【天狼院書店初心者短編2020年2月コース受講者向け】⑤書き出しはできるだけ描写を丁寧にしよう
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【注意】
こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」講座参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】
昨日の天狼院書店さんでの講座、誠にありがとうございました。通信の方も多かった印象ですが、いずれにしましても健康第一で乗り切っていただければと思います。
さて、本日からこちらの更新は執筆に向けたTIPSになっていきます。
昨日も皆さんにご説明しましたが、書き出しはできるだけ描写を細かくしていきましょう、というお話をしました。
さて、昨日の講座を聞いていただいた方は、説明と描写が別物であることを既にご理解いただいてますね? ややこしい話なので、こちらの方でもおさらいしますが、
説明的な文章:抽象的、論理的な文章
描写的な文章:具体的、五感を駆使して紡がれる文章
でした。そして、小説においてはそれぞれに使いどころがあって、うまく用いてくださいねー、と申し上げました。
そして、小説の書き出しです。
ここは、出来る限り描写を用いていきましょう。
昨日、その話を中途半端で終わらせた記憶があるので、その効能について話してゆきましょう。
つまるところ、描写とは、物事に細かいディティールを与えていく作業です。例えば、
ロボットがいる
という端的な説明では、その属性(ロボットである)ことは分かりますが、具体的な形や質感、位置づけなんかもわかりませんね。「ロボット」と聞いた瞬間、人によってはドラ〇もんみたいなものを想像するかもしれませんし、ハイレグ姿のヒューマノイドを想像するかもしれません。あるいは産業ロボットみたいなものをイメージする人もいるかもしれません。だからこそ、五感に訴えかけるような描写が必要になってくるわけです。
甲高いモーター音を響かせ、シャベルのような腕だけで構成されたロボットが、黙々と溶接作業をこなしている
このように書いてやると、産業ロボットなんだろうなあと想像できますよね。
と、このようにディティールを詰めていくと何が起こるかと言うと、どんどん細かな情報が蓄積されていきます。
たとえば上記の描写だと、この場がかなりうるさい(「甲高いモーター音」)ことが判りますし、なんか大掛かりな作業をしていることや、工業に関わる現場なのだ(「溶接作業」)ということがわかります。これらの情報によって、この場がどういうところであるのかが狭められてきます。
たとえば、産業用ロボットが溶接作業を行なっている現場が露天ということはあり得ないと思います。恐らく工場の中でしょう。そして、機械化が進んでいるということは、ベルトコンベアなども完備されていることでしょう。そして、そう言ったところで働く人たちの格好は、恐らく揃いの作業服でしょう。やはり、灰色のつなぎとかだったりするんでしょうか……、という具合に。
書き出しを描写で始めてくださいと申し上げたのは、ざっとこうした理由です。
軽く描写をしただけで、著者がそれまで考えていなかったディティールが浮かび上がってきます。そして、そうしたディディールを追っているうちに、それまで考えていなかった展開が思い浮かぶこともありえます。
とにかく、最初は五感を駆使して、作品世界を作り上げてみましょう~。
【念のため言い訳】
「いや、説明から入っている小説もあるやんけ」とか「序盤からあまりに描写が重すぎても読みづらいだろ」というご意見もあろうとは思いますが、このテキストは初心者の皆様向け、殊に『小説を最後まで書き切るための講座における副読資料』という建前で書かれています。おそらく、そうしたツッコミが思い浮かぶ皆様は中級者以上の方と思われますので、本記事についてはスルーしていただけますと幸いです。
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