産後の薬膳リカバリースープ
産後の養生をきちんとするのが大事。
しないと一生に響く。
などと耳にしたことはないでしょうか。
これ、中医学的にはごく当たり前の話。
かといって、実際に何をしたらいいのか知らなかったり、
知ったとて、うちでは無理…ということも。
実際に何が産後の養生にあたるのかは、別記事に譲るとして、
ここではまず、産後の気力体力の回復のための薬膳スープを紹介します。
基本の作り方
■用意するもの■
鶏ガラ 1羽分
水 1.5ℓ
ナツメ 5粒
枸杞の実 10粒
はとむぎ 30g
その他、具材として山芋・里芋・大根など
①鶏ガラ〜はとむぎまでを水1.5ℓに入れ、15分ほど煮ます。
②食べやすいサイズに切った具材を、1に入れ、15分ほど煮ます。
以上です。
具材が食べられる柔らかさになれば問題なしですので、煮る時間はそれを目安にしてください。ナツメ、枸杞の実、はとむぎも食べましょう。
メインの素材たちのチカラ
まず、産後の体は「生命エネルギーである【気】とその変化したものであり栄養を運ぶ【血】が、かなりの量、失われた状態」だということをわかってください。
だから、産後は疲れやすく、気が落ち込みやすく、何をするにも産前のようには行かない、ということが起きて当たり前なのです。
ですから、産後はできるだけ早く、【気】と【血】を取り戻すことがかんじんです。
鶏ガラ:鶏は実は、お肉類の中で一番、【気】を補うのに重宝する食材です。
体が弱っている人でも使いやすい、というのがポイント。牛などは強すぎて、産後の体には負担になる場合もあります。
でも、鶏肉だけでは少し足りないことも。
そこで、骨付きのものをおすすめします。骨からは、【気】の素になるエキスが出てきます。それも一緒にスープとして飲むのが良いのです。
ナツメ:こちらは【気】【血】を両方補います。
【気】は通常、食べ物から少しずつもらいます。その中でも、【気】をたくさん取り込むことができる食材というものがあり、なつめはその一つです。
更に、「食べ物から【気】を取り出す臓器」というものがあります。これを「脾」と呼びますが、ここを元気にするチカラがあり、相乗効果が得られます。
そして、中医学では【血】が増えると、心の臓の働きが安定することになっています。特に、そわそわして落ち着きがなくなる場合にナツメは功を奏します。
元々暑がり、のぼせ症の方は、夏は控えめにする方がいいです。
クコの実:【陰】のチカラを補います。
中医学では、すべてのものが陰と陽という二つの対立するはたらきで出来ていると考えます。人体も陰と陽とでできていて、陰と陽とがあるからはたらきが続いていて、生きている。
どちらも足りないと不調になるし、多すぎても良くない。
妊娠出産で血液を大量に失うと、それを補うために、体内にあった【陰】と【気】を使います。
産後、授乳をすると、更に血が足りなくなるので、また【陰】と【気】を使います。
そこで、クコのような、【陰】のはたらきを補うのが得意な食材のお世話になるのがおすすめです。
また、妊娠中、産後、授乳中は、本当はできるだけ目を使わないのがいいとされます。(この仕組みはこれまた別記事に書きます)
目を使ってしまったなという時にも、クコの実はチカラを貸してくれます。
杏仁豆腐の上にちょこんと乗ってるのは、ただのかわいい赤い粒ではないのです。
ハトムギ:体内にたまっている余分な水分を追い出します。同時に「脾」を元気にします。
これはもう、説明不要かと思います。
むくみ取りにぜひ。
メインの素材たちのチカラはこんな感じです。
そこにどんな食材を組み合わせるか。
自作される場合は、自分に必要なチカラを持った食材をプラスされるといいですね。
例えば
山芋:気を大きく補う。気が漏れないようにする。
大根:気を巡らせる。胃腸を整え、食べられるようにする。
里芋:血の巡りをよくする。
にんじん:血を作る手伝いをする。
セロリ:イライラ予防。
ねぎ:寒さ・冷え対策。
玉ねぎ:むくみ対策。気が上がってしまう時の対策。
他にもいろいろありますが、この辺で。
また、鶏ガラが手に入らない場合は、骨付きモモ肉や手羽元で代用してください。ぶつ切りももがあれば最高です。
煮込み時間も、ご家庭で簡単に作るパターンを紹介しましたが、
もしプロ級の方やプロの方が作る場合は、
ご自身の思う「おいしい鶏ガラスープ」を取りつつ、そこに薬膳素材を合わせて煮ていただければ大丈夫です。
その際には、生姜やねぎなどの香味素材を入れすぎないようにすることだけ、気をつけてください。
季節によっては温まりすぎて、薬膳にならない場合もでてきます。特に、ニンニクは注意が必要です。
このスープは産後の肥立にと銘打っていますが、もちろん、ご主人も飲んでも問題ありません。(赤ちゃんにはまだ少し早いです。離乳食が鶏肉まで進んでからにしてください)
作り置きして、毎日一杯ずつ。
そんな使い方がおすすめです。
本当は、赤ちゃんの抱っこと授乳だけで過ごしたい産後8週。
現代日本ではそんなことできませんから、
余計に、食事には気をつけてもらえたら嬉しいです。
なんて言いつつ、私自身も何度かウーバー○ーツやファストフードにもお世話になりましたが😅
赤ちゃんのためにも、自分大事に、していきましょうね!
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