医者の太鼓判が示すもの
”勘違い”してしまうのは誰か
日経ビジネスのネット記事で「発達障害のリアル」と題したシリーズの「発達障害でよくある”勘違い” 心配が要らないケースも」という記事を読みました。
インタビュー形式で、小児科医の高橋孝雄先生が答えている記事について、悪い先生ではないのでしょうが、支援に携わる者として気になったことがあったので書こうと思います。テレビとかにも出てかなり有名な先生のようですね。
高橋医師は、DSM-5(アメリカの精神疾患の診断基準)のチェックリストに自分の子どもがこんなに当てはまると言って来院する親にそれは星占いで、そう言われてみれば当たってるような気がしてきた程度のものです、と言っているとか、発達障害は音痴や運痴みたいなものだとか、とにかく発言が軽々しいものでした。
受診者もいろいろいるのでしょうが、日々の暮らしの中で何かしらの違和感を感じて来院してくる親に対して、星占いに例えて、考え過ぎのように言うのはデリカシーに欠けると思いました。発達障害の疑いで受診に足を運ぶのは、そんなに簡単なことではないからです。
そして、こんなことも言っていました。
学校や園の先生の話など聞かなくていいかのように聞こえますが、私は学校の先生達ほど子供たちの社会性の問題にいち早く気づける場所にいる人達はいないと思っています。学校だと何ができて何ができないかは一目瞭然。同じ年齢で集まるので、発達の偏りのある子供を見つけやすく、先生が親に受診を提案しているということは、問題が発生しているということです。
学校は疑わしい人全員に言っているわけではありません。学校内で相当話し合ってしているはずですから、その時その声に耳を傾けないと後々大変なことになります。子供の問題行動は助けを求める訴えですから、親にも協力して欲しいということを示しているはずです。
親が協力的になると、子供も変わってきますから、親も園や学校と協力して子供を理解して欲しいと思います。頻繁に起こる失敗も未然に防げるものがあったりするので、親の協力は必須と思います。
それを、先生たちがなんと言おうと親がセーフと言えばセーフ!だなんて、無責任だと思いました。
発達障害を受容できない親は、どんな親か
実際、学校の先生になんと言われようと全く聞かない親御さんはいます。
周りからなんと言われようとうちの子供を障害という枠にはめたくないと思うこともある意味大事かとも思いますが、先ほど言った通り担任の先生は特性のある人皆に言っているわけではないので、指摘を受けた時は逆にいろいろな支援と繋がれるチャンスと捉えるべきかと思います。
今クラスの中には、かなりな数のグレーと呼ばれる子供達がいます。なにかあるのは確かでこの先大変だろうと想像がついても、本人も本人らしく過ごしていて、その時点で人の迷惑になっていなければ問題なしで声をかけられることもないでしょう。良くも悪くも、女子の発達障害の多くはこの枠に入ってしまいます。
なので、学校から指摘があったということは、かなり強く特性が見られるということなので、セーフなんて言ってる場合ではないのです。
かわいそうなのは障害であることではなく、障害があることを親に受け入れてもらえないことではないかと私は思っています。当然ですが、特性を理解されないと、抑うつや反抗挑戦性障害、行為障害などの二次障害を生じることにもなります。
診断が下りても、支援がうまくいかないことで二次障害を起こしてしまうケースもあります。家族が理解してうまく対応できるようになるには時間が掛かる上、子供も大きくなると思春期などで難しくなるので、早期対応は大切なのですが、この高橋医師は、このシリーズの別の記事で「自己肯定感を下げないためにも早期診断は逆効果だ」とも言っていて、自己肯定感を下げないのは分かるけど、なんだか誤解を招きそうな発言をしていて、要注意だと思いました。
医者もいろいろな人がいますから、診てもらう側もよく勉強して、繋がる場所をあちこち作り、支援してくれる人を選ぶ目も養わなければいけないのだと思います。
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