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消防設備点検は本当に『最強の仕事』なのか?

皆さん、消防設備業界をざわつかせているある書籍をご存知でしょうか?
それがこの「最強の仕事 ー 消防設備点検」という本です。

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WAVE1という消防設備会社の吉村拓也社長が書いた本で、この方は書籍だけでなく会社で提供するサービス面でも新しいことをして業界をざわざわさせている凄い人。

そんな人が書いた本ではありますが、流石にちょっと強気なタイトル過ぎやしませんか?ということで、このたびnoteに読書感想文を書き残す事にしました。

※以下、賛否両論あるかもしれませんが、読んだ熱量でもって勢い重視で書いたものです。もし間違いがあればご指摘いただき次第正しますので、どうか寛容な目でお読みいただけると幸いです。

消防設備点検って何?

まずそもそも消防設備って何?何を点検してるの?という方もいるかと思うので一応ご説明。

天井についてるコレを、

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こうする、

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これが消防設備点検です。(現場だけを切り取るとですが)
本の中ではこんな説明の仕方をしています。

・消防法で年2回実施するよう定められた法定点検
・連携して現場作業を行うのでスポーツ感覚を味わえる
・現場作業を終えたら点検報告書を作成

この点検の内容について気になった方は、下記も目を通してみてください。
最強についてはこの次からです。

なぜ最強の仕事と呼ぶのか?

写真を見せると「あぁ、あの仕事」と結構知ってる方が多い印象ですが、それが最強の仕事とは到底結びつかないでしょ…。そう思う方は、以下書籍抜粋の内容を兼ね備えた仕事が他にいくつあるか考えてみてください。

【書籍より抜粋】
・AI時代においても変化が少ない
・3ヶ月あれば見知らぬ土地で生活費を稼げる
・建物の数だけ仕事があるのに対して作業員の数が足りていない
・65歳未経験でも十分通用する

ここから各項目を解説していきます。

・AI時代においても変化が少ない

これから間違いなくAIによって企業内の一部の人材は不要となります。私も同じ考えを持っていて前職のサラリーマンから脱する事を考えていました。(結局辞めるきっかけは別でしたが)

そのAIやロボットに取って代わられにくい仕事の一つが現場作業で、まさに消防設備点検は現場で行う仕事です。これが一つ目。

・3ヶ月あれば見知らぬ土地で生活費を稼げる

これは著者の経験談。根拠が強過ぎます。私はこの話を著者のブログで先に知っていましたが、この仕事の安定度が伝わります。ここで書くのはもったいないしおこがましいので、ぜひ本またはブログでお確かめください。

・建物の数だけ仕事があるのに対して作業員の数が足りていない

皆さんが住む建物、仕事先の建物、買い物先や旅行先の建物、ほぼ消防設備が設置されています。そこで、ひとつ統計データから計算してみましょう。

地図で有名なゼンリン社のデータを活用しているRESAS地域経済分析システムによると、平成30年の全国建物件数は3,896万件。うち消防設備点検を行わない戸建住宅数が2,942万件。

つまりざっくり数えて3,896万件-2942万件=954万件の建物が点検対象になります。

次に、点検は年2回行わなければならないため点検件数は建物数の2倍となります。
よって年間954万件×2=1,908万件の消防設備点検が必要となります。

一方、消防白書によると、消防設備点検の中でも代表的な自動火災報知設備の点検を行える消防設備士第4類(甲乙含む、平成30年)、消防設備点検資格者(第2種、平成26年)は免状発行延べ数が52万程度だそうです。

免状が延べ件数であること、実作業をしない方でも資格取得していること、設備士乙種・点検資格者数は上位資格取得により保有者が重複していることを考慮すると、実働の点検者数はその50%程度いけばいい方なのではないでしょうか。

つまり52万×50%≒26万人。
(この50%という数字は完全な憶測です。ただ、肌感として消防設備点検に携わる人が26万人いるとはとても思えません…)

