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不機嫌な人

玄関でお出迎え


結婚当初からモトオの不機嫌問題で、私は我慢しては爆発するを繰り返していました。それでも大恋愛の末、結婚したのだから、話し合えば解決できるはずと思っていたのでした。

ただ発達障害を知らないと、普通の話し合いは全く意味がなかったのです。道理で解決しなかったわけです。

それでも、相手にして欲しいことやして欲しくないこと、いろいろ具体的に話し合ったので、発達障害の人にも分かりやすい内容だったはずですが、彼の生活における記憶力が壊滅的だったので、合意した約束事も三日で忘れ去られてしまったのでした。

話し合いの内容に戻りますが、その際、彼から強くリクエストされたのが、玄関でのお出迎えでした。

私は家で少ないながらイラストの仕事を始めていたので、単純にめんどくさかったのですが「そうして貰えると嬉しい」と言われれば新婚ですから、まあいいかと快く迎えに出たのでした。

ところが、嬉しくなると言った本人は、超不機嫌!笑顔で「おかえりー」と迎えても機嫌が良くなることはありませんでした。

「言われた通り、迎えに出てるのに、なんで機嫌悪くされなきゃいけないの!? 
気分悪いんだけど、どういうこと!?」と訴えると、モトオは決まって古いパソコンのようにフリーズしていました。

彼の言動はいつも不可解で、聞いても答えが返って来ないのが謎でしたが、要は言われている意味が分からない、意味は分かってもなんと答えたらいいか分からない、或いは責められていることに過敏に反応して固まってしまうということだったのです。特性でこうなる人は少なくないのです。

初めの頃は、普通に仕事で疲れているのかもしれないと思い、そおっとしておいてあげたりしましたが、不機嫌を直さないので、私も迎えに出なくなりました。けれど、その後もこのお出迎えは、お願いされてはまた復活し、また不機嫌になって、またやめるを繰り返したのでした。

追記ですが、こんな事もありました。私が「おかえりー!ご苦労様ー」と言うと「ご苦労様とか言われたくないんだけど!」と言われたのです。

驚いて聞くと「ご苦労様は、格上の人が使う言葉でしょ? あなたは、オレより上なの? 普通お疲れ様でしょ? ビジネスの世界ではそれが当たり前。 そんなことも知らないの?」と、高飛車に言ってきたのです。

思いっきりカチンときました。

「ここはビジネスじゃないんだから、お疲れ様でもご苦労様でもどっちでもいいんじゃないの?」と言うと

「やや子ってさ、ほんとに日本語知らないよね? 常識でしょう」と言って笑っていました。

この頃、私はよく日本語を間違うことがあったので、そのことを言っている訳ですが、ツッコミというよりも本気で馬鹿にしている感じで理解出来ませんでした。お陰で、私の頭の中は「なんで?」という疑問で常にぐるぐるしていました。

普段、家でほとんど笑わない彼は人を小馬鹿にする時だけは嬉しそうだった訳ですが、それが冗談ではなく本当に馬鹿にしていると、はっきり分かったのは大分後になってからでした。

ここでのポイントは、モトオが私より格上だと思っていたことでしたが、常識がないとか言って話のポイントがズレるので、結局何を話していた分からなくされモヤモヤして終わったのでした。

こんな具合に彼の考え方や会話の仕方には間違ったところが多々あったのですが、よく話のポイントが変わるので、問題の本質が見えにくくなりました。理由は本人に悪意がないからなのでしょうが、だからと言っていいことにはならないので、厄介なのでした。


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