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労働組合って何の意味があるの?

 職場の労働組合の役員をやっています。過去に複数回やった経験があり、「もうたくさん。次は絶対引き受けない。」と固く誓っていたものの、前任の若者に毎日頼みに来られて根負け。
 組合の役員って正直損な役回りです。仕事とは別に定時間外の活動なので拘束時間は長くなるし、労使交渉では社長にボロクソに言われて「なんでオレがこんな目に遭わなきゃいけないんだ」と歯ぎしりして憤ったことも一度や二度ならず。ストレスばかりかかってほんの雀の涙ほどの役員手当がつくだけ。労使交渉の経営側は交渉のプロだしそれで給料をもらってる、一方こちらは交渉のシロウト、惨めなもんです。・・・と愚痴さんざん(笑)。
 さて。それじゃ、組合ってなんも意味ないじゃん、ってことになるんでしょうか。今回引き受けた時、最初は最低限の仕事だけしよう・・・って思いました。でも、タイミングよく「ゆるやかに連携・連帯していく。自分からできることをやって変わっていく」ことを考え始めたため、「おっ、組合も何かに使えるんじゃないか?」と思い当たったのです。そもそも「連帯」って組合の代名詞のような気がします。
 で、役員を引き受けて以降、様々な問題・課題が出てきました。コロナ禍で業績の出ないなかでの春闘賃上げ交渉、急な人事制度の提案への対応、受注の急増に伴う残業の急増で人員増を会社に粘り強く訴え続ける、職場でのコロナ感染者の発生に対する会社の危機管理への問いかけ、相次ぐ中途退職者に辞めた原因など職場環境の調査、そして再びの春闘に向けて「会社は本当にお金を出せないのか。もっと人に投資すべきではないのか」会社の財務分析を行ったり・・・ん~、気の休まるヒマがないわ~。
 今回役員をやっていて何に気をつけているか、自分なりに振り返ってみました。まず、「みんなの代表。独りよがりにならないこと」。せっかく役員なのだから自分の考えやスタイルを実現するチャンス、とも思っていますが、「それがみんなの意見」という根拠が大事。そういうわけで、度々アンケートを取って意見を集約したりしています。とくに残業過多の状況で残業についてのアンケートを取り細かく分析して結果を会社側と組合員に伝える、という取り組みは手間がかかって大変でしたが、今の職場の状況とみんなの受け止め方が良くわかりました。残業ゼロが理想という人、残業代を当てにしていたり積極的に残業代を稼ぎたい人、さまざまで温度差があるのです。
 職場で肩書のない(つまりヒラ)の僕にとって組合は唯一リーダーと言えるポジション。正直、リーダーシップなんてとんでもない、似合わない、と思っているのですが、立場上みんなを引っ張っていくしかありません。目指すのは「協力型リーダーシップ」とでも言うのかな。他の役員の意見を聴きながら手分けして進めていくのが理想・・・その通りにできているかどうか分かりませんが・・・。
 ふと思ったのですが、組合って「直接民主主義」実現の場ではないかと。役員だって持ち回りだし、うちの会社の場合はとくに人数が多くないので直接声を上げることができるし。そう考えると、組合活動は「自分たちで世の中を変えていく大切な一歩」。これをいかに大事に自分事として捉えていけるか、それが未来へつながっていく、うん、それは確かに言えると思います。
 「なぜ組合活動をやるの?」に対する答えとして、ある人の意見が目に留まりました。「当事者が取り組むことが大事だからです。本当に分かるのは当事者だけです。会社任せにしていては、社員のことは分かってくれません。女性のことは女性本人が、非正規雇用のことは派遣社員の方が、子育て世代のことは子育て世代自身が、一番分かっている当事者が取り組まないと良くなっていきません。」ホントそうですね。誰でも自分自身のことに一番関心があって、他の人は残念ながら本人ほど問題意識を感じることができません。
 それからもう一点。組合活動の拘束時間の長さについて、思うところがあります。拘束時間が長いほど、個人や家庭の事情で参加できない人が出てくる、みんな嫌がる、ということです。極力それを減らすためには、役員の仕事量を減らして「楽な組合活動」にしていくことが重要だと僕は考えています。「限られたパワーを優先順位をつけて大事なことだけに注力」していくのが筋ではないかと思っています。そんなことを考えながら仕事を分担したり、足りない知識を補うための研修を企画したり、とやっています。

 「任期が終わるまでまだあと半年。しんどいなぁ~」と毎日思いつつも、ひとつでもふたつでも次期役員につながる取り組みをしていければなぁ~と思っています。

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