一人で点検できる現場ばかりではないことから、点検1件につき最低2人1組で作業すると仮定すると、26万人÷2=13万組が作業できることになります。

つまり、1,908万件÷13万組≒147件/組。

自動火災報知設備の点検だけで、一組あたり年間147件の仕事量が世の中に存在することになります。
実際は大きい現場だと点検に複数日、人数も2人では全く足りませんし、設備士甲種は工事も行うため点検ばかりしていられません。

現場調査、見積提案、消防署協議、報告書作成などほかの仕事も考慮すると、点検だけで休日除いた年間営業日の半分以上が埋まるこの状況は、十分人手不足といって良いと思います。

・65歳未経験でも十分通用する仕事

こちらも本に著者のヒアリング内容が書かれています。私の周りに65歳からこの仕事を始めた方はいませんが、健康でやる気があれば何とかなると思います。

最近の還暦以降の方は元気な方が多く、私の知り合いの65オーバーの方は私よりよほどアクティブ。そう考えると65歳未経験も通用すると思えてきます。

今までこんなこと言う人はいなかった

ここまで読んでいただくと、消防設備点検という仕事の安定的な魅力が少しは伝わるのではないでしょうか?
伝わっていなければ、それは間違いなく私の文章力不足です、すみません。

ただこの本の凄さは、消防設備点検という仕事の凄さだけを表している訳ではないことはお伝えしておきたい。

まず今までの消防設備関連の本といえば、ほぼ消防設備士の資格本でした。本屋の資格コーナーでしか見かけることもなく、業界に近しい人でなければほぼ手にすることも目にすることもない環境です。

ですが、この仕事に「最強の仕事」と銘打ってみると、本屋の経済コーナーに消防設備点検というフレーズが出てくるんです!

置かれる場所が違えば注目度も違います。今まで興味どころか存在すら知らなかった人が、消防設備業界を知るきっかけになるかもしれない。それがこの本1番の凄さです。

消防設備業を生業にしていた人たちも安定した仕事であることは認識していたと思います。ですがそこで停滞して業界イメージを新しく打ち出してきませんでした。

それが人手不足の一因でもあるでしょうし、認知度の低さだったのだと思います。

この本がこれまで消防設備業界に居ないような人材を生み出す一助になります。さらにその一助になれたらとこの読書感想文を書く次第です。

これから全国的に有名になる人の今を垣間見える

それとこの本の著者、吉村拓也さんにも注目してみてください。自身が最強の仕事と銘打った消防設備業のマッチングサービス「ビルメ」を開発したり、会社を急成長させていたり、5年で日本一になると宣言していたりと業界内では目立ちまくり。

いつかカン〇リア〇殿とか、〇熱〇陸に出演するのではないか。そんな勢い、雰囲気を感じさせます。

本にも吉村さんが日々を綴るブログが紹介されていますが、起業初期の危うい経験談や、著者の考え方、組織の動き方など、本とは違った部分で参考になります。

まだ業界外の注目度が浅い今のうちに知っておくと、有名になってから物知り顔になれるかも?

こんな人にオススメ

以上、私が感じたこの本の気になる部分を書いてみました。
そしてこの本を読むのにオススメなのは、こんな方。

・就職、転職を検討している方
・フリーランスとして仕事を探している方
・" 最強 " にあこがれを持っている方
・業界の新しい動向概要を知りたい方
・これから有名になる人を知りたい、応援したい方

忘れてました、読書感想文としての答え合わせ。
確かに消防設備点検は最強の仕事と言うべきです。

ちなみに

最後にちょっと宣伝を。
この読書感想文を書いた私も実は消防設備業の一角を担う人間です。

まだ会社を立ち上げてから日は浅く、吉村さんのように大きなことはぶち上げていませんが、地域密着型でコツコツ、でも今までにないような仕事の仕方で頑張ろうと努力中です。

もしよろしければ、お見知りおきください。何かあったらお声掛けください。

https://twitter.com/nsbs2020?s=09

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