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建設・住宅事業者のSDGs(環境編)

建設事業者や工務店、住宅産業等は、地域の人たちが安心して暮らすことのできる社会のために、住環境の整備や、まちづくり、インフラの構築や維持・管理、省エネ・環境保護など多方面に取り組まれています。また、自然災害等からの防災など、地域の安全安心のための取り組みにも率先して取り組んでいただいています。その意味で事業そのものがSDGsに合致して入るといえます。
以下、建設・住宅事業者が取り組むことのできるSDGsのヒント(環境編)を以下紹介いたします。

(1)環境保全(SDGs6,7,11,12,13,14,15)

住宅・建築物は、長期間活用されるものであり、建設時に加え、使用時、廃棄時を含めたライフサイクルの観点からの環境保全の取り組みが重要です。

①地域材・県産材・近県産材の活用


 山林には間伐、主伐時期を迎えた木が育っています。これらの木を持続可能な形で伐採、活用をしていくことが地域の山林を守り、育てることにつながります。地域で育った木を活用することは、その地域の気候に即して成長をしていることなどから、家が長持ちするともいわれています。
 一方、日本の山林には林道が十分に整備されておらず搬出が難しい、地域内に製材所が存在せず地域内での安定した木材の流通が難しい現状にもあります。地域の森林組合、製材事業者、建設事業者、地域の自治体との連携により地域材を活用できる仕組みづくりが求められています。

②省エネ・再生可能エネルギーの利用

 夏涼しく、冬温かい省エネ型の家・建物づくりのためには、その土地の自然の力を最大限に活用するパッシブデザインや、断熱を強化した建築が重要です。断熱の低い家などにおいて生じる可能性の高いヒートショックで亡くなる方の数は年間約1万9000人程度と言われており、交通事故で無くなる方(2839人:2020年)の6倍以上になっています。省エネ住宅は同時に健康で快適な住まいづくりになります。
 また、電気については太陽光発電、熱については、薪ストーブや太陽熱温水器、バイオマスボイラー、薪風呂などを取り入れることが可能です。これらの住宅・建物の省エネルギーや再生可能エネルギーの導入は、初期投資が高くなるものですが、自治体や国の補助金や税制優遇措置などが活用できること、中長期的には光熱費が下がることにより経済的にもペイものであります。
 
ZEH(NET ゼロエネルギーハウス)についての情報はこちら

 長野県では、住宅や建築物の新築時に、省エネルギー化や再生可能エネルギー導入の検討義務が課されています。したがって、住宅・建築事業者が施主に対して、設計時に省エネルギー化や再生可能エネルギー導入による初期投資とランニングコストの違いなどを分かりやすく説明することが求められています。


③サーキュラーエコノミー(循環経済)型の建築

 建築物や住宅の建設にあたっては、木材、鉄骨、壁材など様々な資源が活用されます。素材、加工、施工、解体のプロセスにおけるサーキュラーエコノミーの取り組みが重要です。

「素材」
・なるべく地域の自然素材(木、藁、土など自然に返る循環素材)を活用すること

「設計」 ~分解できる設計~
・解体時において建材を分解して再使用・再利用できることを考慮した設計
例:接着剤をなるべく使用せず金具で止める
  複合材よりも単一素材を優先した設計、
  リサイクルコンクリートの使用
  再活用のため単一素材のものを使う

「長寿命・再生利用」
 持続可能な生産・責任という観点から、100年住み続けられる家づくりや古民家再生などが重要です。

④生き物賑わいのまちづくり ~生物多様性~

建築物や住宅の設置は、地域の自然環境に一定の影響を与えうるものです。 一方で、住宅・建築物の建て方や庭の作り方、土木工事の手法によっては生物多様性を維持、向上させることができます。

庭造りにあたっては、在来の樹木などその場所の気候や風土に適した植物を植栽すること。美しい花を咲かせるだけでなく、雑草、虫、爬虫類、鳥など様々な生き物同志のつながりを紡ぐ命がめぐる 生物多様性豊かな庭づくり、一つ一つの家や建物におけるこのような庭づくりが、地域全体の生物多様性を豊かにすることにつながります。
 例えば、積水ハウスでは、生物多様性が豊かな里山の仕組みを生かした「5本の樹」計画を進めています。「3本は鳥のため、2本は蝶のため、地域の在来樹種を」という考え方のもと、日本の気候風土に合わせた地域区分を設け、それぞれに適した樹木を植えています。 

⑤住む人のサスティナブル(SDGs)ライフを応援する家づくり

 家や建物の作り方は、そこに住まう人の暮らし方を応援するものになります。例えば、広く快適なリビングづくりは、家族全員がなるべく居間で過ごし団欒を楽しむ生活を促すことができます。
 庭やトイレにおける雨水利用は、水の有効活用とともに災害時にも役立ちます。
 コンポスト・薪ストーブ・庭における菜園づくりにより、生ごみのコンポスト、薪ストーブの灰を庭の菜園の肥料などとして活用し、野菜を育てるといった循環型のライフスタイルを楽しむことが可能になります。
 化学物質を避け自然素材を積極的に活用することで、化学物質過敏症の方でも快適に暮らす家づくりができます。


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