奇説無惨絵条々書影

『奇説無惨絵条々』(文藝春秋)はこうして生まれた③

 『奇説無惨絵条々』(文藝春秋)、各書店様、WEB書店様などで好評発売中です。

 『奇説無惨絵条々』の冒頭部分、試し読み公開中です!

 というわけで、猟奇的な短編を書かせていただくことになった谷津なのですが――。
 実は、わたしは昔からある種の抑圧を感じていました。
 猟奇、犯罪、犯罪実録といったものを読むのが好き(とはいえわたしのは正直ミーハー程度のものです)と口にすると、皆から「そんな悪趣味なものを」と変な目で見られましたし、怒られたこともあります。うちの親はそのあたりのことについて寛容でしたのでありがたいことでしたが、世間の目の冷たいこと冷たいこと。猟奇ものを書くと決めたその時から、自分の記憶を棚卸すると出てくるのは、不謹慎とされるもの、悪趣味とされるものに対する世間の目の冷たさでした。
 この感覚をどうにか形にしたい。そう考えたわたしが思いついたのが、単行本化の際の「額縁小説」化でした。猟奇的なお話を外から眺める視点を設けることで、冷ややかな視線とそんな視線と戦う人々の姿を描いてみたいと思ったのです。
 不定期連載決定時に担当さんに「額縁小説」化についてお話ししました。最初、断られるかと心配していたのですが、担当者さんからGOサインをいただき、この形で展開することになりました。

 もちろん、奥付のある本でこうしたことを世に問うということの意味を思わぬことはないのですが(出版社と組んで仕事をしているということは、ある程度の遵法意識と社会に対する責任を背負っているということでもあるので)、これはこれでわたしの穿ちであるとともに、出版社さんの担保してくださっている自由さに感謝している次第であります。


 さて、今後の『奇説無惨絵条々』関連プロモに関してお知らせです。
 先にお伝えしている通り、今後は週に二回の更新とさせていただきます。
 毎週水曜日と日曜日、『奇説無惨絵条々』に登場する人々や事件、当時の世相などを紹介してゆければと思っております。
 ちょっとネタバレなどもありますので、ぜひ『奇説無惨絵条々』をお買い上げくださいますとうれしいです!

 こちらの書店さん、中規模と書いてしまいましたがビルのワンフロアを占めているかなり大きな店舗で、いつもわたしの新刊を複数冊置いてくださっているため、これはマジで売れているようです。ありがたや。

 電子書籍でも出足がよいようです。ぜひとも。


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 「曽呂利」の記事が日刊ゲンダイさんに掲載されました。いつもまことにありがとうございます!

 「曽呂利」電子書籍も刊行される由です。電子派の皆様、お待たせしました。

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