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【天狼院書店初心者短編2020年夏休み特講受講者向け】④登場人物・ストーリー・世界観で「釣り合いを取る」

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【注意】
 こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」講座参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】

 皆さんこんにちは。
 今日は早くも二回目講座です。皆様とPC画面越しにお目にかかれますのを楽しみにいたしております。

 さて、今日はちょっと復習めいたお話です。
 わたしは講座において、

登場人物
ストーリー
世界観

が小説の骨格の三要素だと説明しました。
 その上で、「この三つを相互に参照して、高めていく」と申しましたが、その具体的な在り方についてあまりご説明をしていませんでした。その説明をさせていただければと思います。

 さて、構想・企画段階においてやっていただいていることは、「ふわっとしたものに具体的なイメージを与えていく」作業です。いうなればそれは、「超クールな主人公に名前や顔立ちの特徴、性格や過去のトラウマなど、さまざまな情報を与えていく」ことに他なりません。たとえばこれは、ストーリーでも一緒です。「面白そうなストーリーに具体的な事件の山谷を与える」ことこそが構想・企画段階における作業の骨子ですし、「すごく燃える世界観の内実を掘り込んでいく」ことも、この段階における骨子です。構想・企画作業を「ふわっとしたものに具体的なイメージを与えていく」と表現したのはこの辺りが所以となっているのですが……。

 具体性を与えられるということは、より緻密になっていくということです。もちろんこれはいいことなのですが、緻密になるということは、より情報量が増えていくこと同義です。すると、登場人物ーストーリーー世界観間に齟齬をきたす場合も出てきます。
 極端なことを言うと、主人公はちょんまげを結っているのに、サイバーパンク的なストーリーを考えてしまっているとか。
 こういう場合、どうすればいいのかというと、登場人物ーストーリーー世界観の釣り合いを取ってやるとよいのです。
 先の例でいえば、「ちょんまげを結っている主人公」を優先したいのか、それとも「サイバーパンク的なストーリー」を優先したいのかを考え、どちらかを後退させるのが一つの正解でしょう。あるいは、この二つが成立するような状況を考えてやる(主人公が力士だとか、あるいは主人公がタイムスリップしているとか、あるいはこの世界観において、ちょんまげに何かしらの意味があるという風にするか)のもいいでしょう。
 物事が具体的になっていくに従い、少しずつ相互の矛盾が出てきてしまいます。その際に、どれだけその矛盾の芽を見つけ、摘んでおくがが大事なのです。
 小説の構想・企画は、「できる限り骨子の矛盾を事前に把握し、すり合わせておくこと」にも重要性があるのです。とにかくこの段階では、綺麗な骨格を作るべく、作業に当たってみてください。

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