届かない想い
『早く来て欲しいけど、慌てなくて良いから気をつけて来て…亡くなったから…』
姉が電話の向こうでそう告げた。
『ダメなんだ…本当に逝ってしまう時は
助けられないんだ』
何十回!何百回!生きていて欲しいと願ったか!
辛い悪阻に耐え、愛しい貴女に逢える日を待ち望み、五体満足でこの世に生を受け
決して恵まれた環境ではなかったけれど
それでも貴女が大好きだという事は
誰にも負けない!
貴女の居場所はここにある!と言い続けて来た!
届かなかった……
母としての貴女を喪ってしまった娘の心を
貴女はどう考えていたのだろう?
貴女のお葬儀まで1週間。
毎日安置所に逢いに行った。
『これで良かったの?本当にこれで良かった のね?』
毎回そう聞いた。
その刹那 貴女は『お母さん!』
そう呼んだかしら?
泣いていなかったかしら?
お母さんは今でもそう思って泣いているよ。
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