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憲法過去問やってみようのコーナー:やわらかいほうのごたく

令和5年度の過去問にチャレンジしてみた。
≪ポッドキャスト版 やわらかいほうのごたく≫
https://listen.style/p/yawarakaihou/mwumy6wd
問3(憲法関連)基本的人権の間接的、付随的な制約についての最高裁判所の判決に関する次のア~エの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.選挙における戸別訪問の禁止が、意見表明そのものの制約ではなく、意見表明の手段方法のもたらす弊害の防止をねらいとして行われる場合、それは戸別訪問以外の手段方法による意見表明の自由を制約するものではなく、単に手段方法の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約にすぎない。
→○

イ.芸術的価値のある文学作品について、そこに含まれる性描写が通常人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反することを理由に、その頒布が処罰される場合、そこでの芸術的表現の自由への制約は、わいせつ物の規制に伴う間接的、付随的な制約にすぎない。
→×

ウ.裁判官が「積極的に政治運動をすること」の禁止が、意見表明そのものの制約ではなく、その行動のもたらす弊害の防止をねらいとして行われる場合、そこでの意見表明の自由の制約は、単に行動の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約にすぎない。
→○

エ.刑事施設の被収容者に対する新聞閲読の自由の制限が、被収容者の知ることのできる思想内容そのものの制約ではなく、施設内の規律・秩序の維持をねらいとして行われる場合、そこでの制約は、施設管理上必要な処置に伴う間接的、付随的な制約にすぎない。
→×

う~ん、アとウかな??、、、正解!!!おぉ~!!
まったく自信なかったけど正答できました(笑)

ア.妥当である
判例は「戸別訪問の禁止によって失われる利益は、それにより戸別訪問という手段方法による意見表明の自由が制約されることではあるが、それは、もとより戸別訪問以外の手段方法による意見表明の自由を制約するものではなく、単に手段方法の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約にすぎない(最判昭和56年6月15日)」としている。

イ.妥当でない
昭和32年3月13日の判例(いわゆるチャタレー事件の判決)で定義された基準によって判断されており、間接的、付随的な制約という扱いではない。

ウ.妥当である
裁判官が積極的に政治運動をすることを、これに内包される意見表明そのものの制約をねらいとしてではなく、その行動のもたらす弊害の防止をねらいとして禁止するときは、同時にそれにより意見表明の自由が制約されることにはなるが、それは単に行動の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約にすぎず、かつ、積極的に政治運動をすること以外の行為により意見を表明する自由までをも制約するものではない(最判平成10年12月1日)。

エ.妥当でない
必要的合理的な範囲においてのみ制限されるものであり、間接的、付随的な制約という扱いではない。

問4 国務請求権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1.憲法は何人に対しても平穏に請願する権利を保障しているので、請願を受けた機関はそれを誠実に処理せねばならず、請願の内容を審理および判定する法的義務が課される。→×

2.立法行為は、法律の適用段階でその違憲性を争い得る以上、国家賠償の対象とならないが、そのような訴訟上の手段がない立法不作為についてのみ、例外的に国家賠償が認められるとするのが判例である。→×

3.憲法が保障する裁判を受ける権利は、刑事事件においては裁判所の裁判によらなければ刑罰を科せられないことを意味しており、この点では自由権的な側面を有している。→△・・・?

4.憲法は、抑留または拘禁された後に「無罪の裁判」を受けたときは法律の定めるところにより国にその補償を求めることができると規定するが、少年事件における不処分決定もまた、「無罪の裁判」に当たるとするのが判例である。→×

5.憲法は、裁判は公開の法廷における対審および判決によってなされると定めているが、訴訟の非訟化の趨勢(すうせい)をふまえれば、純然たる訴訟事件であっても公開の法廷における対審および判決によらない柔軟な処理が許されるとするのが判例である。→×

げ。唯一正解っぽいのは3かな・・・ポチッ、正解!
なんとか昔の記憶を絞り出しての2問正解。

妥当でないものはどれか、誤っているものはどれかという問題文になっている場合があるので気を付けましょう。
アから見ていって「あれ?全部丸っぽい、あれ?ヤバいかも分からん」って焦ってたら、問いが”間違えているものを探せ”でバツの選択肢1個しかないとか普通にあるのでそういうので心を乱されないように。
たしか太字で下線引いてあった気がします・・・・

過去問やってみたシリーズはちょいちょい入れていきたいと思います。
1問の正解・不正解に一喜一憂せず(してしまうんですけど)選択肢1つずつを丁寧に解析して、問題文のどこが間違っているから×なのかをしっかり叩き込んでいくのが効果的な勉強です。
引っ掛け問題的な「判例ではそこまで言及してませんよね厳密には」みたいなスレスレのとこを問われがちです。
特に憲法は論点がある程度集約されてきて出すところが狭まっているので。1年目の試験の自己採点のときは2択でことごとく外していたんですが、過去問の解説を見返したとき、うろ覚えなところ、感覚的に処理してしまってたところを綺麗に突かれてました(笑)
判例要旨がどこまで突っ込んでいるかは確認して、原則ダメ、例外的にOKとか、憲法に違反するほどではないとか、そもそも権利の制限に当たらないとか、有名判例(事件)に紐づけてしっかり覚えていきましょう。

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