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表現力のある歌って、こういう事なんだな。

寝る前に音楽が聴きたくなって、話題になっていた動画を観た。

様々なアーティストが一発撮りで歌う『First take』という動画だ。

『緑黄色社会』という名前が目に留まり、『Shout Baby』という曲を眠い目を擦りながらクリックした。

歌う前にメンバーでの静かなやりとりがあった。「ボーカルは声の細い人だな」いう印象で、この曲を聴いて静かな気持ちで眠れるな。そう思った。

でも、そんな予想は綺麗に裏切られた。



囁くような入りから、がなり声、低い声、裏声、溜息の混ざる声、震えた声、かすれる声、それぞれが切れ間なく繋がっていく

裏声から囁き声への繋がりにも、音階を一瞬で丁寧になぞったような滑らかさがある

力強さと繊細さが共存していて、なんだか不思議な気持ちになってくる。


今まで、歌の巧さって「どれだけ高い声を響かせられるか」が全てだと思っていた。でも実はそうじゃない。

「ああ、表現ってこういうことなんだな」っていうのが感覚的にわかる。

ここまで演奏なしのアカペラなので、細かい表現がより伝わってくる。

サビに入る前から曲の凄さ・ボーカルの凄さに圧倒されていた。眠気は吹き飛び、頭は完全に覚醒していた。


サビに入ってもそれは変わらない。曲名通り「shout」しながらも、空気の含んだ声を織り混ぜ、圧倒的な声量で歌い上げる。

聴いている間、身体がゾワっとした感覚に包まれ、口から息が何度も漏れた。


Bメロからは演奏が入った。ボーカルの吐息のような声は減り、演奏に馴染むような、でも存在感のある歌い方に変わる。

そこからは歌詞なんて頭に入ってこなかった。あるのは圧倒的な音だけの世界。しばしのあいだ、その世界に浸っていた。



































気づけば演奏は終わった。演奏が終わった瞬間は誰もいない空間よりも静かだ。

ボーカルがカメラの前でニヒルに笑ったあと「……ありがとうございます。」と囁く

演奏中とのギャップがカッコ良すぎて、こちらも不思議と笑ってしまった。



そして、しばしの余韻に浸ったのち、僕は長い息を吐き、改めて曲を再生した

https://m.youtube.com/watch?v=raZ22iX5J18&feature=emb_title









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