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さよなら、ぼくのダブルスパートナー。

昨日のお昼に高校の同級生から着信があった。

部活仲間とはいえもう10年以上連絡をとっていないから、LINEですらない、着信履歴。3回も。

「なにかあったな」と昼休みの時間に折り返す。

「久しぶり、どうした?」

「いきなりで申し訳ない、〇〇が亡くなった…」

〇〇はぼくらの一個下の後輩。夜中に突然なんとか心筋症で帰らぬ人となったそうだ。そんな、まだ31歳…だぞ。
なにも考えられない、思考停止。無言。涙。

なんせ彼は後輩ではあるが、ぼくの卓球のダブルスパートナーだった。いわゆる相棒だ。

小さくて、すばしっこくて、守備範囲が広い。器用さはないし、よく逆をつかれるが、はまったときは威力のある球を打てる。

あまり動きたくない、予測能力と小手先でなんとかしようとするぼくとは正反対のタイプだった。

思い返せば彼との出会いは中学生のとき。
当時のぼくが中2で彼が中1、練習試合か何かだった気がする。たしか彼から試合を申し込まれた。どこからかわからないが「試合をお願いします」と声がする。「えっ?」と思って、目線を下げると小さな彼がいた。おそらく130cmくらいしかなかったんではないか。本当にそれくらい小さかったのだ。

一応ぼくはレギュラーとして団体戦にも出ていたけど、相手校の彼はまだベンチにすら入っていなかった。練習試合では「団体戦→申込み試合」みたいな流れが当時のスタンダードだった。申込み試合もレギュラー同士でやることが多いけど…彼は空気を読まない、読めない。一応下剋上的な感じで、申込み試合が始まった。

最初の試合はフルボッコにした。なんせ小さいからネットの手前にボールを落とすと体勢が崩れる。その隙をつきまくれば勝てたのだ。
ボコボコにやられたのに彼はものすごく悔しがっていたことを覚えている。ラケットを手でバンバン叩いていたし、マナーも悪かった。というか子どもだった。

これからも中学生の間に練習試合で何度か戦ったがぼくが負けることはなかった。そして公式戦でも戦うことはなく、ぼくは地元を離れた京都の高校に進学した。

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高校2年生になり、新入生を迎え入れる立場になった。そのときにどこかで見たことのあるちびすけが卓球部の体育館に現れた。あいつだ。彼も同じ高校に入ったのだ。
身長は少し伸びて150cmくらいでミニモニ卒業くらいにはなっていたけど、スポーツ校のなかではあまりにも目立つ小ささだった。

そんな彼とダブルスパートナーになるとは夢にも思っていなかった。もともとぼくは先輩とダブルスを組んでいたから、先輩が卒業したら次は誰と組むのか、同級生はそれぞれパートナーが固定されているから後輩か?というところまでは想像できたが。後輩には強いやつがいたから、そっちと組ませてくれるだろうと勝手に期待していたところがあった。

ところが…
「おまえのダブルスパートナーは〇〇や」と先生に伝えられたとき「マジか」と思った。もちろんそのときには彼も強くなっていた。残念ながらぼくが初めて彼に負けた記憶がまったくない。便利な記憶力だ。けど、彼が高校に入ってきて半年くらい経ったころには買ったり負けたりになっていたのではないかと思う。

さっきも書いたように正反対のペアだったからうまく噛み合ったときにはわりと強かったんだと思う。ただ全然うまくいかないときもあり、お互い子どもだからイライラしていたこともある。

サーブのサインなんかも懐かしい…
いきなり「ロングサーブ」のサイン出してくるし。
フリック下手すぎて球がどっか飛んでいくし。
ギリギリの勝負なのにサーブミスするし。
かと思ったらスーパープレイで挽回したり。
3球目しっかり決めてくれたり。

小さい彼とのダブルスはぼくにとっては動きやすくて視界も良好。彼は比較的単純でまっすぐな性格だったから予測プレイもやりやすかった。

ぼくにとってはいい思いをたくさんさせてもらったんだと感じている。たぶんダブルスで優勝した大会もあったはず。

結局最後は近畿大会2回戦で大阪桐蔭のペアに負けて、ぼくらは解散したのを覚えている。

彼が同級生ではなく先輩であるぼくとダブルスを組んで、実際どんなふうに感じていたか、聞いたことはない。恥ずかしくてそんなことは聞けなかった。

けど、40歳とかになってあのときの戦友みんなで集まって、あんなことやこんなことを聞いてみたかったなと、今になって思う。

なぁ、やっぱりダブルス楽しかったな。

シングルスよりも好きだった。

めんどくさい先輩だったかな。

でもおまえもまぁまぁめんどくさかったで。笑

まぁ、だから飽きずにできたんやろな。

ありがとうな。

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コロナでお葬式にもいけない。
この気持ちを話す人もいないからnoteに書くことにした。

#戦友 #ダブルス #パートナー #卓球

#感謝 #ちび #早すぎる

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