ホームレス小谷さんのコーディネートをした話
さかのぼること、2016年の11月。
ホームレス小谷さんの服をスタイリングさせてもらったことがある。
【小谷さんと初めて会った日】
スタイリングをする2ヶ月くらい前だった。
たまたま「ホームレス小谷のしゃべり場」ってゆうのに参加したのがきっかけ。小谷さんに会ってみたいと思っていた最中にこのイベントページがたまたまfacebookのタイムラインに流れてきて、すぐに参加を決めた。
この日に初めて小谷さんと話したわけだけど、初めましての印象は、なんか良くわかんないけどすごいおもしろそうな人。みたいな感じだった。良くわかんないけど、みんな小谷さんにいろんな相談をしてて解決したり案をもらったりしていて、良くわかんないけどみんなの為になってるしなんかすごいなこの人。って思って見ていた。
【コーディネートさせてってお願いしてみた】
そこで、わたしも小谷さんにコーディネートさせてほしいとお願いしてみました。そしたら、いーっすね!やりましょー!おもろそー!みたいな感じのこたえが速攻でかえってきた。すごくワクワクする感覚があった。言葉で説明するのは難しいけど、小谷さんをスタイリングしてみたい!ってゆう感覚が中から湧き上がってきたのを覚えている。
この頃、自分の方向性や進み方に悩んでた時で、小谷さんと一緒にいたら、スタイリングをしたら何か面白いことになるかもと思っていたのかもしれない。よくわかんないけど面白そうだからってゆう理由で。
【スタイリングのテーマは神様】
▶神様になりたいので神様にしてください!
▶とにかくめでたい感じで!
と、小谷さんから希望をもらった。
▶小谷さんの好きな色は赤なので、赤を入れてとにかくめでたい感じ
▶着物を仕立ててもらっているという話を聞いていたので、赤い着物にも合わせられそうで全体的に神様感が伝わるイメージ
この時の小谷さんはまだ、今みたいに全身赤のコーディネートが定着しているわけではなかった。そこで、神様になりたいという小谷さんの希望を踏まえて、「歩くホームレス付き御守り」に見立ててコーディネートに落とし込もうと思いついた当時のわたし。(笑)
事前に色々似合いそうなものや行くショップもある程度絞って、実際に小谷さんと打ち合わせをしてからお店に向かう。
【実際にお店にいく】
次々に色々と着てもらったわけだが、小谷さんはなんでも似合う。
わけわからんようなものがより似合う。
色々着てもらった中でも、めでたい感が伝わる3点が候補にあがる。
▶金色の漢字柄でブルーの光沢感のあるロングガウンのような羽織り
▶上下セットの白地に赤と黒の漢字柄のチュニック丈のトップスとパンツ
本当は、赤と白の漢字柄のセットアップではなく、パンツだけにするか迷っていた。小谷さんはたくさん重ね着するし色々着やすいものが良いと言っていて、実際そこでも色々な着方を試した。ちょっと丈が長めでゆったりしてるので上に羽織ったりするのが難しそうでどうかなあ?と心配だったのだけれど。でも、私はどうせ着るなら絶対セットで着た方が神様感はより増すし、印象にも強く残ると思ったので着て欲しかった。赤い着物を羽織ってもあうだろうなあと思っていた。なので、結局セットアップで決定したのだ。
【スタイリングのその後】
小谷さんが実際に着てくれていろんな場所に行っていろんな人に会う中で、すごく肝心な事に気付いた。
小谷さんの投稿や動画、小谷さんをタグつけした皆さまの写真を見ると、楽しそうに小谷さんを拝むような写真や、着物と合わせて着ている写真、動画で小谷さんが漢字柄のセットがとても好評と言ってくれていたり、道行く方にご利益ありそうだからと、お賽銭をいただいたとゆう話を聞いたり。
みんななんか楽しそう。ワクワクしてる。すごく良いじゃん何これ?って思った。小谷さんが着てくれた事ももちろん嬉しかったけれど、小谷さんとゆうキャラクターを通してその先にさらに楽しいハッピーな世界が生まれている感じがすごく良いなと思った。
わたしは「小谷さん」という人の個性を表現したくて、スタイリングをさせてもらっただけだった。けれど、それによって小谷さんの世界観がどんどん広がって周りにいる人が楽しんでいるのを見たときに、すごくすごく嬉しい気持ちになった。小谷さんがどんどん神様になっていく感じがした。
【ビジュアルの力】
少なからず、微々たるものかもしれないけれど、洋服の影響力を改めて感じた。洋服はあくまで表現するための「モノ」でしかなくて、それを人とあわせることでその人のイメージや世界観がうまれる。
それは、その人にしか出せない世界観でアートになる、と私は思っている。「モノ」を使って表現して「人」を通してその世界が「コト」に変わる。「モノ」から「コト」に変わったときに、初めてコミュニティが生まれて人と人が繋がる。絵を描いたりモノづくりをしている人たちと似ている感覚だと思う。
小谷さんに軽い気持ちで依頼したことが、こんなにもたくさんの気づきやキッカケになるとは思ってもみなかった。長いこと模索していた私が「これかもしれない」と、自分の表現したいスタイリングの形に出逢う原体験となった。
人とモノを掛け合わせて、その人のイメージや世界観を表現する。
今回のスタイリングだとこんな感じ。
【人】小谷さん
【イメージ】めでたい、神様、御守り、おもろい
【モノ】めでたい漢字、めでたい色(赤、白、金)、小谷さんにあうフォルム柄、素材の服、小谷さんにあう雰囲気、
=【コト】小谷さんにしか出せない世界観
※写真、みなさまから拝借させていただきました
↑この服でファッション誌のGINZAに載った時はびっくりした。笑
この時の漢字柄のセットアップはけっこう長いこと着てくれていた。
この頃から、小谷さんの神さま感やめでたいイメージが加速度的に定着していったのかなと思う。そして、どんどん赤い洋服が増えていき今では誰でもわかるような印象的な世界観が出来ているよね。
今振り返ってみても、やってよかったなあって思うし、おもしろいことしたなぁと思う。笑 きっとこの時の体験がなければ今のわたしのスタイルは絶対に誕生していないと思うから、小谷さんには感謝してもしきれないのだ。
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