよ。
「もう死にたいけど、不死だから死ねない」って。

アーサー・フレインはエターナルズの一人で、タバナクル装置の管理下にあります。「タバナクルって何?」だと?映画を観ろ。

タバナクル装置がある限り死んでも再生させられ、ケガや病気もリセットされます。彼が装置を破壊することはできません。
彼にとっては、否応なしに退屈な日常を送るしかない状態です。

なのでタバナクル装置の管理外の誰かに装置を破壊してもらおうと考えます。ここでゼッドに白羽の矢が立ちます。

しかしゼッドは義務教育0の状態です。このままだとボルテックスに侵入させても何の役にも立ちません。

なので教育します。
ここで注意なのは、アーサーがゼッドにタバナクルを破壊するよう直接誘導すると、アーサーがタバナクルに目を付けられてしまいます。
(タバナクルはアーサーの五感を把握できる)

あくまで、ゼッドがこの世界の仕組みを憎み、全ての元凶であるタバナクルを破壊しようと”自発的に”決心してもらわなければいけません。

あ く ま で 、色々教えた結果ゼッドが勝手にタバナクルにブチギレたという形でないとアーサーは困るのです。

「私は登場人物を自在に操ってみせる。」



ここらでツッコミがある方は各々で示してください。
きっと僕も同じ気持ちです。



で、次。「私のようにならぬよう気をつけるんだ。」

なにやら警告を発してますね。
現状をあまり望ましいものと思っていないのかもしれません。

前述のとおり彼は不老不死です。
ではなぜそうなったのか?

作中で不老不死は魔法の類ではなく技術として出てきます。
生まれつき処置されたのか自ら選択したのかは知りませんが彼はその技術を受けました。タバナクルによる支配はその結果です。

「近い未来の話と思ってもらいたい。ありうる話だ。私のようにならぬよう気をつけるんだ。」

ありえるかもしれないですね。不老不死になったは良いものの全てを管理される社会。互いが互いを監視するディストピア。
死にたくても死ねない退屈な社会……。

タバナクルと縁切ればよくね?

はい、彼はキャンセル申請ができないクソなサービスを契約してしまったようです。たまにあるよね退会処理できない系の詐欺まがいのやつ。

なので他の同サービス契約者であるその他大勢を巻き込んでタバナクル・サービス株式会社をぶっ潰すことにしました。
同調してる人もいたし。消費者団体に死の権利を。

イヤですね融通の利かないサービスって。
取れる手段が他人を巻き込むしかないというクソめんどい状況なんて。
彼のようにはなりたくないものです。

(※彼は宗教部門を担当していたので、タバナクルとしても彼を手放すわけにはいきませんでした。管理を外して死なれるまでの間、勝手に何するかわからないし。)

以上のことから、この映画を一言で言うなら
「アーサー・フレインによるはた迷惑な自殺劇」
だと言えます。

後になって違うなと思ったら、こっそり記事を修正するか消すかしようと思います。


仮に合っていたとして、
自分が不老不死になって、永遠の時間のどこかで生きるのに退屈して、
何かの罰として老いて不快感と共に生きざるをえなくなるのか。

明日も明後日も何も変わらない、と脳が委縮してしまったような、
目が覚め切らないような、薄ぼんやりとした日々に囚われるのか。

アーサーみたいな事をするのか。

自分はそうならないとは言い切れなくて怖いなぁと思いました。


■初見時の感想

ちなみに初見時は今と全然違う感想でした。
エターナルズは産業の擬人化かな?と仮定しながら見てたので、最後の方で全員〇んでしまったので「革命成功しちゃった!?文明滅んじゃったかー。」と思いました。実際はそんなことなかったけど。

そのぐらい明後日の方向に勘違いする気持ち、あの映画を観た人はわかってくれると信じてる。

■あと気になったところ

未来先取り
1974年の時点でエターナルズ各人の手元にデバイス(今でいうスマホ)があったり、すべての住人の情報を一括管理する存在”タバナクル”(AIによる中央集権政府?)があったりと現在と近いモノを示唆してて驚いた。

