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語りで紡ぐ茶のココロ

芸どころまちなか舞台「語りで紡ぐ茶のココロ」は千利休生誕500年を迎える今年、尾張徳川家お膝元の西文化小劇場にて、講談師 旭堂鱗林さんのキレのある司会で幕を開けました。


まずは「みんなに知ってほしい日本のものすごい住職10人」に選ばれた祖父江佳乃さんが登壇され「元々、落語や講談は識字率の低い時代、僧侶達が各地で人々に話して聞かせた説法が由来である事」と「仏教とお茶事は深く自分と向き合う事」とを、鋭くも慈悲深く皆さんへ語りかけます。


続いて旭堂鱗林さんの軽やかで親しみ深い語りの講談で「武闘派大名の茶席でのどたばた劇」が始まり、会場から明るい笑い声があがります。
現代的で斬新な浪曲も手掛ける浪曲師の春野恵子さんは、この日の為の新作「PUNK THE RIKYU我が茶の湯に濁りなし」を披露してくださり、秀吉の怒りを買い散ってしまった利休が残した「刀でも切れない茶の心」にお客様方も胸を打たれたようでした。


第2部は落語が2席で、柳家緑太さんの軽快な語りで「竹の水仙」、古今亭文菊さんの落ち着いた語りで「井戸の茶碗」と続き、どちらも「茶道好きの変り者の殿様」として細川忠興公が登場して、文菊さんのアドリブで緑太さんの落語に登場した忠興公がイジられると、会場からドッと笑いがおき、生の舞台ならではの醍醐味にお客様方も嬉しそうでした。

この数年はご時世的にやっとかめ文化祭でもリモートで講談を披露して、お客様へお会い出来ず寂しかったけれど、今年はこうしてお会い出来ましたと笑顔で語る鱗林さん。
「もてなす側」と「もてなされる側」、「語り手」と「観客」、お互いの心の交流が育まれる所は「茶の心」も「舞台を楽しむ事」も共通なのではないでしょうか。


そして「そのままでも楽しめるけれど、歴史文化の予備知識や相手の気持ちを汲み取る心があれば更に深く楽しめる」所も似ていると思いました。
秋深まる季節、紅葉を見ながらのお茶会や舞台を通じて、楽しく茶のココロに向き合ってみてはいかがでしょうか。

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レポート: 近藤加奈子  写真:服部義安


■レポートしたプログラム


■芸どころ名古屋舞台


■やっとかめ文化祭


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