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【天狼院書店初心者短編2020年夏休み特講受講者向け】⑦「状況」と「行動」を書き繋いでゆく

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【注意】
 こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」講座参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】

 はいこんにちは。
 講座参加者の皆様、進捗はいかがでしょうか。
 今日も小説執筆TIPS、投下します。

 さて、皆さんの中には、「どう小説を書いたらいいかわからない!」という方、結構多いんじゃないでしょうか。セリフはさておいても、地の文(セリフでない文章)の書き方がよくわからないのは、小説を書き始めた時の最初の壁かもしれません。
 そうした皆さんに思い起こしてほしいのは、昔話です。
 昔話も物語であり、ある意味で小説と似通ったスタイルを有しています。昔話の場合は絵が添えられることが前提なので、小説では行なう人物描写などを一部省略できる分、より大事なものが浮かび上がってきます。

 たとえば、「ももたろう」とかどうでしょうか。

 昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
 おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯へ行きました。
 おばあさんが洗濯をしていると、上流のほうから大きな桃が流れてきました。
 おばあさんはそれを拾い上げ、家に持って帰ります。
 そして、おじいさんと一緒に割ってみると、中から子供が出てきたのです。

 物語は、「状況の提示」と「登場人物の行動」によって成り立っています。「状況の提示」とは、今、主人公たちがどういう状況に置かれているのか、目の前に立っている人物はどんな人物なのか、どんな事件が起こっているのか、そんな事実の提示です。一方の「登場人物の行動」とは、登場人物たちがどんなアクションを取ったか、です。
 上の文章から、「登場人物の行動」を抜き出してみましょう。

 昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
 おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯へ行きました。
 おばあさんが洗濯をしていると、上流のほうから大きな桃が流れてきました。
 おばあさんはそれを拾い上げ、家に持って帰ります。
 そして、おじいさんと一緒に割ってみると、中から子供が出てきたのです。

 太字の部分が「登場人物の行動」ですね。そして、太字でない部分は、「状況の提示」となっていますよね。
 ちょっと結論を急いでいる感がありますが、物語は

状況の提示 → 行動① → 行動①によって生じた状況の提示
 → 行動② → 行動②によって生じた状況の提示……

 という風に、「状況」と「行動」をサンドイッチ状に配置することで成立していることが多いのです。

 よくあるのが、あまりに「状況の提示」にこだわりすぎて、「行動」がなかなか提示されない小説ですね。主人公や他登場人物の容姿描写に数ページを費やして全く話が進まない……、みたいな小説を指します。
 わたしがプロットを書くように皆さんにお願いしたのは、「状況説明」だけしたがってしまう傾向がある初心者の方に、「行動」にこそ意識を振り向けてほしかったからです。
 とにかく、登場人物を「行動」させまくりましょう。するとストーリーが動き、お話を書くのが楽しくなってきますよ。

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