反戦映画?
1974年アメリカで公開された当時はベトナム戦争末期(1955‐1975)。
当時の人たちは長く続く戦争に いつまでやってんだよ って気持ちだったかもしれない。何かしら比喩入ってそう。

名前にも意味込めてそう
・名前がゼッドなの、”終わらせる者”としてアルファベッドの最後の”Z”を付けたのかもしれないと考えるの楽しい。他の名前?さぁ?

なんであるの?
ゼッドが花嫁衣裳に扮して群衆の目をかいくぐるシーンがありまして。
そういえばボルテックスでの『花嫁』って何だ?皆年も取らず、生殖もしない、別に家族がいらない世界になぜ花嫁衣裳が?仮に遺物だとして、なんでそれを選んだ?何かの比喩だとは思うけどまったくわからん……!
ショーン・コネリーを女装させる必要あった?

老タキシード
エターナルズは男女共にこう……何というかふわっとした服を着ている。
老人罪を受けた者は、なぜか皆タキシードやドレスを着るようになる。
当然理由は語られない。何でだよ!

理由があるとすれば、不老不死となった未来では、性差がさして重要でなくなるという価値観を描きたかったとか?
あと、1970年代はヒッピー文化でフォーマルな衣装は古臭いって風潮があったらしいから、それを意識してたのかもしれない。

説明など無い!
ラストシーンのゼッドの服装に注目すると、腰にライオンのベルトが巻かれている。子供が青年になった時、このベルトが引き継がれているのにお気づきだろうか?意味はわからん。

ちなみにオズの魔法使いという作品のラストでは、臆病なライオンはドロシーを家に帰したのちに森の王となる。

ちなみに1939年、ブアマン監督が6歳の時にオズの魔法使いのミュージカル映画が発表されてたりもする。
1954年にもリバイバル上映もされたとか。
この時のブアマン監督は21歳。

1939年映画『オズの魔法使い』

etc…
メイとの「知識と交換に受精」って何だっけ?
アヴァロウがくれた葉っぱのくだりは?
なぜゼッドはコンスエラを?

知らん!知らん!知らーーーん!!!

■余談

製作費がやばい
映画製作費が約100万ドル、当時の日本円にして3億円です。

こう聞くとお金をかけているように聞こえますが、近い時期の『2001年宇宙の旅』が約1100万ドル、『猿の惑星』が約580万ドルのことを思うとかなり厳しいかっただろうと思います。

昼飯580円なら割と何でも食べれるけど、もし100円玉渡されて「これで美味いもんでも食え」とか言われたら無茶言うなって思うでしょ。

そんな低予算での製作にもかかわらず、必死な撮影によってあのカオスが生み出されたのです。裸体を直接スクリーンにして回転させるとか思いつかん。いや、予算があったらもっとカオスだったのかも?


ちなみにこの予算100万ドルを引っ張ってくるエピソードが好き。

―南海別冊特集 未来惑星ザルドスとジョン・ブアマンの世界 p10 より―
ブアマンは『未来惑星ザルドス』の企画をワーナーに提案するが、脚本を読んだワーナースタジオ首脳の返事はNOだった。
諦めきれないブアマンは自身のエージェントに相談したところ、20世紀フォックスの社長が新作の企画を求めていることを知る。
ロンドンまでやって来た社長直属の担当者は1時間半かけて脚本を読み、その場で可否を決めることに。
読了後、恐らく何も理解できなかった担当者はしかし、エージェントの巧みな話術によって丸め込まれ、映画化が決定した。


一体どんな話をして100万ドル(3億円)引きずり出したんだ……。


■終わり

最後まで読んでいただきありがとうございます。
読みづらい文章ですみませんでした……。
みんなも観よう!『未来惑星ザルドス』!


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