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【天狼院書店初心者短編2020年夏休み特講受講者向け】①主人公、あるいは敵役がしっかり決まると大体のことは解決する

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【注意】
 こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」講座参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】

 はい、天狼院書店さんでの2020年夏休み特講を受けてくださっている皆様、お疲れ様です。
 こちらでは、ほぼ毎日、小説のTIPSを投下しようと思いますよ。講座で言いのがした話ですとか、ちょっと役に立ちそうなTIPSとかを書いていければと思いますのでよろしくお願いします。

 さて、小説を書くに当たり、発想を広げていく際には

登場人物
ストーリー
世界観

 この三つを互いに参照しながら広げていくのがいいよーみたいな話をしたと思います。
 けれど、ここだけの話、「これさえ決めてしまえば大体のことが決まってしまう」というパーツがあります。車でいえばエンジンに当たる、大事なパーツ。それが何かわかりますか?

 主人公、あるいは敵役です。

 『天空の城ラピュタ』でいうなら、主人公はパズー、敵役はムスカ大佐に当たるでしょうか。
 でも、主人公と敵役、言葉は知っていても、それが何なのか、説明できる人は少ないんじゃないでしょうか。もちろん色んな定義や考え方はあると思うので、ここでは便宜的にこうした説明でお茶を濁すことにします。

主人公 : ストーリーの主題となる事態を解決させる人物
敵役  : 事態を解決させようとする主人公と最後まで対立する人物

 『天空の城ラピュタ』でいえば、パズーはシータの争奪戦(そしてその背後にあるラピュタの悪用)を解決に導いているからこそ主人公なのですし、ムスカはそのパズーの目的に真っ向対立する存在だからこそ敵役なのです。

 主役、あるいは敵役が決まるとなぜよいのかというと、このうち一人が決まってくれば、すぐに世界が広がるからなんですね。

 主人公、あるいは敵役は、事態に巻き込まれながらも、何らかの目的をもって作品の中を動き回ります。

 たとえば、主人公を先に決めますよね。そうすると、「主人公と真っ向対立する」敵役を想像するのはそんなに難しいことじゃありません。共通の宝物を奪い合う関係性であったり、片方の野望を阻止する役割であったり、思想が全く逆であったりという風に設定づけてやればよいからです。
 主人公と敵役は、鏡写しの関係にあるのです。
 そして、主人公、敵役は、作品のストーリーや世界観とも密接な関係があります。
 主人公、ないしは敵役の設定を深めていくと、ストーリーや世界観が見えてくることがあります。たとえば、ちょんまげを結ったお侍さんが主人公の場合、(タイムスリップ物でもない限り)過去が舞台になりますよね。そう、主人公、あるいは敵役を設定してやるうちに、ストーリーや世界観が定まってしまう面があるのです。
 また、他の登場人物についても同様です。主人公の設定が深まると、「たとえばこの主人公に仲間とかいないのかしら?」「親は?」「恋人は?」「兄弟は?」と考えていくうちに、必要な登場人物が浮かび上がってくるのです。

 お話のタネを育てる作業に行き詰まりを感じたあなた、まずは、主人公、あるいは敵役について思いを致してみると、もしかしたら作品世界が広がっていくことになるかもしれませんよ。

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