55468_曽呂利書影

『曽呂利』御展開書店様②&曽呂利、お前は一体何者なのだ①

 WEB連載の「桔梗の人」よろしくお願いいたします! と共に、2019年2月新刊の「奇説無惨絵条々」(文藝春秋)と文庫化「曽呂利」(実業之日本社)もよろしくお願いいたします。

 昨日の続きです。『曽呂利』ご展開の書店様紹介です。

 ラフレ書店様が公式サイトで『曽呂利』をご紹介してくださいました。ありがとうございます!

 伊丹市のブックランドフレンズ様より。手書きポップをつけてご展開するのはかなり特別なこととのこと。ありがとうございます!

 そして昨日は書店員Kさんの引きで、八重洲ブックセンター八重洲本店さんにお邪魔しました。

 といった感じでサイン本も書かせていただきました。書店員Kさん曰く、「結構調子よく売れてるよー。たぶん、うちで仕入れた分は全部さばけるんじゃないかな」とのことでした。感謝!


 さて、今回は曽呂利新左衛門についてお話ししようかなと思います。
 曽呂利新左衛門って実在の人物とされているんですよ。

 曽呂利新左衛門は堺の生まれとされており、茶を武野紹鴎(千利休の師匠という説もある茶の湯の第一人者)に学んだとされます。しかし彼は堺で鞘師として生きており、彼の作った鞘は「そろりと刀が収まる」ことから「そろり」、転じて「曽呂利」と名乗ったという言い伝えがあります。
 が、彼には口舌の才があり、この才を羽柴秀吉に見いだされます。それから彼は御伽衆の一員となり、暇潰しの相手として秀吉に伺候することになります。彼の働きぶりはよく分かってはいませんが、一応当時の史料には曽呂利が豊臣秀次主催の茶会に参加しているという記録があります。
 その後、秀吉の死を追うように死んだとも、策伝と名を変えて「醒睡笑」という笑い話法話集を書いたともいわれます。

 というのが、史料から追うことのできる曽呂利新左衛門の姿です。

 が、のちに彼は講談や落語の世界で別の姿を与えられます。
 たとえば、猿顔であることを恥じていた秀吉に「猿が殿下に顔を似せたのだ」といって励ましたり、秀吉の無理難題に頓智で答えたり、逆に頓智の術で秀吉や細川幽斎を困らせたり(曽呂利とセットになると、なぜか謀略の人である幽斎がやられ役になるのが不思議です)するのです。いうなれば、アニメ「一休さん」みたいな「頓智で偉い人をやり込める才人」という扱いになるのですが、一休さんとは違って不思議な笑いをもたらしていく存在という点で、より道化師っぽいんです。

 曽呂利新左衛門という人物は、数多くの真偽不明の逸話に彩られているおかげで実像が見えてこない、ある種取り扱いが難しい人物なのです。

 といったわけで、ちょっと長くなりそうなので次回に続く。

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